74.
異世界Side
男に案内をされて中に入るとレベッカを中心に子供達と女性達がいる。
「レベッカ、相変わらず子供達を助けているの?」
「ミューモ、今私はかなり機嫌が悪いの。余計な事は言わないでもらえる」
肩をすくめるミューモの横にメルダリアが立つ。
「久し振りね」
「メルダリアか、キトーはどうした?」
「ごめんね、キトーもタクテもダリアも皆んな別行動よ」
「3人一緒か?」
レベッカが不機嫌に聞く。
「違うわ、キトーは単独行動。タクテとダリアは赤龍様の用事の為に別行動よ」
「ふ、キトーは相変わらず単独行動してるのか?」
「ええ、何時もの通りよ。キトーは良かれと思ってやってるのに全てが裏目裏目に出るから、多分一人でもんもんとしながら頑張ってると思うわ」
「はは、その辺は変わらないね。
で、何しに来たの。まさか私の顔を見に来たわけじゃないでしょ」
メルダリアが真剣な顔になる。
「私達は鳳凰様の所に行く途中よ、そこで悪い話を聞いた。私達の仲間が何処かの貴族達に狙われているとね、そうなるとさほおっては行けないのよ。
それがレベッカ、貴女の場合は特にね」
「そうそう、キトーを取り合った奴が捕まって奴隷なんかになってしまうと後悔するでしょ。特にこのメルがね」
「ちょっとミューモ、余計な事を言わないで」
ミューモがメルダリアをからかうように言う。
「レベッカ、貴女を狙ってるのは誰?」
ミューモが真剣な顔をする。
サンザリア辺境伯とアーム男爵は獣人族に対して温厚だと言われていた、逆にダンマ子爵は獣人族や魔人族に厳しく特に領地内には入れない等徹底した対策を取っている。そう言われている。
「メルダリア、ミューモ。あんた達はサンザリア辺境伯とアーム男爵、ダンマ子爵と言うこの辺の領主達の内、誰が奴隷を持っていて誰が奴隷狩りと称して人族、獣人族、エルフ族、精霊族、魔人族を捕まえているか分かる?」
「私はダンマ子爵だとお父様から聞いているわ。ただ、確証も無いからはっきりとは言えないけど」
「そう、メルダリアはこの国の王女だもんね。ミューモは?」
「ごめん、私は分からない。
私は女神正教の教を守るだけよ、誰であれどんな立場の者であれ奴隷制度には反対してるの。だから奴隷を扱う盗賊達が一番嫌い」
「ふ、ミューモは相変わらずぶれないね、もしこの国を預かる貴族達が奴隷商人の元締めだとしたらどうする?」
「「潰す!!」」
メルダリアとミューモの声が揃う。
「おいで」「「ボス!!」」
「かまわない。この人達を連れておいで」
複数のレベッカの配下が止めるがレベッカかが構わずにメルダリアとミューモを連れて奥に移動する。
するとそこにいたのは奴隷の首輪を付けられた多くの人達で溢れかえっていた、メルダリアとミューモの2人は言葉を無くして立ち尽くす。
「ミューモ、奴隷達を解放してもらえないか? 私達が知る解呪魔法じゃ無理なんだよね」
「わかった、この人達を見て見過す事は私には出来ない」
「ここにキトーがいなくて良かった」
メルダリアがボソッと言うと、それをレベッカが拾う。
「本当だよ。キトーが見たらこの国全てが無くなってるはずよ」
キトーを知る3人が顔を下に向けてしまう。キトーとの旅で、グランバルト王国の闇の部分を沢山見たのは言うまでも無い。
魔人王が攻めてくる中、混乱に乗じて自らの私腹を肥やす事だけに夢中になる貴族達のなんと多い事か。
その中で特にキトーが腹を立てたのが奴隷達の売買だ、奴隷売買を主な生業にしてきた商人、貴族等をキトー1人でほぼ全てを潰したのは事実。
そんな奴隷売買で利益を出していたグランバルト王国の貴族達も、戦争と言う名前でキトーの粛清を受けのだ。
だが組織の元締めと言われる人物だけが見つからなかった、当時からダンマ子爵が元締めだと言う噂は合ったが、確定した情報が出ない事から誰も手を出す事は無かったのだ。
魔人王が人族の国を標的にしていた大きな理由、その一つがこの奴隷売買だ。その奴隷の多くが獣人族と魔人族だった事から、奴隷となった魔人族の解放を歌い魔人王が攻めて来ていたのだ。
「レベッカ、私の準備は出来た。
これから始める、でもその前にネズミが混じってる。解放出来たらあんた達で何とかしなさいね私魔力枯渇すると思うから」
「任せておけ。ネズミ狩りは私達が一番得意としている所よ」
その後、大規模な聖魔法の解呪魔法が発動する。奴隷契約の魔法を唯一、完全に解く事が出来ると言われる最大魔法をミューモが使う、すると1人また1人と奴隷の首輪が外れ体に付けられた奴隷契約の紋章が取れて煙のように消えて行く。
そんな中で数人の人達だけが、首輪が外れず紋章も取れない者が出る。これがミューモが言ったネズミだ。
レベッカ達の情報を元締めに提供する為に奴隷の中に混じっていた者達、奴隷等では無く奴隷のような格好をして潜伏していた偽物達だ。
「さて、炙り出されたな。全てを捕らえろ」「「「「「おー!」」」」」




