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鬼ケ島伝説 鬼がしらと呼ばれた男  作者: 武田 健太郎


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99/125

99.

村の入口に付いた所で誰かが倒れていた、良く見ると狼の毛皮を頭から被り腰に短刀を差した人がいた。


俺が近付くと俺に気が付いたのか、無理やりに起き上がろうとする。


ぐっぐぅ。


ザッ!! 聞いた事の無い音に警戒し刀の鬼がしらを抜く、倒れた人の事も気になるが兎に角回りに注意を払う。


街道を歩く者はいなく、山のや入口の崖の上にも誰もいない。警戒を怠らず倒れた人を抱えると入口から村に入り愛の屋敷の前の所で人を降ろす。


俺が狼の毛皮を着た人を連れてきた事で、村の人達が集まって来た。その中に夢がいた。

「将、その人どうしたの?」


「ああ、夢。ハルナは?」

「いるよ」


するとハルナが夢の後から顔を出して倒れている人を指差す。

「将、その狼の皮を着込んだ人はどうしたの?」


「村の入口で倒れていた、怪我か病気かは知らない。もしかしたら寝てるだけかも知れないけどな」

「ちょっと、勝手に拾って来たら駄目だよ。ちゃんと元の場所に帰して来たほうが良いじゃない」


いやいや、ハルナさんや一応は人だぞ。そこら辺の仔犬じゃ無いよ。


「そうだぞ将。勝手に拾って来ると探しに来た親が困るだろう、ほら拾った所に帰して来なさい」

な、夢まで。倒れた人をなんだと思ってるんだ?


「そうだよ、拾って来て懐いたら帰らなくなるぞ。そうなってから帰すのも大変だよ」

「私もそう思うよ、親が探してたら大変だよ」


ハルナと夢が2人揃い捨犬を拾って来た子供のを諭すように言う。う~ん、やっぱり仔犬さん拾って来たら駄目なのかな? 僕この子飼いたいな。


「将、そんな目をしても駄目」

「そうだよ、私もハルナも許しません」


しゅん。


って、違うでしょ。愛が言った神託の人が確認したくて連れてきただけだろ。

「取り敢えず、愛が起きたら確認してみる、神託の人かどうかも分からないしな」

「えっ? その子男の子じゃないの、女の子なの?」


「えっ、分からない。どのみち、こんな痩せこけている奴を放っておけないだろ」

「うちは人様に飯恵んであげるほど潤って無いよ」


ハルナと夢の視線が厳しい。

まぁ確かかも知れない、俺は畑仕事が下手くそで何時もハルナと夢からはぶかれる。


そんな事をしていると愛の屋敷の女中さんが来る。

「おはようございます。将様、ハルナ様、夢様。そちらの方を連れて屋敷においでくださいと愛様から言われております」


「あ、ハイ」

返事をした後にハルナ、夢と3人で顔を見合わせる。

「くっ、仕方ない愛姉が呼んでいるんだ、命拾いしたな」

「ふん、私は許さないよ」


こ、怖いです。この2人どうなさったの? はっ、もし俺がこの拾った子を入口に戻したら2人で息の根を止めに行ったかも知れない。

昨日の神託の話からだろう、この倒れた人が女だと思いハルナも夢も殺気立っている。でも僕は何もしておりません、断じて何もしておりません。それだけは約束出来ます。


「将、何してるの行くよ」

「ボヤッとしてると置いてくよ」


「ひっ、ひぃ!!」

慌てて倒れた人を担いで2人に付いて愛の屋敷に向う。しかし軽いな、飯食ってんのかな?


そう思う程に倒れた人は軽かった。


愛の屋敷に入ると倒れていた人を布団に寝かせる、すると女中さんが来て薬草粥をその人に食べさせ始めた。


「ゆっくりで良いよ。急に食べるとお腹が驚くからね」

「う、うん」


その時始めてこの人が返事をした。

女中さんに倒れた人を任せ、3人で愛の所に顔を出す。


「ハルナ、夢。勝手に捨てないよね」

「大丈夫よ、今女中さんが薬草粥を食べさせてるから。でも、良く分かったね。私達が捨るって誰かに言ったの?」


「あのね、その辺の犬じゃないの。神託が合ったって事は今後の貴女達に取って物凄く重要な事だからでしょ」

愛にそう言われるがハルナと夢はそっぽを向く。


「ま、私達は将に色目使わなければそれで良いけどね」

「そうだね、将は私達だけのものだしね」


「ハイハイ」

愛が呆れた顔で2人を見る。


「愛、あの倒れていた人たがカンバラと同じ染料で顔に赤い線を付けていた。もしかしたら同じ部族なのかも知れない」

「恐らくそうだろうね。そうなると将とは仲良くなってもらわないと行けないね」


「「駄目!!」」

ハルナと夢が愛を睨む。

どうやら神託の女が助けた人だと思っているらしい。


「なぁ、たぶんだけどあいつは男の子だぞ」

おんぶして移動して来た感想を言う。


「将、何故そういい切れるの?」

「そうだよ、誤魔化そうとしても駄目だからね」

ハルナと夢は物凄く疑っている。


「愛の神託は “赤い線を持つ者が鬼を従えた男と出会う、いづれは刀を交える者同士だが仲良くなれ。女が目覚める時・・・。” だろ。

つまり、別の文だ。


最初の文は赤い線を持つ者。

次の文から出るのが女だ。


それから背負った感じだがあいつは男だ。女みたいな良い匂いがしない、男特有の匂いだ」


「「匂い!?」」

ハルナと夢を抱き寄せる。


「ほら、これが男の匂いだ。ハルナや夢みたいな良い香がするわけじゃない」

「ちょっ」「駄目だよ」


クンクンと2人の匂いを嗅ぐと直ぐに恥ずかしそうにして離れる、こう言う反応はやっぱり可愛い。


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