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鬼ケ島伝説 鬼がしらと呼ばれた男  作者: 武田 健太郎


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53/54

53.

藤堂 昇太 茂一Side


「茂一殿、少し落ち着きなさい。

あの鬼がしらと呼ばれた男、月読みの祝福を得たそうですな。


京の都では分からないかも知れませんが、この辺の者達にとって月読みの神職は大変に信仰を集めております。


その月読みの祝福を得た男を襲うとなると、それなりの理由と言うものが必要となります」

「ならば、この私の。お上に楯突いた事こそがその理由と成りましょう」


茂一の言葉に平山家の棟梁が呆れ果ててしまった。

「茂一殿、その理由は京の都であれば有用でしょう。ですがこの辺の農民、漁師、猟師と言った者達はお上の存在すら良く知りません。


そのような者達が月読みの祝福を受けた者を殺したとなると黙っているはずもありません」


「ならば、我らだけでやればいい事。誰も鬼がしらと言う者を見たものはここにはいないはずです」

「申し訳無いが、今は農作業が非常に重要な時期。我らの兵士を貸すことは出来ません、そんな事をすると兵士達からも不満と不平が出てきます。無駄に一揆を起こすきっかけを作るわけにもいか無いのです」


「分かりました」

茂一が頭を下げると部屋を出る。


するとその足で屋敷を一人飛び出してしまう。

「誰かある」

「は」


「茂一殿と我が娘の離縁をお上に申し立てる」

「よろしいのですか?」


「かまわん、月読みの祝福を受けた夫婦を殺すとわめいている。

領民に聞こえてみろ、農作業を放棄して一揆が起きる。それだけは押さえないとならん」

「かしこまりました」


屋敷を出た茂一が来たのは、平山家の一族等が戦勝祈願を行う神社。

そこでただ一人戦いの誓いを立てる。

「この藤堂 昇太 茂一。これより鬼がしらなるならず者を成敗し、必ずや京の都にお社を立てる事をここに誓いましょう」


それから平山の家に戻ると数名の部下に旅支度を命じる、行き先は言わずに付いて来たい者だけ付いてこい。そう言い放つ。


「茂一様。我ら50名、茂一様と共にある事を喜びしてここまでやって来ました。

茂一様が何か覚悟を決められた様子、ならば何も聞かずとも我ら50名は何処なりと付いて行きましょう」


「ありがとう。

皆の命、この藤堂 昇太 茂一が預かる」

「は」


その日の内に藤堂 昇太 茂一は妻に離縁状を残し平山家を出る。時間は夜の遅く、みんな寝静まった時間に静かに行われた。


この行動に一番驚いたのは平山家の棟梁と茂一の妻にその子供達だ。

突然、置き手紙を残し姿を消した茂一とそこに従う者達、翌日になり慌てた平山家の棟梁が実田に向けて手紙を書く。

“藤堂 昇太 茂一は平山家に離縁状を出し姿を消した。探したが姿が見当たらず、離縁状は受理した。

だが、藤堂 昇太 茂一は我らの一族として数年を過ごした仲間。もし藤堂 昇太 茂一とその一族がお邪魔した際は宿や食べ物等を分けてやって欲しい”


そう言う内容だ。


馬の扱いになれた家臣数名が実田の国と京の都に走って行く。


茂一達が平山家から消えた2日後には平山家の手紙が実田の時東家に届く。


しかし茂一達の一行もかなりの数、何処にいようとすぐに分かると思われたが、一週間経っても実田の街に現れる事は無かった。


茂一達は5人一組となって行動し、大蔵村の近くに有る村々にすでに集結、茂一からの出撃の合図を待っていたのだ。


そして、茂一は月読みの神職に家族の事を相談したくて来たと言って、数名の部下を連れて菅生の屋敷に来ていた。


所が菅生の棟梁と言うのがすでに月読みの神職を引退した聞き、困り果てた表情で留まっていた。


この時、新しい神職は隣村に出かけており数日帰らない。そう聞かされたのだ。


配下を使い、月読みの神職が何処にいるか? 護衛入るか? いつ戻るかを調べた上で配下を呼ぶ日取りを決める。


一度大蔵村を後にした茂一達は村と村の間にある、池の畔に拠点を置く。


そしてみんなで集めた情報を共有する。

「すると、危険なのは門馬 忠勝と三羽烏と呼ばれる若い漁師3名。

夢と言う女、現在の神職である愛、最後にその鬼がしらと呼ばれる鬼頭何某だな」

「ハイ。その内、門馬 忠勝と夢と言う女、三羽烏の内の1人が我々がいた丸玉村に滞在しております。

何でも丸玉村の猟師の親方に不幸が合ったとか、そこに行っております」


「うん、他に情報は?」

「ハイ。その神職である愛と言う女と三羽烏の1人の事ですがが、戻りも未だ決まっていないとか」


「分かった。帰りはこの道を通るしか無いのだな?」

「ハイ、調べ所。この道一本しか無い場所。先々代の帝がこの場所を選んだのも、この立地だからと言われております」


「うむ、私も聞いた事がある。

あの者達は恐ろしい身体能力が有り体も大きい、だが体が大きいからこそ狭い場所しか無いこの場所に押し込めたとな」

「では、茂一様」


「うむ」

茂一が立ち上がり、集まった仲間達を見る。


「明日、一斉に攻め鬼がしら、及び菅生の棟梁を討ち取る。


その後、集まった新たな神職の菅生 愛、門馬 忠勝、三羽烏、夢と言う女全てを倒してやる。


この戦いは我らに正義があり」

「「「「「「「「「「「「おおー!!」」」」」」」」」」」」


(※)実際の史実、場所等は全く関係ございません。



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