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鬼ケ島伝説 鬼がしらと呼ばれた男  作者: 武田 健太郎


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92/126

92.

桃太郎Side


狼の討伐準備を整えた桃太郎達は其々の配下の兵士、合わせて100名を伴い目撃情報の多い武蔵の国と相模の国の中間に有る村を目指していた。


道中、様々な村を見て回るが狼によってやられた損害の酷さがわかった。


村の人達に話を聞くと、ある日突然猪等の獣が消えたと言う。


それは余りに突然の出来事で何かが起こると村人達であって話し合っていた時の事だ。突如、狼の群が現れた。


群を率いるボス狼は他の狼よりも一回りも大きく、顔に傷跡が残る狼らしい。


この狼は、とにかく人が仕掛けた罠と言う罠を嘲笑うかのようにかいくぐり攻めてくる。


けして深追いせずに確実に人を仕留めて行くその姿に、村人達は戦慄したのだと言う。


基本的に狼等の獣は腹を満たす為に他の生き物を襲う。だが、この狼の集団は違い人を目の敵にしているようで、大人から子供達まで殺しては放置して行く。


そのせいだろう、腐食した死体から病原菌が出てそれによって病気になる者までで始めたようだ。


そして村人達の話を総合してその狼達の寝床が武蔵の国と相模の国の中間に有る村ではないか、そう当たりを付けた。


「おい、亡くなった者達を入れる穴を掘れ。全ての者をその穴に埋めてこれ以上の病気の発生を増やすな」

「「「「「はっ!」」」」」


穴を掘る兵士達も直接死体に触らないように、木や壊れた家の戸等を使い死体を埋めて行く。


そんな桃太郎達の行動を見た村の人達が自然と集まり、どの村でも亡くなった人達埋葬する事が出来た。

そしてこの行動により、桃太郎の人気はうなぎのぼりに上がっていった。


各地を任された国の頭領達は、自らの住む場所が狼に襲われないようにと警備を固め、襲われた村々を放置していたのだ。


そこに現れた桃太郎は、さながら救世主のように見えたのかも知れない。


だが、狼にやられた者達や村があまりに多く、予定していた時間よりも大幅に時間がかかり目的の村の近くにくる。


その村でも埋葬から始まり、生き残った者達が復興に向けて励めるように指示を出す。


そして不思議と桃太郎達が村々を訪れてから狼達の出現の目撃がパタッと無くなってしまった。


巣の有る場所と目された村も狼達の被害が無く、また狼が出現したと言う噂は聞いていたがたいしたことが無いと考えていた程に落ち着いていたのだ。


「して、猿山。狼共の目撃情報はどうだ? まだ何も無いか」

「ハイ、今兵士達を付近の村々に向かわせておりますが何も。それと国を納める頭領達からも狼の目撃が無くなったと報告を受けております」


「そうか、皆どのように考える?」


雉子藤が手を上げて話す。

「ハイ、恐らく狙いを他の場所にしたのだと思われわす。狼共の縄張りはかなり広く、下総、武蔵、相模、信州の辺りまでがその範囲かと思われわす」


「フム、他に意見がある者はいるか?」


犬飼が手をあげる。

「この狼の共の頭領は凄く警戒心が強く、単独で動く者を狙い襲うと村々で聞いております。


集団で来た我々を見て、警戒してなりを潜めたと私は考えます。我々がいなくなるとまた、この辺に姿を現すのではないと」


そこに猿山が手をあげる。

「桃太郎様。雉子藤、犬飼の意見はどれも正しいと存じます。

奴らは1日で幾つもの国を跨いで移動します、我々がここに来た事を感じた狼達が他の場所に拠点を移した、そう考えるのが正しいかと」


「わかった、ここと実田の間に有る村に我らの拠点を置く、兵士は30名を残し雉子藤、犬飼、猿山の3人で交代で見てもらう。


そして狼の目撃情報等が有れば直ぐに知らせよ。我らは何処に居ても直ぐに動ける準備をして置く」

「「「はっ」」」


「ここで狼の群れを殲滅しないと行けない。これ以上の被害が出ては村人だけで無く我らの足元すらすくわれてしまいかねない」


桃太郎の眉間に深い縦しわが刻まれる。


それから本陣を実田の役所が有る街の近くに戻し、犬飼を残し桃太郎達が戻って来る。


すると下総の方面で狼の大きな群れが出たと報告が有り、猿山が兵士30を連れて移動する。


そこでも亡くなった者達を埋葬しながら進んだこともあり、予定の日時を大幅に過ぎて目的の村に到着する。


だが、それが良かったのか猿山が到着した次の日に狼の大きな群にその村が襲われてしまう。

だが、兵士達と猿山の頑張りもあって村が全滅する事は避ける事が出来た。

ただ、猿山も腕に傷を負ったほか、兵士が10名程亡くなってしまったのだ。


その報告を受けた桃太郎が、雉子藤に命じて相模の国辺りに陣取らせ狼達の襲撃に備える。


雉子藤の所は狼達との戦闘が幾度と無く行われる事になった、丁度この場所が狼達の通り道になっていたようで襲われる村の数も多く、その都度、桃太郎が兵士を経ちを連れて雉子藤の元に駆けつけては、狼との闘いにおわれたのだ。


そして最悪な事に、その闘いの数日後には猿山の所に現れたり、犬飼の所に現れたりと、まるで桃太郎を嘲笑うかの如く狼達に翻弄される日々が続いてしまったのである。



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