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鬼ケ島伝説 鬼がしらと呼ばれた男  作者: 武田 健太郎


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5/7

5.

俺が畑を見て、石拾いをしていると畑の奥から複数の視線を感じる。多分さっきの男衆だとは思う。


畑は大根、カブ等だと思う物が植えられており、畑の周りにニラが自生している。結構懐かしい匂いに感じてしまった。

なんかの授業で聞いたけどニラを植えると蛇が来ないと言っていた学校の先生がいた事を思い出した、本当かどうかは知らないが。


しかし、石が多い畑だな。こんな畑で大根育てても二股の大根しか出来ないじゃないのか、そう思いながら畑の脇に有る里芋を発見して掘りおこす。


すでに親芋から立派な里芋が出来ていた。

「なぁ、ハルナ、忠勝のおっちゃん。

この里芋収穫しても良いか?」


2人が何か驚いて俺を見る。

「は? なに言ってるの、それ食べれないぞ、その辺に生えてる草だぞ」

ハルナは俺を痛い子を見るような眼差しだ。


「は? お前らこれ食わないのか?」

俺が異世界に召喚された時、この里芋が主食かと言わんばかりに良く出ていた。だから、良く分かる。


里芋は美味い。


ハルナの話を無視して里芋を掘りおこして行く、あらかた掘りおこすと忠勝のおっちゃんが来る。

「なぁ、将。それは硬くて食えん芋だ。そんなに取ってどうする?」


「おっちゃん、これはこの中心の芋は食わないけど、周りについてる小さい芋を食うんだよ。美味いぞ」


「「はー?」」


俺が採った里芋を小芋や孫芋に分けていると2人が来て手伝ってくれる。


「ほっとう、蝦夷は奇っ怪な物を食うな」

ハルナが呆れたような顔をする。


しかし蝦夷ってなんだ? 何度も言われるけど何の事だ。


すると頭の中に機械音が鳴る。

“スキル鑑定が発動します”


(※)蝦夷⇨現在の東北地方を治めていた豪族達やそこに住む人達の総称。

都の帝はこれから何度も蝦夷を平定しようと試みるが失敗する。

蝦夷は騎射術に優れた者達の集まりであり、後の武士の礎となる一族。



そうか、東北地方の人達なんだ。そう言えば母ちゃんの実家も確か仙台だったな。


ばあちゃん達元気にしてんのかな?


「ま、まさる。

悪い、そんなに落ち込むな。

私もそんなに傷つくとは思って無かった」


ハルナからそう言われてちょっと困ってしまった、なんか勘違いさせたようだ。

「ハルナ、気にするな。

俺もちょっと懐かしく思う事があっただけだ、別に傷付いたわけじゃない」


「そ、それなら良い」

ハルナがほっとしたのか胸を撫で下ろす。


良く分からずに忠勝のおっちゃんを見ると、忠勝のおっちゃんが俺を見てジト目をしていた。


いや、ちょっと待て、俺は何かやらかしたのか?


「将、お前にハルナはやらん」

「は?」「お、おじいちゃん?」

ハルナが顔を赤くしてモジモジとする。


「待て待てぇ−!!」

忠勝のおっちゃんの言葉に畑の奥に隠れていた男衆が集まって来た。


「鬼頭 将。

俺は漁師の又佐だ、貴様俺と勝負しろ。貴様にハルナが相応しいか俺が見てやる」


なんか面倒な流れになって来たと思っていたが、それをハルナが制する。

「又佐、幸太郎、伝次郎。

お前ら何を言ってる? 私の旦那は私が決める事だぞ」


「「「え? ハ、ハルナぁ」」」

「ち、違うぅ」


ショックの余り落ち込む又佐、幸太郎、伝次郎を見たハルナが顔を赤くして怒っている。あんな怖い奴に嫁の貰い手がいるのか?


そう思って眺めていると忠勝のおっちゃんが俺の元に来る。

「将、話が有る」

「うん? なんだ」


畑から少し離れて2人になる。

「将、お前さん都の事をどう思う?」

「都?」


頭の中に機械音が鳴る。

“スキル鑑定が発動します”


(※)都⇨平安京をさす、桓武天皇が延暦13(794)年に長岡京から遷都した。

場所としては現在の京都市中京区壬生附近を中心とし、南北約5.2キロメートル・東西約4.5キロメートルの広さにわたります。


(※)都人(ミヤコビト)⇨平安京に住む人の総称。身分に関係無くそう呼ばれている。


(※)都言葉(ミヤココトバ)⇨平安京で使われる言葉。地方に行くと訛りが強くなる傾向に有る。


(※)役人⇨平安京の役職を持つ者の総称、また警備をする兵士等も含め呼ばれている。


(※)お上⇨平安京の帝、及び役人のかなり高い役職の人をさす。

役職⇨太政大臣、左大臣、右大臣、内大臣、大納言、中納言、参議、少納言、左弁官、右弁官以上の役職の人達をさす。


(※)以上、都は平安京を表し。

帝、公家を中心とする高い役職の者達をお上。

都にいるお上と呼ばれる役職以外の全ての役職を持つ者を役人。

都に住む人を都人と言い話し言葉を都言葉と言います。



そう言う事ね。つまり政治の中心にいる人達の事を聞いているのね。


「都に付いては、俺は良く分からない。正直に俺の親も含めそう言う人達とは関わった事がない」


「お前さんは本当に蝦夷の民か?」


「分からんが、俺の母ちゃんはそう呼ばれた人達の出だ。俺は良く分からない、ほとんど行った事も無いしな」

今の仙台市は蝦夷と呼ばれた人達の住んでいた場所だ、嘘を言った事にはならないと思う。うん、多分ならないと思う。


「お前さんはかなりの強さだ。それはどうやって身に付けた? お前さんの年でそれだけの強さは普通じゃ身につかん」

忠勝のおっちゃんの顔付きが変わる。


「俺の強さ?」

「そうだ。又佐、幸太郎、伝次郎の3人はこの村でも突出した強さを持っている。海に入れば銛一つで鮫や鯨を捕る、山に入ればナタ一つで猪や大人の熊すら倒す。


その3人がお前さんを見て恐怖で死を覚悟した」


そう言うと更に厳しい顔になる。

だが、正直に言った所で信じてはもらえないだろうしな。


「俺はある国の姫様と旅をしていた。その国はこことは比べのもにもならない大きな国だ。

だがそんな大きな国も、もっと強い国に攻められてしまった。


その強い国を打ち破る為の旅だ、その時に身に付けたものだ、特別な事はして無いと思うぞ」


「その姫様とはかなり強いのか?」

「ああ、その国では右に出る者がいない程の強者だ」


「すると将はその戦いに勝利して、家に帰る途中で嵐にあった、そう言う事か?」

「そうだ」


「もう1つ良いか。その姫様がいた国はこの実田の国か?」

「いや、全く違う。もっと遠い国だ」


「それは海を渡って行く位に遠いか?」

「そうだな」


うん、何とか嘘は付いていないな。

俺が安堵していると忠勝のおっちゃんが震えながら呆然としていた。


(※) 史実等とは全く関係ありません。あくまでも物語の中の設定です。


(鑑定スキルについて、通常のスキル以上の内容を付帯した上で物語を進行しております)

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