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鬼ケ島伝説 鬼がしらと呼ばれた男  作者: 武田 健太郎


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79/126

79.

どうしよう。カメルン達が頭を下げて来たし、ハルナと夢は俺を見て何か言えって顔してるし。


しかし俺に頭領になって生きて行く力を付けて欲しいって言われてもな。


「鬼頭の頭領、今日は俺達の村に案内する。ゆっくりしていって欲しい、今日これからこの山を抜けるのは止めた方が良い、今日は盗賊や実田の取り巻きが動く日だ。ウロウロとしない方が安全だ」

「実田の取り巻きって何だ?」


カメルン達が悔しそうに下を向く。

「ルルイの街が合った時は実田になびく事も無かったこの辺の豪族達だ、今や実田から名前をもらい小さい領地をもらって国を名乗っている。


そいつらが毎度ルルイの街の辺りをうろついて、元々ルルイに縁があった者達を捕まえてしまうんだ。実田を裏切る奴だって言ってな、ここに居る子供達の多くが親が捕まって行き場が無くなった」


なんとなく、そこまで話しを聞いて理解した。カメルンが一番年上でこの子供達を率いて生きているんだろう。


「将、どうする?」

ハルナが困った顔で聞いてくる。


だよな、ハルナがそんな話しを聞いたら助けないと言う決断は出来ないよな。


「私は反対だ、けど将が決めて。将が決めた事は私は守る」

夢はまだ警戒が解けていないのか辺りを警戒しつつ俺の決断を待つ。


さて、どうしたものか。

この子供達の面倒を見ると言ってもたった数日で強くなるわけは無いし、かと言って何時までもここに居てもいいわけじゃない。


そんな事を考えている時、突如頭の中に警戒アラームが鳴る、かなり不味いものが近付いている時のものだ。


「とりあえず、動ける奴らは動けない奴を連れて脇の林に入る。


カメルン、直に動け!」

「え、え?」


何が起きたか分からないカメルンが慌てていたが、ハルナと夢が動け無い奴を抱えて脇の林に入って降ろしていく。俺も動け無いやつを数人抱えて林に入り、ボヤッとしているカメルンを拾って林移動する。


そしてインベントリから簡易テントに使った枯れ草等を出して皆んなにかけると身を潜める。


ドドドドドド!!


馬に乗った集団が俺達がいた辺りまで来る。鎧を着込み、馬を操るその姿を見た時カマリ達を思い出した。


クラもアブミも無いのに、馬のたてがみ一つで手足のように乗りこなすその姿は流石に圧巻の一言だ。


「おい、見当たらないぞ。

カメルン達だ、徹底的に探し出せ」

林の方に来たり反対側の家々が建ち並ぶ方に行ったりと、小一時間ウロウロとしていたが帰って行った。


辺りに誰もいなくなったのを確認してからカメルン達を見る、半分程の人達が震えていた。どうやら余っ程恐怖を植え付けられる程の出来事が合ったみたいだ。


「ハルナ、夢。今日はカメルン達の所に泊まる」

「え? 良いのか?」


カルメンが何か勘違いして嬉しそうにしているが、ハルナと夢はやっぱりと言わんばかりの顔をしていた。けどさ、こんな状態でほっとけ無いでしょう。


カメルン達の住処は林の中に作られた掘っ建て小屋だった。

その中にまだまだオムツが取れたばかりだと思われるような小さい子供達もいた。


「とりあえず入ってくれ」


カメルンに言われ掘っ建て小屋に入る、カメルンと変わらない年頃の女性がいた。

「アン、遅くなった。すまない」


「良いよ、それよりその人達は?」


アンと呼ばれた女性が俺達を見て少し警戒する。

「この人は俺達の頭領になる人だ」


「おい、まだやるなんて約束してないぞ」

「いや、言ったもの勝ちだろ」


この野郎(怒)と、そう思った所で回りを見ると子供達だ、物珍しそうに俺達を見る。


「所でお前達、食い物とかは有るのか?」

「心配は無い、この辺はウサギやウリ坊何かが良く捕れる、おまけに年中雉も捕れるしな」


それを聞いて少し安心はした。だがそうそう上手くは捕れていないのだろうな、体が細い子供達が多い。


俺がカメルンと向き合い座る。

「お前達は何を知りたい。俺に出来る事はそんなに無いぞ」


「戦い方を教えてくれ、俺達が守りたいのは子供達だ。あの子達は親の記憶も無い、実田の奴らが盗賊を野放しにしてやがるせいだ。


こうなると身売りしないと生きて行けない子供達で溢れてしまう」


そんな話しを聞いたハルナが立ち上がり、ハルナの声に夢が同調する。

「将、この子供達の面倒をみよう。

大蔵村からここまでだったらそんな遠

く無いでしょ」

「私も賛成だ。私達だけで蝦夷の奥まで移動するにも言葉も分からない、そうなったら生きても行けないだろう。


この辺の言葉を知る者達との繋がりは必要不可欠だと私も思う」


また、ハルナと夢が真っ直ぐな目で俺を見る。そんな真っ直ぐな目で見られたら俺が断れ無いでしょうよ、ほっとうちの奥様達は。


「わかった」

「「将」」「本当か!?」


「カメルン、一つ条件が有る。

俺達はここにずっと居るわけには行かない。

だから、定期的にここまで来る。そしてお前達は俺に何かあった時はハルナと夢と一緒に陸奥まで移動してもらう。それでも良いか?」


「ああ、約束する。正直ここも何時までも見つからないと言う保証は無い」

そう言うとカメルンとアンが揃って頭を地面に付ける。


◇

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