EP.49
叶奈・涼太・悟の三人は、扉を見つめた。
「行っちゃいましたね」
叶奈の言葉に、涼太と悟が頷く。
「そうですね。静かになりました」
「そうですね。涼太さん、いろいろとありがとうございました」
悟がお礼を伝えると、叶奈も慌ててお礼を伝える。
「ほんとだ! ありがとうございました!」
二人の言葉に、涼太は微笑む。
「いえ、皆さんが美味しいと言ってくれたので、良かったです」
三人は微笑み合う。
外には、満月が浮かんでいる。月の優しい光は、涼太の店を包み込む。
いつの間にか、鳩はどこかに飛び立ってしまっていた。
「なんだか、今日の月はコインみたいに真ん丸ですね」
叶奈が、月を見上げて言葉を発した。悟がその言葉に反応する。
「そうですね。綺麗な黄色い満月ですね」
悟の言葉に涼太も反応する。
「綺麗な月ですね」
二人の言葉に、叶奈は大きく頷く。その顔には、少女のような笑みが浮かんでいた。
「月って、ウサギが餅つきしているって、話があるじゃないですか。私、本当に餅つきをしていると、おもしろいのになと思うことがあります」
「そうですね。私も、餅つきをしているウサギの方がなんだか可愛らしくて好きですね。他の国では、片腕を上げたカニですとか、本を読む女性だったりするそうですが、私は、ウサギが好きですね」
悟の言葉に、叶奈と涼太は感嘆の声を上げる。
「すごい! 悟さんは、本当になんでも知っているんですねぇ! 私も、もっと勉強しなきゃ」
「へぇ! カニや女性と見る人もいるんですね! 僕も初めて知りました。世界には、いろいろな見方があるんですね」
二人の言葉に、悟は照れたように笑みを浮かべる。
「ありがとうございます。こういう話や伝説や伝承を知るのが好きなんです。ロマンを感じるんです。それは、林太郎さんの本のおかげだったりします。林太郎さんの本を読んで、こんな世界が本当にあれば良いなと。そして、伝説や伝承が本当に起こったことだと良いなと思うようになったんです」
三人を包む夜は、静かに悟の言葉も包んだ。
叶奈と涼太は、悟の言葉に笑顔で反応する。二人とも、優しく、穏やかな笑顔を浮かべている。
「私も、林太郎さんの本の世界が現実にあると良いなぁと思ってました。本当にあったことも、ツナグくんたちと出会えたことも、本当に嬉しかったです」
「僕は、そういうものにあまり興味がなかったのですが、今回の出会いをきっかけに、こういう世界を知ることができて良かったなと思いました」
「そうですね。私も、自身の先祖に会えるという体験ができて、本当に良かったです」
三人は微笑み合うと、話に花を咲かせた。
「そういえば、こんな伝承があるんですーー……」
悟は、自身が知っている伝承を二人に聞かせる。
穏やかに話す語り口調に、叶奈と涼太は時折大きく頷きながら、その伝承に聞き入った。
満月の光が、優しく街を包む。
いつの間にか、鳩は戻ってきていた。鳩は庇に止まると、うつらうつらと眠る仕草を見せる。
夜が更けていく。三人の会話は、夜顔のように静かに花開いていた。
読んでいただき、ありがとうございました。
さて、ツナグ達が去った後の三人の様子はいかがでしたでしょうか?
私は、伝説や伝承を知るのが好きです。
それが、現実だったら……なんて、時折考えてしまいます。
もちろん、Ifの世界はたくさんありますが、その伝説や伝承が本当に今に繋がっていると良いなと思っています。
伝説や伝承では、不思議な話もたくさんあるので、実際に起こったかは定かではないものもありますが、ロマンがあっておもしろいなぁと思います。
まだまだ知らない伝説や伝承もたくさんあるので、そういうものもどんどん知っていけたらなぁと思います。
さて、叶奈達の世界とツナグ達の世界はどうなっていくのでしょうか?
ぜひ、続きもお楽しみいただけますと幸いです。




