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鬼ケ島伝説 鬼がしらと呼ばれた男  作者: 武田 健太郎


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72/125

72.

異世界Side


商会のキャラバンに同行中のメルダリアとミューモは、護衛で付いてきた冒険者達からこれから向う先の情報を得ていた。概ね、商会から聞いた情報と齟齬が無かった事から聞いた情報が正しいと判断をする。


鳳凰の住む死の草原を目指しているが、途中の村々に到着すると商会の到着を待ちわびた村の住人達との商いが行われて行く。


この為、真っ直ぐに進めば1週間程で付くのを2週間近くもかかって問題の村の近くに来た。


最初の村は落ち着いた感じのように思えた、だが、そこに暮らす人々の顔には疲れが見えた。生活に必要な物資は揃っているが、何かよそよそしく問題を抱えている事が聞かなくてもわかる程だ。


商会の代表者達と村の村長の元を訪ねる。村長が歓迎してくれて沢山の食べ物等を用意してくれた。


たが、女中の子供達は食べ物を見てよだれを垂らしす状態。にも関わらず村長は何事無いと、何の問題も無いのだと、ただそう言うだけだった。


その日、村長の家の隣の空き家を借りてメルダリアとミューモが寝ることになった。


夜遅くに家の回りを囲まれた事に気が付き目を覚ます。

すぐさま、剣に手をかけてミューモを庇うように家を出る。月明かりに照らされた中で村の住人達が土下座しながら2人に何かを謝っていた。


その異様な光景に驚きを覚えつつも村の住人に声をかける。

「お願いでございます。あの子を殺さないでください」


「あの子とは誰の事だ?」


そう聞かれた住人は、頭を地面に付けながらただ謝り続けるだけだった。


メルダリアが他の住人にも声をかけるが、誰一人としてその名前を言う事もなく誰かがわかる情報を言う事も無かった。


その異様な光景を目の当たりにした2人がある結論を出した、それはここから2人だけで行動する、だ。


商会のキャラバンか、同行した冒険者からか我々の情報がダンマ子爵、アーム男爵、サンザリア辺境伯に漏れている。そう判断した。


するとあの獣人族の娘にも何やら問題がおきていると思って間違いが無い、おまけにこれ程村の住人達が助けて欲しいと願う程だ。狙われて苦戦しているのは明らかだろう。



メルダリアが剣をしまうと近くにいた住人に声をかける。

「私とミューモはこのままこの村を出る、朝にでも商会の代表者か冒険者の者にそう伝えるが良い。


ソナタ達の行いは追って沙汰を伝える」

「ハイ、我々の首一つであの子が助かるならみな喜んで差し出します。何時も魔獣から我々を助けてくれた人達が、勝手にやって来て無茶苦茶な事を言う騎士団からあの様な扱いを受けるのは我々としては納得が行きません」


「そなた、名は?」

「ダンダゾロと申します」


「ダンダゾロだな、覚えておく」

メルダリアとミューモがダンダゾロと名乗った男を見て村を出て行く。


村を出て街道に出るとメルダリアとミューモが立ち止まる。

「出てきなさい、付けているは分かっています」


ミューモが後ろを振り向きそう声をかける、すると一緒にキャラバンの護衛をしていた数人の冒険者達が出てくる。その手にはすでに剣が握られ何時でも攻撃出来る体制を取っていた。


「なにしに付いて来た? こんな夜更けに女の後を追ってくるなど盗賊のする事だぞ」

「何を言ってますか。夜更けに村を出て行く者がいたなら警戒するのが普通でしょう、さあ帰りましょう」


ミューモが相手をする中、メルダリアがある事に気が付く。この出て来た冒険者はかつて一緒に戦ったサンザリア辺境伯の騎士、サンザリア辺境伯はアーム男爵の寄親だ。アーム男爵はサンザリア辺境伯に逆らう事は出来ないはず、すると後ろに控えているのがアーム男爵家の騎士達だろう。


「私達はこれより別任務に移る、お前達は帰るが良い」

メルダリアが威厳を持ってそう伝える。


「メルダリア王女、私はサンザリア辺境伯家の騎士。その私にそのような事を言いますと後程後悔なさいますよ」

「お前達が何処の騎士団であろうと関係は無い。我らと対峙するなら容赦はせぬ、私が言える事はそれだけだ」


騎士が手を上げると回りを複数の者達が取り囲む。

「ここにいるのは恐れ多くも王女殿下を語った族共だ、我らの国の英雄を愚弄した者を倒せぇ!」

「「「「「「おおー!!」」」」」」


ふぅと溜め息を付くミューモが、取り囲む騎士を覆うように円を描いて結界魔法をはる、それは逃さいと言う意思表示だけでは無く騒ぎを聞き付け追手が来る事を防ぐ目的もある。


それに合わせメルダリアが剣を抜く、その姿は姫騎士と呼ばれ勇者のパーティーの一員であった事を物語る凄みが有る。


メルダリアが剣を抜いた瞬間に集まった騎士達が皆後ろに下がってしまう。

「しかし私達も甘く見られたものだな、これでもキトーと共に旅をした仲だ。お前達ごときに負ける理由も有るまい」


メルダリアが何故王女で有りながらキトーと共に旅に出たのか? それはひとえにその強さ故だ。


生まれ持った才能と言うか能力が余りにも違いすぎた。身体強化、瞬発力強化、目視強化、動体視力強化、身体硬化、筋力強化に至る様々な特集技能を持って産まれた。


たった3歳で大人用の両手剣を片手で軽々と振り回し、並居る騎士達と対戦しても負ける事の無い能力を持った子供。それがメルダリアだ。


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