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鬼ケ島伝説 鬼がしらと呼ばれた男  作者: 武田 健太郎


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66/126

66.

「将、それは何?」

「まだまだ、私達が知らない妖術を持ってるの?」


夢とハルナに詰め寄られるが、知らない妖術って言われても沢山有るしな。基本的に攻撃魔法はこっちに来てからほぼ使った事無いし、2人が知らない事だらけじゃないのか。


何か見せても良いものが有るのか考えてしまう。

「見せた事の無いものなら沢山有る。いくつか見せようか?」


「「うん!!」」


ハルナと夢が目を輝かせて俺を見る。


仕方なく発火と小さい旋風を出す事にしてみた。手のひらに小さい火種を出しす。

「「火?」」


「将、それ本物?」

ハルナが興味津々で聞いてくる。


「熱いから直接触るなよ」

「うん」


ハルナが指先を火に近づけると熱かったのか直に指を引っ込めた。

「アチッ! 本物だ」


それを見た夢が凄く怖がってしまう。

「夢は火が苦手か?」


「うん、余り好きじゃない」

「そうか、ならこんなのはどうだ?」


「旋風」

詠唱するとハルナと夢の間に旋風が起こり、2人の着物の足元をすくい上げる。


「スケベ」「駄目!!」

「ご、ごめん。そんなつもりじゃ無かった」


ハルナと夢がジト目で俺を見る。


何とか謝って機嫌を直してもらい出かける事にした。

旅支度を終えて、手に持てない物は全てインベントリにしまい最初に忠勝のおっちゃんの家に来る。


「おじいちゃん、いる?」

「おお、いるよ。ハルナ入っておいで」


「「「おじゃまします」」」

3人で家に入ると畑仕事に行く準備をしている所だった。


「お、早速行くのか?」

「うん、ねぇどっか言ったほうがいい場所って有る?

私達、村を出て旅するの初めてだらかさ何処を通った方が良いとかも良く分からないんだよね」


「なら、つむぎ村に行って弟を訪ねてみろ。名前はツグハルだ。


1人もんだしハルナの事は小さい事から知ってる」

「ああ、あの足の悪い人?」


「そうだ、覚えるか?」

「うん」


「先ずはつむぎ村までの行く道を覚えろ、つむぎ村を中心に海に行く道、越後(新潟方面)方面に行く道とあってその先が蝦夷になる。


蝦夷も出羽と陸奥と2つに別れているらしいが、わしも詳しくは知らない。ツグハルに会ったら聞いても良いかも知れんな(※)」


そんな話を聞いて家を出ると愛の屋敷に来る、愛に3人揃って挨拶に来たのだ。


「愛、いるか?」

「なんだ将か? どうしたやけに早いな。ハルナと夢に追い出されたか?」


「なぁ、何で俺が不幸になる事ばかり口にする。ハルナも夢も一緒だ」

「ハルナ、夢おはよう。悪いけど将の事を頼んだよ」


「「うん」任せて」

何故か俺だけそういう扱いなのね。


「愛、忠勝のおっちゃんの家に寄った。最初につむぎ村のツグハルって人に会ってみる事にした」

「ツグハルかい、なら私の用事も頼もうかな」


「何か有るのか?」

「つむぎ村から下房(千葉方面)の方面に向うと牟岐村(※)が有る、そこのショウジと言う男がいる。その男にこの手紙を渡してもらえるか」


「良いが何か有るのか?」

「ショウジは私の母違いの姉弟でね、農家頭をやってる、ちょっと頼まれてもらえるかい」


「分かった。この手紙を渡せば良いんだな」

「頼むよ。ちょっと捻くれているが頼りになるいい男だよ」


ハルナと夢と顔を合わせてしまう。頼りになるいい男、その言葉にちょっと引っ掛かってしまうが黙って手紙を受取る事にした。


その後、愛に見送られハルナと夢と3人で村を出て最初の目的地のむぎ村を目指す。

正直、道路と言った物も無く石畳のような通りでも無く、歩くのが結構大変。みんな慣れているのだろう足裏が固く多少の石を踏んでも何とも思わないみたいだ。


俺だけだろうな。歩きながら足の裏が痛いと思い歩いている奴、ハルナと夢は楽しそうに話をして楽しんでいる。


そして異世界でもそうたが旅のお供と言えば盗賊達だ、正直出会わない方がおかしいと言う程に盗賊達に会う。


そう思いつむぎ村に向かう途中はある程度の範囲を索敵しながら進んでいた。所が、所がだ。盗賊に会う事無く2日を過ごしている。


途中で農家の人達につむぎ村の場所を聞きながら進み、あちこち観光しながら進んでいた。

ハルナと夢は大蔵村からほぼ出ること無く過ごしているらしく、見るもの全てが新鮮で面白いらしい。歩く足取りも軽く、凄く興奮気味に歩いていた。


3日目の午前中につむぎ村に到着。早速ハルナが忠勝のおっちゃんの弟のツグハルと言う人を探し始める。


ハルナの話では川漁師をしているらしく、農家と漁師と両方で生計を立てている人らしい。

ハルナが村の人に声をかけツグハルの居場所を聞く、最初は驚いた顔をする村人達だがハルナの髪を見ると納得したような顔で場所を教えてくれる。


教えてもらった所に行くと川に舟を浮かべ投網漁をしている人を発見、ハルナが声をかける。

「おじちゃん!! 久し振り」


ブンブンと音がなる程手を振るハルナを発見して笑顔なり、網を上げて直に川岸に戻って来た。


(※)実際の国、地域名に付いては関係はありません。



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