43.
昼飯を食べ終え、俺と忠勝のおっちゃん、伝次郎、又佐、幸太郎の5人で、捕らえたタガルとヤガルがいる納屋まで来る。
そこで何とか俺の拘束具を抜けて逃げ出そうとしている2人を発見する。
「やめとけ、それは力で抜けれるほどやわな作りじゃない」
「へ、んな事やってみないとわからないだろうが。俺達を誰だと思ってる」
「俺を狙って、俺に捕まったタガルとヤガルだろ」
「「へ?」」
タガルとヤガルが驚いて俺達を見る。
「てめぇ、また来やがったのか? この拘束を解け、油断しなければお前なんかに俺達が負けるはずがない」
タガルとヤガルに付けた拘束具に魔力を通す。元々異世界の旅で敵を捕らえ情報収集や人質として拘束する為の道具で、魔力で締付け具合を調節出来る代物だ。
「「ググゥ゙」」
「お前達に怪我をさせないのが約束だ、その辺で勘弁してやる。
俺の質問に答えろ、ちゃんと答えたら楽にしてやる」
体を拘束具が締付け、何とか息が出来る状態で2人が頷く。
「お前達は何故俺を狙った?」
「ぜぇ、ぜぇ。
お前が月読の神職から祝福を受けたからだ」
「お前を捕まえると実田の国の役人になれる。この辺の村々じゃそんな話で持ちきりだ」
「そうか。誰がそんな話をお前達がいた村に伝えた?」
「「誰?」」
タガルとヤガルが顔を見合わせる、恐らく見ていたが記憶していないのだろう。
「さて、ここから本当の尋問だ。
お前達が、俺の敵となった事を嘆くんだな」
“スキル尋問洗脳催眠を発動します”
頭の中に何時もの機械音が流れる。
俺の魔力がタガルとヤガルの体を包み込むと、タガルとヤガルがが起きていられるずに地面に突っ伏す。
「将、何をした?」
「忠勝のおっちゃん。約束は守る、静かにしてもらえるか」
「ま、まさる?」
忠勝のおっちゃんが俺を見て何も言わなくなる。俺の顔が、余っ程話しかけ難かったようだ。
「さて、タガル、ヤガル。知ってる事を全て話せ」
「ハイ」
そう返事をしたのが双子の兄のタガルだ。タガル達は隣村いる又次の棟梁のもとで猟師となって暮らしていた。
理由は山賊王と呼ばれたオルガが、実田の国に忠誠を誓うカマリによって倒されたのだ。
又次は一時オルガの下で働いていた事があり、その伝手で2人が身を寄せる事になった。
そして猟師をしながら弓矢の腕を研いていた。だが、この2人を良く思わない者も村には多く小さないざこざは結構あったようだ。
そんな時、見知らぬ行商が村を訪れて実田のお館様が蝦夷の鬼頭と言う者を倒す事が出来たら、士官でも土地でも好きな物を与えると吹いて回っているのを聞いたのだ。
そこで村で除け者扱いの二人は鬼頭と言う者を調べた。すると月読みの祝福を与えられたと噂に聞く、それは鬼の島に住むハルナと夢の2人を嫁にもらい妖術を扱う凄腕の男。
実田のお館様や桃太郎達からも鬼がしらと呼ばれ恐れられている、そう言う噂を聞いた。
だが、タガルとヤガルは自信が合った。ヤガルは視力が非常に優れており、人の3倍の距離を見る事が出来る。タガルは風を操る能力に長け、矢を飛ばすと確実に獲物を捕らえる力がある。
タガルとヤガルの能力を合わせれば鬼がしらと言えど負けることはない、そう思っていた所に鬼がしらを発見した。
それが俺を襲った理由なのだと言う。
「それで、その行商を知っているか? 過去に見たことが有るか?」
「無い」タガルがそう答える中ヤガルが少し難しい顔をする。
「ヤガル、そいつを知ってるな?」
「ああ、見たことが有る。親父がやられた時に親父達を誘導するように峠に連れて行った男に似てる」
「そいつの事は何と言うか覚えているか?」
「確か、メンベ。親父はそいつをメンベと呼んでいた」
「わかった」
そう言うとスキル尋問洗脳催眠を解く。これ以上やると精神に異常をきたす可能性が有る。
「忠勝のおっちゃん。俺はこれで終わる、後は煮るなり焼くなり好きにしてくれ」
「あ、ああ」
忠勝のおっちゃんが顔色悪く頷く。
恐らくメンベと言う奴を知っている、その名前が出た時の顔は凄く印象深い。
「そうだ、タガルとヤガルは桃太郎とつながってるぞ。
何と無くだがそう感じた」
「桃太郎とは誰だ?」
忠勝のおっちゃんが不審な顔をする。
「時東 桃条 小太郎だよ」
「「「「え!?」」」」
忠勝のおっちゃんを始め伝次郎、又佐、幸太郎が固まる。
俺達がタガルとヤガルの所に来ていた時、ハルナと夢が月読みの神職である愛の所に来てとある相談をしていた。
「愛様。夢と2人、物凄く心配な事があって来ました」
「どうしたの? ハルナと夢が揃ったって言う事は将の事だね」
「「ハイ!!」」
2人の余りに真剣な顔に愛も驚いていた。
「どうしたの、そんなに真剣になって。それよりもこれから神事を行うのよ、もっとゆっくりと気持ちを落ち着かせなさい」
ハルナと夢が顔を見合わせ、2人揃い深呼吸をする。




