65.
メンベの話を聞いた後は家を出て話し合いが行われた。
メンベの話を俺と一緒に聞いていた愛、忠勝のおっちゃん、伝次郎、幸太郎が神妙な顔をしている。
愛に付いては自分が狙われている理由は知ってはいたが、実際にその話を聞くと恐ろしくなってくるのだろう顔が青ざめていた。
忠勝のおっちゃんが俺を見る。
「将。一度ルルイに行ってみたらどうだ?」
「俺がか、何の為に?」
「メンベの話しが本当なら、一度見ておいた方が良い。蝦夷の馬兵達は本当に強力だ、京の兵士は確かに数が多い。だが、戦力では蝦夷の馬兵だ。まともに戦えば京の兵士は全滅する程だ」
「俺達もその意見に賛成だ」
何故か伝次郎と幸太郎がそう言って頷く。
「俺の意見は違う、むしろ実田の奴らに注意を向けるべきだと思う。
ベラトルの娘はカマリの棟梁、真北 辰之助の娘だと俺は思った。メンベは上手く実田にはめられたと考える」
「私も将の意見に賛成だ。
要は互いに月読みの神職を押し付け合っているだけの事だ、私の命を取りたのは両方共一緒。その後の後始末の違いだけだ」
「「「愛様」」」
しかし愛は本当に肝が据わっている。自分が狙われている事をしっかりと理解して、覚悟を決めて今何をしないと行けないのか。それを見極めようとしている。
「だが将。実田がここを攻めて来るにはまだまだ時間的な余裕が有る、一度ハルナと夢を連れてルルイに行っておいで」
「は? どう言う事だ」
「ルルイの近くに私の異母兄妹が居るばずだ、ハルナと夢を連れて行って2人の事を覚えてもらうんだよ」
「それは今後の事を踏まえてということか?」
「そうだ、ハルナと夢は蝦夷の地に旅立たせる予定だ。そこで蝦夷の国の1人として生きて行く。
他の国はみんな京の都の息がかかっている、ハルナと夢は見た目がこの国の人達とはかなり違う。そうなると受入してもらえる可能性が低い」
「つまり、先に話をして仲良くなっておけと言う事か?」
「ま、そんな所だ」
夜、家に帰りハルナと夢に愛に言われた事を伝える。
すると農作業中に2人も愛から同じ事を言われたようで、農作業を愛が代わりに手伝ってくれると言われてしまったようだ。つまり強制的に俺と出かける約束をされらたらしい。
「将、農作業はだいぶ進んだし、じいちゃんと愛様達でも十分にやれる。
私達は私達に出来る事をしよう」
「ハルナ」
「そうだぞ将。
ハルナと私と一緒になったのに一度も何処にも出かけた事が無いだろ、愛姉はそれを言ってるんだ。
私達に将との思い出を沢山残させてくれ」
「夢、分かったよ」
2人にそこまで言われると断れるわけが無い、押しの弱い俺には特にそうだ。それに、この所戦ってばかりだ。少しは気持ちを休めないとな。
「よし、なら明日出発しよう」
「え、早いよ。準備が出来てない」
「何でよ、私と夢はもう終わってるよ」
「ハルナ、俺はついさっき聞いたばかりだ。俺の準備が出来いない」
「大丈夫だよ」
夢が自信満々に言う。
「夢、何が大丈夫なの?」
「ハイこれ」
そう言って籠を渡される、中を見ると俺の旅支度がされていた。二人とも気が早すぎね。
「将、寝坊したら置いてくからね」
「そうだよ、明日、朝ごはん食べらた出発だからね」
「んな強引な」
「いい? 明日は早いからね」
「そうだぞ。私達は楽しみ過ぎて昼も食べるの忘れてた位だからね」
あ、あかん。完全に旅行ハイになってる、そんなに興奮し過ぎて明日持つのかね。
翌朝、朝ご飯を食べると各々の荷物にを持つ。
「夢、お金どうしようか?」
「だよね、まさかここに置いておくっていのも流石にね」
ハルナと夢が何やら話し合っている。
「どうした、何か問題でも有るか?」
「将、実は私達のお金を何処に隠すか決まって無くてさ」
ハルナの真剣な表情に相当悩んだ事は理解出来た。
「なら、俺の隠し金庫に隠してしまえば良い」
「「隠し金庫?」」
「ハルナ、金庫って何?」
「え? 私も知らない」
どうやら俺の言語スキルでも、翻訳出来ない単語があるらしくその時はそのまま伝わるみたいにだ。
「まぁ、見てろ」
インベントリを発動する。俺の脇に渦巻き状の空間が出てくる。
「ヒィ!」「き、気持ち悪い」
インベントリの取り出し口は2人からすると非常に気持ちの悪い状態だったみたいだ。
「これは、俺専用の納屋みたいな物だ。ただし生きてる物は入れらないからな、どうだ。この中に入れておけば必要な時に取り出せるぞ」
「ま、将。それは所謂妖術というものか?」
「そうだよ。ハルナ一度試しだ何か入れてみたい物を貸してくれるか」
「わ、分かった」
ハルナが取り出したのは着物だ、普段着る用の物だ。
ハルナから着物を預かるとインベントリに一旦しまい、その後で着物を取り出す。それを見たハルナと夢が顎が外れたんじゃないか? そう思う程にでかい口を開けて驚いていた。




