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鬼ケ島伝説 鬼がしらと呼ばれた男  作者: 武田 健太郎


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83.

「それでその子をどうするつもりだ?」

「実はな、又左の母親と父親がその女の子を守る為に亡くなった。

そうなるとその女の子もここで暮らす事が出来ない、だからわしの兄弟か愛様の兄弟姉妹の所で誰か見てもらえないかと思って声をかけようとしていた所だ」


忠勝のおっちゃんが悲しそうにそう話す。愛も又兵衛も湯吉もその子は何も悪く無い、そう口を揃える。


「その子はなにが出来る?」

「たいした事は出来ない、けど。裁縫に木こりのような事は出来るぞ。又左に付いて造船の手伝いをしていた、ある程度指先も器用だ」


「わかった。ならその女の子は俺が預かる、良いな」

「何処かツテでも有るのかい?」


「ああ、合わせてだが俺達も旅の報告をする」

「今かい?」


愛が不思議そうな顔をする。別に今しなくても、そう顔に書いてある。

「今後の俺達の行動にとって最も大切な話だ。そして又兵衛と湯吉は必ず一度は俺と一緒に行ってもらわないと行けない」


皆んなが顔を見合わせる。

「それ程の事か? 将、そこに私は必要無いのか?」


愛が良く分からない事を言い出した、仲間外れにされたような気がしたのかも知れない。


その後、旅の内容を順序立てて話し始める。

忠勝のおっちゃんの弟に会った事、その際つむぎ村で、ヤヒコとオネに会いつむぎ村を出た所でヤヒコと対戦した事、つむぎ村に実田の犬飼 小五郎 綱為と猿山 胸吉 六郎が視察に来ていた事を伝える。


忠勝のおっちゃんと愛が驚いた顔をしている。

「将、ヤヒコは一応生きているのか? まさかと思うが、死んではいないよな?」


「俺はそこまでしていない。オネの顔を立てたつもりだぞ」


愛が頭を抱えつつ話をし始める。

「なら良いよ。ヤヒコとオネはね、犬飼家の親戚に当たるんだよ。

私の母親違いの弟が親でね、その弟と犬飼家の娘が結婚して領地代わりにもらったのがつむぎ村さ。

取り敢えずその程度で済んだなら犬飼家も何も言わないだろうさ」


なる程な、だから犬飼家や猿山家の話しが出たのと、視察と言ってあいつら2人が来たのか。


まあ、地盤固めと言うべきか。一族で固めて地盤を少しでも強くしようと思ったのだろうな。


「それからだ、牟岐村でショウジとコトリと言う人に会った」


「えっ? コトリ、まだ一緒に住んでるの?」

愛が口を半開きにして呆けてしまった。


コトリとショウジの関係はかれこれ5年以上にもなるらしい、コトリは元々ルルイの近くに有る村の娘でカマリの一員だったらしい。


所がある任務の時に両目を負傷、全盲になる。すると時東家からあっさりと捨てられたのだ。その時、たまたまショウジの村の近くにいて負傷したコトリを助けて、元気になるまでと言って面倒を見始めた。


それを知った時東 桃条 小太郎が知りショウジに元に来た。

そして裏切り者のコトリを差し出せとショウジを脅す。


だがショウジは「傷付き自らの力で生きる事の出来ない者を、放り出す真似は出来ません。自らの力で生きて行けるまで私が面倒を見ます」

そう時東 桃条 小太郎に宣言をしたのだ。それに腹を立てたが、取り巻きの犬飼 小五郎 綱為、雉子藤 四郎 籠一、猿山 胸吉 六郎の3人によって止められる。


そして3年が経った頃には時東 桃条 小太郎から許しの言葉を与えられた。

「ショウジ、コトリ。共に仲良く生きるが良い、コトリはもうすでにまともに生きれる術を持たずショウジ無しでは生きては行けない」


そう言ってカマリだったコトリをショウジに預けたのだ。


愛達はその言葉をもらった後はショウジはコトリを手放すと考えていた。所が5年も過ぎて未だ一緒にいる事に驚きを覚えたようだ。


「ショウジは良い男だな。何だかんだと文句を言いつつもコトリを大事にしているし、コトリもそんなショウジが好きなのだろう。

ショウジと一緒にいるのを楽しそうにしていた」

俺がそう伝えると愛がニコニコしながら話を聞いていた。


「さて、ここからが本番だ。2人に頼まれた事は全て話したが問題は無いと思うがいいか?」


忠勝のおっちゃんと愛が頷く。


「元々ルルイが合った場所に行ったときだ。ルルイの生き残りのカメルンとアンと言う奴等に会った。


2人はルルイの近くの山と山の間の深い谷に隠れるように集落を作って暮らしている。そしてそこに住むのはほとんどが実田と実田の息のかかった盗賊達によって親を殺された子供達だ」


そこまで言うと愛の顔色が変わる。

「まさかと思うが、その子供達も関わるわけじゃ無いだろうな、将?」


「愛、その通りだ。」

「な?」


愛が固まる。多分、愛に取っては予定外の事を俺達がしたのだろう。

たが仕方ない、カメルンとアン達の面倒を見ると決めたのは俺達3人だ。誰が反対しようとその約束は果たさないといけない。


「先ず最初だ。又左の親戚の女は俺と一緒にその集落に行ってもらう、もう大蔵村では生活が出来ないだろう。

それから、っ」

「待て待て!!」


愛が両手を前に出して俺の話しを止める。



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