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鬼ケ島伝説 鬼がしらと呼ばれた男  作者: 武田 健太郎


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62/125

62.

愛と別れると、愛が畑仕事の道具を持って本当に出かけてしまった。本当にハルナと夢と一緒に畑仕事をするつもりらしい。


なんか少し羨ましい気もする。俺が手伝うとハルナも夢も余りいい顔をしないのが本当だ、どうやら俺は本当に畑仕事が下手くそらしい。


愛に俺が何処かでプラプラしていればメンベに会える、そう言われていたが疑いを持ってしまう。


何時ものように結界魔法をを使い足場を作ると跳び上がり崖の上に来て寝っ転がる。


ぼーっと空を眺め雲を見ていると、誰かがやって来たのがわかる。崖と反対側の山道を歩いて来る、出来るだけ音を立てないようにそして誰にも見つからないようにと、慎重に慎重に登って来た。


「やっとついた。

本当にこんな山の上まで来ないと村を一望出来ないなんて厄介でしょうがねえ」


やって来た男が独り言を言う。

その声は物凄く低く、耳をすませていないと聴き取れない程に小さかった。


ちらっとその男を見ると、背が高くしっかりとした体付きの男だ。この男がメンベと言う男だろうか。


     ◇◇◇◇◇◇


その頃、俺と共に夜を明かした伝次郎と幸太郎も動き出した。

タガルとヤガルを見ている忠勝のおっちゃんに代わり、タガルとヤガルの監視と昨日来た奴等の監視を代わる為だ。


だが、そこに忠勝のおっちゃんはいなく捕らえた男達の姿もなかった。

「おい、デン」

「ああ、やられたな」


慌ててタガルとヤガルを見に行くと、すでに何者かの手によって2人が亡くなっていた後だった。


そして忠勝のおっちゃんと漁師の男2人が空き家の中で気を失っていたのだ。


空き家の前の砂浜には沢山の人の足跡があり、それを追うこと自体が難しい位にあっちこっちに向いていた。


仕方なく、伝次郎と幸太郎の2人で忠勝のおっちゃんと漁師の2人を忠勝のおっちゃんの家まで運び、畑仕事に来ていたハルナと夢に託す。


その後、二手に別れ伝次郎が海側を探し幸太郎が山に入る道を探す。


実はこの2つの道はとある場所で繋がっている、その事実を知っているはここ大蔵村でも数人しかいない。

先々代の神職、ババ様の時に作られた道で海沿いの狭い所を通っても山側の険しい所を通っても同じ所に出る。


場所は現在の逗子市の海岸沿いだ。敵が侵入して来る事が分かっているなら、その侵入ルートとを自分達が知っている方が良い。


そこに対策をして敵が攻めてきた時に倒してしまうのが良い。そう言ってババ様の指導で作られた道だ、海沿いは上から岩を落とすポイントが有りそこから狙えば誰一人として村に入る事が出来ず、山道にはとても深い落とし穴が有り、定期的に点検と補修を行っている。


今回、ひょろっとした男と、頭のでかい子供のような男は実際に海沿いの道を通って来た。海岸沿いだ、波打ち際で音がなっても誰も不思議には思わない。


その為、この海沿いを選んだ。


そこを伝次郎と幸太郎がそれぞに海と山の道を歩くこの2つの道を通ると必ず落ち合う。そう思っての事だ。


伝次郎が人がやっと通れる位の歩き難い道を進むと、途中に草鞋が落ちているのを発見した。岩しか無いこの場所を歩いた事で草鞋が擦り切れており、穴が空いてしまい使い物にならなくなったのだろう。


それを見てから、さらに慎重に進む。すると話し声が聞こえて来た。


その頃、幸太郎が山道を駆けるように進んで行く。一本しか無い獣道で、回りに隠れる所も無いような場所。見つけ次第捕まえるつもりで走って行く。


だが、道の出口まで来るも誰も会うことが無く来てしまう。

すると海沿いの道に入ると、体を横にして崖の出っ張りにしがみつくように進んで行く。


実は幸太郎は又佐や伝次郎に比べても筋肉が大きく、体に厚みが有る。その為この海沿いの通りを通る時は全て横向きなって進まないと通れないのだ。


だが、良く鍛錬も兼ねてここを通る幸太郎に取っては普通の道を歩くのと変わらない状態だった。


ひょろっとした男が頭のでかい男を背負い、器用に海沿いの道を歩いていく。追手が来ているなどとは夢にも思わなかったのだろう。


帰ったら何を食うとか、何処そこの村の娘が可愛い等、くだらい事を話しながらも器用に進んでいく。


伝次郎も歩き慣れているとはいえ、体が大きく、この狭い道を歩くのに苦慮していた。


2人を見つけたにも関わらず追い付く事が出来ない事に少し苛つきを覚えながら先を急いでいた。


「げっ、なんだおめぇ」

「やっと見つけたぞ。タガルとヤガルをやったのはお前達か?」


ある程度進んた所で前から来た幸太郎と男2人が鉢合う。


「ユキか!」

「おお、デン。遅くなった」


「おい、やべぇぞ。後ろからも来やがった」

「う、うるせぇ。お前がふらつくと落ちるだろう。ここは海も深いんだ、俺は泳げねえから騒ぐな」


「よし、お前ら俺に付いてこい」

「言われなくてもそうする。ここは逃げ道が無いからな」


ひょろっとした男が諦めたように幸太郎の後を付いて進む。そして海岸に出た所で幸太郎と伝次郎に捕まり、また大蔵村に連れ戻されて来た。


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