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鬼ケ島伝説 鬼がしらと呼ばれた男  作者: 武田 健太郎


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94/125

94.

異世界Side


俺とカメルン、アンが盗賊達と対峙している時に、異世界では面倒事にみんな頭を悩ませていた。


ユウメル王女、旧魔人王の子供達と騎士団の話し合いによりタクテとダリアが足止めを受ける中、獣人族を中心とした盗賊団を率いるレベッカがメルダリアとミューモとデイブルを挟んで対峙していた。


「メルダリア、お前には何も言うことはない。大体私は父上から勘当された身、今更獣人族の国が何をして来ると言うのだ?」


それは、沢山の奴隷達を助け古城で貴族派のアーム男爵、サンザリア辺境伯の両軍を退け続けていたレベッカに対しメルダリアが詰め寄っていたのだ。


誰の援助も無くこれだけの盗賊団を食べさせるてる事や沢山の奴隷達を養うには、それ相応の力と金がいる。その出処をメルダリアが探っていた、と言うかメルダリアにしたら何処の誰がこの状況を知っているのか? そっちの方が気になっていた。


確かに、ここグランバルト王国は一枚岩では無い。いかに国王派と言えどサンザリア辺境伯を中心とした貴族派が中心のこの地では、レベッカをこれ程保護する事は正直に無理なのだ。


「だから、何度も言っているだろう。メルダリアが知らなくて良い情報だ」

レベッカが呆れながら何度目かの本音を言う。


「メル、これ以上は辞めな」

見るに見かねてミューモがメルダリアを止めに入る。


「しかし、ミューモ。これは国の根幹を揺るがす大問題だぞ、私はこの問題が解決出来るまで鳳凰様の元にはいけない」


余りに頑ななメルダリアを見てミューモとレベッカの2人が呆れられた顔をする。


「呼んだか?」

「「「ひっ!!!!」」」


メルダリア、ミューモ、レベッカの3人が驚いて振り向くとそこに鳳凰が立っていた。


真っ赤に燃える炎を身に纏い綺麗な女性の姿をしていた。この姿はキトーと

一緒にいる時にたげ見せていた姿だ、その時以外は鳥の姿。鳳凰を姿を崩した事が無かったのだ。


「「「鳳凰様!」」」

メルダリア、ミューモ、レベッカが椅子から降りて平伏する。


「良い、所で呼んだか? 何やら懐かしい声が聞こえた気がしてやって来たぞ」


「お、お久し振りでございます」

「本当だぞ、闘いが終わったらまた顔を出すかと思っておったのに」


「大変失礼致しました」

メルダリアが開口一番に鳳凰に謝罪した。鳳凰は赤龍よりもキトーを気に入って可愛がっていたのだ、ここで下手な事を言うとへそを曲げてしまうのではないか? 咄嗟にメルダリアがそう思ってしまった。


「しかし、キトーも大変な目にあったな。今回はその件でわざわざ来たのだろう?」

「ご存知でしたか?」


「当たり前です。なんせ今回の事はあの赤龍が仕掛けた事、私が知らずに宝玉を渡すはずがありません」

「「赤龍様が仕掛けた事?」」


メルダリアとミューモが顔を見合わせる、それを見てレベッカと鳳凰が不思議そうな顔をする。


「なぁ、メルとミューモは赤龍様から何も聞いていないのか?」

レベッカが驚き2人に確認を取る。


「「うん」」

「あの、馬鹿赤龍め!!」


鳳凰の苛つきで聖なる炎が辺りを焼く。鳳凰の聖なる炎は意思を持つと言われ、焼く物と焼かない物を分けるのだ。これが鳳凰が不浄な物を焼き尽くすと言われる所以でもある。


呆れた顔の鳳凰がメルダリアとミューモを見る。

「簡単に私から話して伝えてやろう。本来なら赤龍の馬鹿が言わないと行けない事だ」


キトー達が旅を始めるとグランバルト国王が赤龍に何度と無く面会を求め、国の存続に力を貸して欲しいと願い続けた事を告げられた。


初耳のメラダリアとミューモが驚いて言葉を無くしていた。

キトーと魔人王との対戦の最中に自分の父親がキトーを亡き者にして、尚且つ国を掌握する為の手段を得ようとしていた。


だが、これは国王であれば余りに当たり前の行動だと鳳凰は言う。

勇者と呼ばれ人気をはくしたキトーが凱旋した暁には、国王と言えど無下に出来ない。それどころかキトーを担ぎ上げ国王を失脚させ国を乗っ取る動きを見せる者が出て来てもおかしくはないのだ。


「た、確かにその通りだと私も思います。ですから私はキトーとの結婚を決めて国を一つにまとめようと思っていました」

「メルダリアよ、そなたは馬鹿か? そんな事をしてみろ赤龍によってこの世は、私と赤龍以外の者が居ない世界になってしまうだろ。本当に愚かで浅はかな考えを起すでない」


自分の思いを愚かで浅はかと言われた事に、メルダリアが唇を噛み悔しいそうな顔をする。

「キトーとの最初の約束は覚えていないか?」


鳳凰に突如そのように聞かれ、メルダリアがキョトンとする。

「覚えています。この件が終わったら母ちゃんを助ける為にも元の世界に帰る、キトーにそう言われ私達はそれを全力で叶える約束致しました」


「そうだ、それこそが我らの宝玉を使う契約に当たる。

だが、あろう事かそなたの父はキトーを殺害しようとし、そなた達はキトーとの約束を破りこの地にキトーを縛り付けようとした!!


だから赤龍が怒ったのだ、我らとの約束を反故にしたらどうなるか。

それを今一度思い出させようとしたのだ」

鳳凰の怒りに満ちた顔にメルダリア、ミューモ、レベッカが震えて大人しくなる。

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