47.
ハルナと夢が愛の所から帰って来た時、将も忠勝のおっちゃんの家を出て自宅に帰って来ていた。
その日、特に予定が合った訳じゃなかった事もあり家でゴロッと横になりうたた寝していると夢とハルナが帰ってきた。
「将、風邪引くよ」
ハルナが将の体に布をかける。
「夢、じいちゃんの所に行ってくる」
「あ、待って私も行く」
ハルナと夢が家を出る。
翌朝、かなり早い夜の開けていない時間に又佐が慌てた様子で家にやって来た。
「将、いるか?」
朝一できた又佐を不思議に思いハルナが出る。
「マタ、どうしたの?」
「ああ、ハルナ。将はいるか?」
「まだ起きて無い」
「わかった、なら起きたら門馬の棟梁の屋敷に来てくれって伝えてもらえるか」
「何かあったの?」
「ああ」
又佐がそれだけ言うと帰っていく。
夜が明けて、将が目を覚ます。
何時ものようにハルナと夢が左右にぴったりとくっついて寝ている。
2人を起こさないように静かに伸びをして布団から出ると、一度家の外に出て朝日を見る。
東京で生活していた時は朝日を浴びるなんてことは無かった。
何時も母ちゃんが起こしに来るまで寝ていて、起きると朝飯が出来てそんな生活が当たり前だと思っていた。
所が異世界に召還されてから、朝は自分で起きて飯の準備も自分でして、何をするにも自分で決めないといけない日々になった。
パソコンとスマホも無い生活が死ぬ程嫌だったのに、慣れるとパソコンもスマホ無いのが当たり前になってくる。
知らない人とも顔を合わせる機会が増え、話し合う頻度が増えた。
子供達からは知らない遊びを沢山教わった。枝や葉っぱを使った舟の折り方やチャンバラ見たいな事や追いかけっこ等を異世界で覚えた遊びを不意に思い出す。
すると愛が女中達を連れて食事を持って来る。
「愛、何で食事を持って来てるの?」
そう言いつつ持って来てもらった食事を家の中に運ぶ、ハルナと夢も目が覚めたのか布団を片付けていた。
「将、今日は私もハルナと夢と一緒にここでご飯を頂くよ」
「良いけど、何かあったのか?」
「私は何も無いよ。ただ、お告げあって今日は1日ハルナと夢にくっついていた方が良いらしくてな」
「ふ〜ん」
朝の支度が終ると愛を入れて4人で朝飯を食べ始める。その時、ハルナから又佐が来た事を聞く。
「将、気を付けていけよ」
愛が急に怖い顔をする。
「分かった」
「将、私とハルナも一緒に行く」
「いや」
何故か俺と愛が一緒に止める。
「ハルナと夢はここで私とお留守番だ。門馬の親方の家には将1人で行っておいで」
「分かった。夢、ハルナと愛を頼む。俺が家を出た後誰が来ても家には入れるな」
「何かあったのか?」
「何と無くだ。大丈夫、俺が帰って来るまでの間だ。
ハルナ、夢に言われた事は守るように。愛、小太刀がここに隠されてある。万が一時は頼むぞ」
「まかせておけ」
愛が来てから言いしれない不安に襲われてしまう。特に索敵に何かが引っかかる訳じゃない、何か異変がある訳じゃない、だがどうしても不安に感じてしまう。
この異変と言うか空気感と言うか、長く戦場が生活場所だった俺に取っては懐かしさを覚える状態だ。
家を夢とハルナに任せ、家を出て忠勝のおっちゃんの家に入る、すると猟師の又兵衛、農家の湯吉、菅生 法明がおり沈んた顔をしていた。
「どうしたの?」
俺が忠勝のおっちゃんに声をかける。
「ああ、将」
そう言うと立ち上がりタガルとヤガルがいる納屋に案内された。
そこにタガルとヤガルの面倒を見ていた隣村の猟師、又次が寝ていた。
と言うか死んでいた。
「忠勝のおっちゃん!?」
「ああ、今朝夜が明ける前だ。
物音がして見に来たらタガルとヤガルの隣に置かれていた。
タガルとヤガルは完全に寝ていたようで誰が来たかもわからなかった」
「そうか」
「将、誰か今村に潜んでいなか調べる事は出来るか?
このままではわしらが又次の親方を殺してタガルとヤガルに言う事を聞かせているように回りから思われてしまう」
「出入り口はどうなっている?」
「マタ、デン、ユキが其々に海、山、村の入口を見張っている」
「分かったやってみよう」
納屋からおっちゃんの家に入り、索敵を行う、範囲を徐々に広げて行く。すると複数の危険を示す反応が有る。
それを一つ一つ忠勝のおっちゃんに伝えると、おっちゃんと又兵衛がそれぞに仲間を5人程連れて移動し始める。
しかし大蔵村の漁師と猟師達だ。みんないい体付きをしている。
普段は伝次郎、又佐、幸太郎の3人と良く会っている為、見逃しがちになるが他の大人達もみんな凄い体付きだ。
敵対している奴等が可哀想に思える程だ。
そして索敵を続けていると村の出入り口にいる伝次郎の所に異変を察知した。
「湯吉、悪いが忠勝のおっちゃんと又兵衛に其々指示を出してくれ。
他の奴らはこことここにいる」
「かまわんが、将はどうする? 因みに私と菅生の棟梁は戦えんぞ」
「心配要らない、間もなく伝次郎の使いの猟師が一人ここに来る、そいつに護衛を任せて俺が伝次郎の所に行く」
「何があった?」
「多分だ、実田の国の雉子藤 四郎 籠一が来ている。
あいつは危険だ、如何に伝次郎と言っても負ける可能性が有る」
「雉子藤 四郎 籠一!!」
その名前に菅生の棟梁が驚いていた。
「将、なら私も行こう。雉子藤の父親には私も大変お世話になった」
菅生の棟梁の意識は硬いようで何としても自分がいかないといけないと言い張る。
仕方なく背負い籠のような物を借りて菅生の棟梁を背中に背負う。
「湯吉しばらくの間頼む」
「分かった。菅生の棟梁を頼む」
「ああ」
菅生の棟梁を背負い、村の中を抜けて出入り口に向かう。
すると伝次郎を始め村の若い衆と雉子藤 四郎 籠一を始めとした実田の兵士達がいがみ合っていた。
「悪い、通るぞ」
村の若い衆を避けて菅生の棟梁を担いだ俺が前に来る。
「さあ、菅生さん」
「将、すまないね。わがままを聞いてもらって」
菅生の棟梁を見た雉子藤 四郎 籠一が頭を下げる。
「まさか菅生様がこちらに来られるとは思ってもおりませんでした」
「お久しぶりです籠一殿、お父上もお元気ですか?」
「ハイ、すでに隠居して悠々自適な生活を送っております」
「所で今日はどのような事でお越しでございますか?」
菅生の棟梁が優しい声で話を聞く。
「こちらに私共の手下が捕まっていると伺いやって参りました」
「籠一殿の手下でございますか? 名前等別れば教えて頂けますか、そうすればお調べいたします」
「そうですか。
私共の間者にてメンベと言う者がおります、そのメンベの配下に又次と言う者がおります。
その又次が先日我々を裏切りこちらの村に逃げ込んたのです、その又次を引き渡して頂きたい」




