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私の育った村

 「ねぇ、アリシア起きてってば。ねぇ、聞いてるの?

 こんなところで休んでないでさっさと、あなたの言っていたところに行きましょう」

 目の前できゃんきゃん言っている誰かの声が聞こえる。誰かと言ってもその正体はすでに知っているのだけど。

 

 恐る恐る目をけると、やっぱり目の前にはぐっすり眠ったおかげで元気になったアリーの姿があった。

 ほかの人からこの光景を見ていれば、私が巨大蜘蛛に襲われているとしか思えないだろう。

 それにしても自分が元気になったからって、疲れて寝ている人を無理やり起こすなんて非常識にもほどがると思う。

 

 「アリーそんなに騒がないでよ。あなたのその高い声、頭にガンガン来るわ」

  

 私がイライラ混じりにそう言うと、アリーはすぐにおとなしくなった。

 昨日のわがままな姿はどこに行ったのかしらね。


 ふと、寒気がすることに気が付いた。それは生き物の気配でなく、たんなる自然のものだった。

 それもそのはず、辺りを見回してみるとまだ夜が明けていなかった。寒さの中私は重い腰を上げて、自分に耐寒魔法をかけた。

 

 「結界にも重複魔法がかけられるようにならないとね。

 それより、あなたは寒くないの?もし寒いなら耐寒魔法でもかけてあげようか」


 私が聞いてみると、アリーは自慢げな顔を浮かべた。


 「私自慢じゃないけど、寒さには強いの」

 私は内心どうでもいいと思いながらも、アリーの6本の足を見ると、小刻みに震えているのが見えた。


 「ふふっ、あなたにを人に気を遣う心があったのね。安心したわ。

 でも、今度からはすぐ体に現れないように頑張ることね」

 私は笑顔でアリーに耐寒魔法をかけ森の中を歩き出した。

 そして後ろを見ると、とても不機嫌そうなアリーの姿が映るのであった。


 

 「よしやっと着いたわ」

 私たち二人がたっているのは、私の住んでいた村の入り口である。 

 アリーはというと一見疲れていなさそうにも見えるのだが、一歩一歩の足取りを見ていると、相当疲れているのだろう。


 「ねぇここはどこなの?もしかしてめんどくさくなったから、私をこんな村に売り渡そうっていうつもりじゃないよね?」


 こんな村とは侵害だ。見た目は小さな村に見えても、力で言えばその辺の王国騎士団にも簡単で勝ってしまうくらいのちからはある。

 力はあるのだが、なんというかこの村にいる人はみんな変なんだ。

 山菜をとってくるといいながら、帰ってきたと思えば大群の魔物を引き連れてきて、聞いてみると近くの山のボスになっと言い出し、ペットがほしいと言い出せば、本人は犬と言い張っているがどう見てもケルベロスだろうと思える奇怪な生き物を買いだしたりと、考えがおかしいのだ。

 でもそんな感じで今までやってこれたのは、兄のマキシムがいたからだと思う。

 今でも母からの手紙で、時々帰ってきているとのことだ。


 私は勇気を出して村へ足を踏み入れた。勇気を出してというのはいささか変だと思うが。

 

 入ったと同時に視界に入ってきたのは、先ほども話に出てきたケルベロスのべべである。村を出て以来の再開になるが、体長は5メートルほどまで大きくなっていた。アリーと比べてみるとアリーが小さく見えるほどだ。

 ケルベロスというのは本来は伝説級の生き物で、一匹で国が亡ぶほどの力を持っているといわれている。本来は主従関係にいるというのはありえない。

 だがそれができるというのがこの村である。


 いきなり現れたべべは、私とアリーを視界にとらえると私を尻尾でつかみ上げ自分の背中に乗せて、アリーと距離を取りつつ威嚇をしている。

 アリーはあまりの迫力に一歩、また一歩と後ずさりをしている。

 

 「べべ!私の友達になんてことしてるの」


 私は叱るようにしてべべの頭をこつんとたたくと、クゥンと言って耳をねかせた。

 私はさっとべべから降り、そっと耳打ちをするとべべはさっそうと村の奥へと消えていった。


 「アリーごめんね、怖い思いをさせてしまって。ちょっと準備がるからもう少しここで待っておきましょう」


 「ぜ、全然怖くなかったわよ。あの犬も私の強さに怖気づいて逃げたのね。

 はは、はははははあ」


 アリーは私の思ったとうりの反応をしてくれた。

 お母さんたちには早く準備をしてもわらないと。

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