脅し
私は今、王室の目の前で立ち止まっている。別に緊張をしているわけではないがさすがの私でも、ここをの準備くらいはしておきたいものだ。
スーハー、いざ突入。
「遅れて申し訳ございません、おじさま。いきなり呼び出されたものですから、全く用意ができておらず少々時間をとってしまいました」
入ってそうそう私は、謝罪の言葉を述べた。そして顔をあげるとそこには、国王をはじめ、ラジエル、アリス、マキシムまでもがそこにいたのであった。
何か嫌な予感がするような気がする。
「ようやく来てくれたか。わしの方こそすまなかった。こんなに遅くに呼び出したくはなかったのだが、このわがまま王子が聞かなくてな。
すまんが、少しの間だけ付き合ってはくれないだろうか」
以外にもおじさまは謙虚な言い方をしてきた。おそらく、私が断れないことを知っていてこんな言い方をするのだろう。
自分の息子が言ったからって自らが動くなんて、おじさまも過保護ですね。
「分かりました。それでは少しの間だけなら、お話に付き合うことはできます。しかし私も今日は疲れているので、なるべく短めにお願いします」
実際のところ、私は何を聞かれるのかがとても心配だった。
私が今魔法が使えないこと、こっそりと図書館にいってアリーと話していること、脱走を試みようと思ったこと。
意外と私は隠し事をしているのだ。
「では、話を始めるぞ。先日から時々お前さんの姿が見えなくなると聞いていたのだが、そのいなくなっている間お前さんはどこで何をしているんだ?」
よりによってそんなことを聞いてくるなんて最悪だわ。ラジエルあなた、そんなことまで親に相談していたなんて。
「おい、何を黙り込んでいる。父上が聞いているんだぞ、さっさと答えろ」
あーもう煩いわね、私は今それどころじゃないのよ。早くこのピンチから抜け出す方法を考えなくては。
でももうそろそろまずいわね、アリスとマキシムも疑いの目を私に向けてきているわ。
「おじさま、それは何のために言う必要があるのですか。確かに私は時間のあいている日は席をはずしていますが、それはラジエルが視察に行っているときや部屋にこもって書類の検討をしているときくらいです。
そのしている時間に私が何をしようと勝手ではありませんか。特段、怪しい行動をしているつもりはありません。この王宮からも出ておりませんし、それに関して何の問題があるのでしょうか?
あるいは、おじさまが私のことを疑っていらっしゃるのでしょうか?」
私はこの状況を打破するべく、とにかく言葉をぶつけまくった。話し方に苛立ちが混じっていたのをおじさまは感づいたのか、少しだけではあるが戸惑っている。アリスはさすがねと言わんばかりに笑みを浮かべて、マキシムはもう諦めた顔つきだ。
ラジエルの方を見ると、納得がいかなかったのか眉間にしわが寄っていた。
「おい、父上に向かってその口きき方は何だ。礼儀がなってないぞ。
お前はおとなしく質問に答えていればいいんだ。
ほら、父上も何か言ってください」
こうやって見てみると、物をねだる子供のようだ。この流れで行くと、おじさまは私に命令して無理やり言わせるだろうことは、大体察しがつく。
「お前さんにはすまないが、ここは権力を使わせてもらおう。
お前さんはどこで何をしているんだ」
は~い出ました、私の予想どうりです。まぁラジエルがこんなになってしまったのも父親のせいね。
最終的に権力を振りかざすくらいなら、最初からそうすればいいのに。
「分かりました。その質問にはお答えしましょう。私は今調べ物があるので図書館を出入りしています。その調べ物というのは私に関係しているものですのであなたたちには一切関係のないものです。それにできれば図書館には誰も近づけないようにしてほしいです。
もし、興味本位で私のことを詮索するつもりなのでしたら、命の保証はしませんよ。というよりその時はこの王都がなくなると思ってくれていても構いません。
これでお分かりになったでしょうか?私にとってそれは今一番大切なことなのです」
ひとまずこれでもうおじさまは何も言わないだろう。
でも、ラジエルの方はまだ納得のいかない顔をしている。
「力で脅すつもりか、卑怯だとは思わないのか」
へ?この馬鹿は今更何を言っているの。
「あら人のことは言えないではないですか?あなたたちも先ほど権力を使って私に無理やりはかせましたよね、違いますか?」
勝った。これで何も言えまい。それよりこのことはアリーに話しておかないと、万が一って時があるかもしれないから。
それに魔法が使えないってことがばれた時こそ終わりよ、何をされるかわからないからね。
「もういい、今夜は帰れ」
「それじゃあ失礼します」
私は私の時間を奪ったお礼に思いっきり殺気を飛ばしてやった。さすがにマキシムとラジエルは倒れないか。おじさまとアリスは意識と保つのにせいいっぱいのようね。
とりあえず私は王室を出た。そこには私の殺気にあてられた兵が二人倒れていた。
「まだまだね」




