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鬼ケ島伝説 鬼がしらと呼ばれた男  作者: 武田 健太郎


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78/125

78.

「だって、愛姉が言ってたよ。赤龍って言う神様が将を無事に返してくれたら私とハルナは必ず生きて安全な場所に行けるようにしてくれるって」

「そうだよ。それもその龍神様が例えここで別れても、また将と会えるようにしてくれるだって」


「へ?」

何だそれ? てか、赤龍の奴何を勝手な約束してるんだ?

それにしても赤龍が俺をここに送り込んだって言うのはどう言う意味だろうか、おまけにハルナと夢と合って幸せを得ろってどう言う事だ?


「そうか、良く分からないけど帰ったら俺も愛に話しを聞いてみるか」


俺の言葉を無視してハルナと夢が左右からくっついて付いてくる、寝床に入り3人で横になって話しをしてたせいか2人が抱き付いてくる。


翌日、目覚めてから寝床をしっかりと元の状態に戻してルルイに向かい先を急ぐ。


途中の村でルルイの場所を聞くと少し寂しそうな顔をする。

「お兄ちゃん達もルルイの出身かい。行っても良いけど落ち込むんじゃないよ」


「俺達以外にもルルイに来る人がいたのか?」

「ああ、時々ね。でも皆村を見て落ち込んで帰っていくよ。

昔は凄く人も沢山居たのにね、あんな事が有るとね。誰も近寄らなくなるからね」


近くの村のおばちゃんに話しを聞いてから先を急ぐ、昼前にルルイがあったらしい場所に付くことが出来た。


その場所は物凄く荒れ果てていた。家は朽ち果て、盗賊達や回りの村々の人達が使える物を取ったりしたのだろう。畑から木が生え家だと思われる残骸が所々に落ちている状態だ。


言葉にならない状態にボウっとしていたのか、回りを囲まれた事に気が付く。


ザザザッ!! 複数の獣の皮を着込んだ者達がやって来た。手にナタのような物を持ち腰を落し油断無く俺達を囲む。


「お前達はなにしに来た?」


誰が発したかは分からないが突然そう話しかけられた。だが、その言葉は夢とハルナは分からなかったようでキョトンとした顔で見ている。話している言葉が蝦夷と呼ばれる地域の言葉無のだろう。流石は俺の言語翻訳スキル、優秀過ぎるぞ。


「俺達はルルイが有った場所を見たくて来た」

「ここがルルイだと誰から聞いた?」


「この場所の近くに有る村の人達だ」


そう言うと獣の皮を頭から外し1人の男が俺を見る。

「お前良く俺達の言葉が分かるな」

「俺の特技だ」


男が1人俺達の前に来る、それを見たハルナと夢が警戒し始める。

「大丈夫だ」

「「でも」」


ハルナと夢を背中に隠して男と向き合う。

「お前、名前は?」

「俺は鬼頭 将。あんたは?」


「俺はダンカ村のカメルンだ。後ろの女はお前のか?」

「ああ俺の妻だ」


「2人もか?」

カメルンと名乗った男の驚いた顔が少し面白く思えてしまう。


「で、なにしにここに来た」

「ルルイを見に来ただけだ、いずれは陸奥まで旅に行くと思ってな」


「何故そのような所に用がある?」

「それはカメルン達には必要の無い話しだ。それと後ろの奴、お前それ以上近付くなよ。命の保証は無いぞ」


俺達の後ろから3人の獣の皮を被った奴らが近付いて来ていた。それに気付いたか夢が刀に手をかけ臨戦体制を取る。


「お前達はこの数に囲まれてまだ勝てると思っているのか? 不思議な奴らだ」

カメルン達が勝ち誇ったように笑う。


「将、コイツらなんて言ったの?」

ハルナが少し苛つきながら聞いてくる。


「数に物を言わせて俺達に勝つつもりらしい」

「ふっ」


俺の言葉に夢とハルナのやる気スイッチが入ってしまったらしい。

夢は呼吸を整え何時でも動けるようにしているし、ハルナは拳を強く握り何時でも戦える状態になっている。


本当に頼りがいのある妻達だ。


カメルンが手を上げる、それが合図になり一気に獣の皮を着込んた奴らが襲ってくる。


結果は言う事も無いくらいに俺達の圧勝だ。夢は本当に強く格好良いし、ハルナも戦う姿が絵になる位に綺麗だ。


そして最後にカメルンが残る。

「さて、カメルン。お前1人だ」


「くっ」

カメルンが恐怖で動く事も出来ずにただ震えている。


「別に殺してはいない。怪我の手当てをしてやればまた、動けるようになる」

「何? このまま帰るつもりか?」


カメルンが驚いて俺達を見る。

「俺はお前達と争うつもりは無い、俺達の目的は迷う事無く陸奥と言われる辺りに行くことだ。

だが今行くわけじゃないしお前達と敵対するつもりも無い」


カメルンが俺の所に来て土下座する。

「鬼頭 将。

我らの頭領になってくれ、俺達はこの辺の村から捨てられた。そんな子供達の集まりだ」


「へ?」「ちょっと何言い出すの?」「将が貴方達の頭領になるの?」

カメルンが突然、ハルナや夢に分かる言葉を使う。


「カメルン、お前京言葉を話せるのか?」

「ハイ、元々ルルイの村は京の都とも取り引きをしていました。

俺達の仲間も半分近くは京言葉が話せます、お願いします。俺達に生きて行く力を付けて下さい」


「「「お願いします」」」

カメルンの後ろに動ける人達が並び同じように頭を下げる。



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