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平山の当主が訝しげに俺を見る。
その時、俺は不器用な手付きでお茶をたてていた。
「不手際で申し訳無い、最近少しづつ愛に手解きを受けている。
どうぞ」
そう言って立てたお茶を平山に出す。
平山が少し緊張気味にお茶を一口飲む、すると少しにこやかになる。
「最近始めたばかりとは思えない程のお手前ですな」
「そう言ってもらうと嬉しいね」
その穏やかな時間が過ぎると互いに厳しい顔になる。
「それで今日、呼ばれた理由を聞こうか? わざわざお茶を出す為に呼んだ訳では無いだろう」
「平山さんは妖術と呼ばれる物を見たことは有るか?」
「いや、無いな」
平山が怪訝な顔で見る。
インベントリを出すと平山が驚いて固まってしまう。まぁ、初めて見た人ならそうなるよな。
空間に黒い渦が出来、そこにおもむろに手を入れて探し物をする。その姿は奇っ怪な物に見えたと思う。
「き、鬼頭殿。
それが、噂の妖術でございますか?」
平山の驚きと目の輝きが凄く印象的だった、案外新しもの好きなのかも知れないな。
「そうだ、でも驚くのはまだ早い」
そう言うと、普段は使っていない洋服を取り出す。
「お、おおー? なぁ、私もその中に手を入れてみてもよろしいか?」
「かまわない」
平山が近付くとイベントリの中に手を入れる、かなりおっかなびっくりで少しづつ手を入れて感触を確かめていた。
「それでだ、これは俺からの土産だ。もし、要らないならこっちで処分はするが」
そう言って、藤堂 昇太 茂一、木村 湯治 丸松、本多 七郎太郎 直紀の3人の首を取り出す。
「この3人は名乗りを上げ、正々堂々と俺と俺の妻2人と対戦した。
出来れば丁重に葬ってやってほしい」
「な!? まさかと思うが菅生の棟梁は?」
「いや、寿命だ。藤堂 昇太 茂一も俺と共に最期を看取った。藤堂は月読みの神職は若い者だと思っていたらしい。
命を取りに来て、菅生さんを見た時に止めたと言っていた」
「そうか、月読みの神職は歳を取らん。その事を知らなかったのだろう。
首は確かに受取る、藤堂殿が月読みの神職に手を出さなかったのは幸いした」
そんな葬儀が終わりある程度落ち着いた頃に俺と伝次郎、幸太郎の3人はすでに空き家となっていた家に集まっていた。
その家の中にタガルとヤガルが吊るされた状態でつながれている。
「で、誰に頼まれたのか喋る気になったか?」
幸太郎が又佐をやられた怒を押さえながら質問をする。
「俺達は知らねぇ。この文の通りにすりゃ士官出来ると聞いただけだ」
「だから、それは誰だと聞いている」
「知らねぇんだよ。でも良く分からない内に俺達がやる事になって、良く分からない内に実行していた」
「アホ。そんな都合の良い話を誰が信じる」
幸太郎がそう言うとヤガルの右手を握ると手の骨がベキベキと音を立てて折れてしまう。
「ぐぁー」
「ユキ、お前は今日帰れ。こいつらから話を聞く前に死んでしまうぞ」
伝次郎が幸太郎を抑えると空き家を幸太郎を連れて出る。やはり、又佐を失った怒りを抑える事が出来ずにいるみたいだ。
「お前達も良くこんな恩知らずな真似が出来たな。俺を狙うんじゃなく又佐や幸太郎、愛まで狙ったらしいな。
そんな状態じゃ士官何て出来ないぞ。いつ裏切るか分からない相手を簡単に信用する奴はいない」
そう言うとタガルとヤガルが俺を睨む。
「だから、しょうが無いだろ。俺達も突然、良く分からないうちに矢で倒したくなったんだよ」
「これは本当だ。俺とヤガルが村の外で寝床を作っていた時だ、不思議と誰かに呼ばれた気がして。悪いがそこからは良く覚えていないだ」
「お前ら(怒)」
「伝次郎」
怒りに任せて殴ろうとしている伝次郎を抑える。
タガルとヤガルを家に残し伝次郎を連れて外に出る。
「伝次郎?」
「将っ。将は彼奴等の言い分を信じるのか?」
「さあな、だが嘘は言ってない」
「何故分かる?」
声を小さくして伝次郎の腹を軽く叩く。
「伝次郎、俺達を監視している奴がいる」
「何処だ?」
「多分、夜に動くだろう」
「なる程、中に入っているか?」
「いや、恐らく崖の中腹だろう。あそこからこの辺りを一望出来る場所が有る」
「ユキと共に向側の空き家で待機する」
「頼むぞ」
その日の夜、空き家で火を灯しタガルとヤガルの2人を横目に寝床を作り、飯の準備を始める。
最初は2人も自分達の飯だと思ったようだが、お構い無しに俺1人分の飯を作ると黙々と食べ進める。
すると騒ぎ始める2人を見てさらに美味そうに飯を食べる。
最終的に腹が減ったのと疲れたのがでたのかタガルとヤガルが寝てしまう。
俺も敷いた布団の上に横になると目をつむる、静かに過ぎる時間に波の音が静かに聞こえて来る。そんな安らぎの有る時間が凄く贅沢に感じてしまう。
この所、ハルナと夢が横で寝てる事もあってか寝返りが打てなくて少し苦しかった事を思い出す。
夕方に一度2人揃い顔を出したが夢とハルナは家に帰した。
夢とハルナの事を考えていると、何処からとも無く人の歩く音が聞こえる。
この辺りは砂浜が近い、砂を歩く音が静かなこの辺りに静かに響く。




