96.
異世界Side
真っ黒い魔力に包まれたメルダリアが突然苦しみ出す、鳳凰の聖なる炎により全身が業火に焼かれ始めた為だ。
「小娘!! これはキトーが猛毒死毒耐性を付けた時にキトーが乗り越えた聖なる炎だ。貴様も乗り越えてみせろ、ちなみにキトーは天国を味わったと言って言ったぞ」
「クゴー!!」
メルダリアが人とは思えない程の怒声を上げ、倒れ込んでのたうち回る。
それを見たミューモが鳳凰に頭を下げる。
「鳳凰様、これを続けるとメルが亡くなってしまいます」
「それがどうした? 最弱の召喚者と言われたキトーは難なく生き延びたぞ、それも苦しみすらしなかった。
お前達はそれを見て笑っていだろう ‘’なんだ、たいしたことが無いな‘’ そう言ってキトーを馬鹿にしていたでは無いか?
小娘、お前も体験するか?」
「い、いえ」
ミューモがが固まってしまう。鳳凰が言った事は全て自分達がキトーに言い、やらせた事だ。
それをいざ自分がやるとなると恐怖を覚える、メルダリアの燃やされる姿を見るとあれは人を生きたまま殺す最悪の方法の一つだ。
肉の焼ける音、肉の焼ける臭い、苦しみながら助けを求めるメルダリアを、ただ見守るしか無い状況に、ミューモはその場から逃げ出したい気持ちにかられる。
それをキトーに過去当たり前のように課していた自分達を重ねる、それがよりミューモの気持ちにのしかかる。
メルダリアにかかる炎は消える事がない、鳳凰の聖なる炎は決められた物を全て焼き尽くし灰にするか、鳳凰が良いと思い自らの意思で消すまで消える事がない。
その後メルダリアはこの鳳凰の聖なる炎により、1週間以上の期間を焼かれ続ける事になる。
◇◇◇◇◇◇◇◇
異世界で大変な事になっている時、俺達も盗賊達を迎え討つ準備を急いでいた。やって来た盗賊達は10名程、全て倒す為にカメルンとアンに弓矢を持たせ構えさせる。
「良いか、これからあいつらを倒す。カメルンとアンは俺が指示を出したら一人づつ狙ってくれ」
「う、うん」
カメルンが何とか声を出す中、アンが緊張の余りただ頷く。
「心配するな、俺はお前達が思っているよりも強い。そんな俺が指示を出すんだ必ず勝てる」
カメルンとアンが顔を見合い互いに頷く。
盗賊達は1.5m位の間隔で距離を取り、4人一組の3列になってこっちに近づいてくる。
「マジックチェーン」
魔力の鎖を出すと盗賊達の足を絡め取る。
「ぐあっ」「なんだ?」
歩いている所を突如足が取られ動かなくなって地べたに倒れる。盗賊達が倒れた所に、手を上げてカメルンとアンに合図を送る。
起き上がろうとしてもがく盗賊達を狙いカメルンとアンが矢を放つ。
「ガハッ!」「ギャー」「何処から狙ってやがる」
カメルンとアンの腕前は大したもので、あっさりと盗賊達を矢が捉える。今回は殺す事が目的でなく、捕まえる事が目的だ。
盗賊達を藁縄で縛り付けるとその場に残し、カメルンとアンの元に来て指示を出す。
「俺はこのままルルイの跡地にコイツラを連れて行く。2人は先に戻って又兵衛の指示に従ってくれ」
「頭領、何か危険な事をするつもりじゃないよね?」
「アン、心配しすぎだ。
それよりも、子供達に2人が無事である事を伝える必要が有るだろ。
それから帰ったら少し話し合いだ」
そう言って2人を帰すと藁縄を掴み盗賊達全員を引きずりながら移動する、途中で地面に擦られ苦しみ出した盗賊達が立ち上がり自分で歩き始める。
ルルイの辺りに来ると他の仲間が酒盛りを始めていた。金を作らないと母ちゃん達に怒られると言っていたが、結構余裕がある見たいだ。
仲間達は全部で20人、見つけたその場でマジックチェーンを使い全員を拘束する。
「てめぇ何者だ?」
「何しやがった?」
「くそ、離しやがれ!!」
騒ぎ続ける盗賊達を刀の鬼がしらでみね打ちしていく。打たれた痛みで大人しくなる、そして捕まえた奴らを一人一人を藁縄で足と両手を縛り付けて転がして行く。
「お前達の親方は誰だ?」
俺の問に1人の男に注目が集まる。
いかにも厳つい感じの男で、俺のマジックチェーンを1人だけ何時までも外そうと頑張っていた親父だ。
その親父の前に来ると声をかける。
「おい、俺の言う事を聞いたらお前1人は助けてやる。どうだ? 俺の為に働かないか?」
「ほ、本当か?」
「マンジおめぇっ」
「まさか1人だけ逃げんのか?」
「馬鹿野郎、生きてなんぼだろうが」
「ふざけるなよぉ」
「おい、他の奴らはこの男を許さないのか?」
「「おお―」」「「「当たり前だ!!」」」
「あっははははははぁ。
本当に盗賊って変わらないな、何かホッとするとするわ」
異世界でもこっちの世界でも変わらないな、本当にこう言う下衆は嫌いだ。
後悔すること無く殺せる。
「お、おい、兄ちゃん!?」
ザン!!
「「「ひぃっ」」」
「俺はお前らみたいな奴らが一番嫌いなんだよ。間違っても生きて帰れるなんて希望は持つなよ」
ドドドドドドドド!!
馬に乗り、新たな盗賊達が現れる。
1人の盗賊が刀を出し、攻めて来る。
とっに刀の鬼がしらで応戦して盗賊の刀に合わせる。
ガキン!!
盗賊の振り向く刀を弾くと、それに合わせ馬に乗った盗賊達が俺達を取り囲むように集まり止まる。
その姿は実田の支配する国の兵士達とは違い、獣の皮を着込み、布地のズボンのような物を履いた者達だ。それを見た俺が捕らえた盗賊達が何やら震えている。




