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元伝説の聖女のたった1年の学生生活  作者: びわ
2章−剣術大会−
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(9)デートなりその3

投稿遅れてしまい大変申し訳ありません!!

2週連続だなんて…勝手に反省した気になっていた自分が情けないです。

 少し話していると、店員さんは私達の前にケーキを置いた。

 砂糖でできた花と、カットされたいちご、可愛らしい外見には見るからに甘そうだった。

 甘さの暴力だ。

「……美味しそうですね」

「あっああ。そうだな」

 ゲナイオス先輩の前には私のものよりも装飾が少ないタイプ。そっちにするんだった。

 後悔の中、私はケーキを口に入れる。甘いくてむしろ辛くなりそうだ。

 甘くて、ただ他の味がない。ただ甘い。笑いながら、美味しいと言いながら、私は心の中で文句をいう。

 ケーキを食べだしたところで会話は止まり、元々昼食は食べていた時間だったのでもうそろそろ解散する空気がただよる。

「……帰りますか?」

「そうだな」

 静かに歩く。本を持ってもらっているのでこのまま学園門の所までは一緒だろう。

「……」

「……」

 なんにも話さない空気が耐えかねたのか、ゲナイオス先輩は何か会話を探す。

「……なあ」

「はい?」

「6月、剣術大会ってのがあるんだ。」

「なんですか?それ」

「魔法中心の学園の唯一の剣術科主役の行事なんだ。」

「そうなんですか。では応援させていただきますね。」

 剣術科というものがあるんだから、剣術大会があっても不思議でもなんでもない。

 ゲナイオス先輩は何か言いたげにもそのまま歩く。

「また……見学して見てくれ」

「そうですね。また友人と行きます。」

 気づいたら日は赤くなって、ゲナイオス先輩の髪はよく映えていた。

 

 学園門前で、私は本を受け取る。剣術科も寮も勉強部分もそう変わらないけれど、食堂は別で、一旦ここで別れることとなった。

「ゲナイオス先輩、今日はありがとうございました。」

「いや、っこちらこそだよ。何かの縁出し……これからも仲良くしてくれ」

「ええ。では」

 ゲナイオス先輩は寮とは真逆の位置に行って見えなくなった所で私はゆっくり後を振り向いた。

「……ケノン」

「……」⁰

「キャロリ、クラノスト様。」

 気まずそうにしているケノンを引っ張ってキャロリが出てきて、それに釣られるようにクラノスト様が現れる。

「……グッ偶然だ……」

「ずっとついてきて?」

「たったまたま……」

「たまたまコソコソ私の後に来て、覗いてたの?」

「あ……う……」

 言い訳が思いつかないかのように指をいじる。私はあきれつつ、ケノンの頭をポンとたたいた。

「あた」

「痛くないでしょ?早いけど、夕食一緒に、どう?」

「食べる〜」

「切り替え!」

「僕もいいか?」

「良いですよ〜」


 ▽▼▽


 サンティ嬢の様子が少しいつもと違った。

 いつも微笑んでいて、笑っていない瞬間なんて一回も観たことなんてない。でも今見た笑顔はいつものそれとは全く違うものだったんだ。

「あっサンティさんでてきましたよ」

「ほんと」

「……」

 ゲナイオス先輩という奴はサンティ嬢が買ったであろう本を持って、サンティ嬢と歩いている。

 僕たちは背中しか見えないから、何かはいましているように見えるけれど、そうじゃないかもしれない。

 ただ、サンティ嬢の微笑み方が違った。いつもの完璧さはあるけれど、また別の、別の何かもあって、まるで、まるで……?

「……なあ」

「どうしました?」

「サンティ嬢の……笑顔じゃない顔って見たことあるか?」

「え?」

 インフォ嬢とドルネゾ嬢は考えながら、どんどん顔をこわばらせていった。首を小さくかしげると、革命でもあったかのように口を開く。

「……怒ってても笑ってはいるし……」

「睨む時も口元は笑ってるわ」

「泣いてるのは見たこともないし」

「怒り方も静かで……」

「「……」」

 少なくともここにいる3人は見たことがない。そんな事があるのだろうか?インフォ嬢は置いておいて、ドルネゾ嬢は同室だ。少しも、笑顔が崩れた瞬間が見たことがないなんてあるのだろうか。

 でもサンティ嬢は実際そうだ。それくらい、サンティ嬢はいつも笑顔で、崩れることはない。

 そうだ、さっきもそうだった。でも、でも何か違うなにかを感じられた。

 懐かしむような、愛おしむような。優しく柔らかくほんのり温かい笑顔。言語化できない笑顔があった。気がした。

 今、僕の中で感じたことのない感情が、胸の中から漏れ出した。  もや

 (……もや?)

 胸に手をおいても、心拍数はかわりない。でも妙に気分がすぐれない。僕は小さくため息をつく。

「……なんだろうな」

 独り言のつもりだったがインフォ嬢は僕の言葉を聞き取ったらしく近づいてきた。

「え〜セピノール様?どうしました〜?」

 インフォ嬢はニヤついていて、からかうような口調で僕に聞く。

 むしろ聞きたいくらいだ。

「いや、なんでも」

「え〜」

 残念そうにいうもの、まだニヤつきがある。僕の否定なんて気にしていないような顔つきだ。

「……」

「睨まないでくださいよ〜」

「?睨んでないが?」

「え〜でも怖いですよ〜」

「そうか?」

 怖がっているようには見えない。そして睨んでいない。

「あっ目つきが悪いだけですか」

「……失礼なことを言ってる自覚は?」

「事実ですよ」

 そう言えば去年変な兄貴ズラしてきた兄上も言っていた気がする。「目つきを直せば人も寄ってくるだろうに」と。うるさかったから聞き流していたが。

「そんなに悪いか?」

「いつも寝不足かと思うくらいには」

「……9時間睡眠なんだが……」

「じゃあ生まれつきですかね?ってそれよりも、サンティさん見えなくなっちゃいますよ」

 慌てたようにサンティ嬢を追う。足音も隠せていないこんな尾行はすぐにバレるか、泳がされているかの二択だ。今は泳がされているんだろうけど。

「目つき……目つきか……」

「ケノンの話をそう真剣に」

「目つきは直せるものか?」

「どうでしょう……」

 ドルネゾ嬢も何も言えずに考え込む。目つきが悪いことを否定されなかったから僕は目つきが悪いのかもしれない。

「はぁ……」

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