42.
忠勝のおっちゃんが来るとタガルとヤガルと呼ばれた2人が固まってしまう。
「んんー」「ブングー」
「おい、ユキ。猿轡を外してやれ、但し拘束は取らなくても良い」
「ハイ」
幸太郎が2人の前に立つ、その体格の良さからタガルとヤガルが震えてしまう。
「オガルの棟梁の葬式以来だな。お前達は何処で暮らしている?」
「や、山のふもとの村だ」
「「「ああー」」」
伝次郎、幸太郎、又佐の3人がぶっきらぼうに返事を返した2人を囲む、伝次郎、幸太郎、又佐の3人が立って睨み付けると、その迫力に流石に2人も大人しくなる。
忠勝のおっちゃんがドスの聞いた声で更に聞く。
「タガル、ヤガル。お前ら何処で暮らしている?」
「山のふもとの又次の棟梁の元で猟師をしてました」
「又次の棟梁?」
幸太郎が又次と言う名前に直に反応して2人に問いかける。
「お前ら、オガルの棟梁の元にいたのか?」
「「ハイ」」
「俺とヤガルはオガルの息子です」
そう聞いた幸太郎と忠勝のおっちゃんが顔を合わせ、かなり渋い顔をする。
「将、この2人の事はわしが預かって良いか?」
「俺はかまわない。それに俺も少し確認したい事もあったしな、それでこいつらはどうする?
逃がしても実田に付いてまた俺達の所に来ると思うぞ」
忠勝のおっちゃんが怖い顔で俺を見る。
「将、それはどう言う事だ?
コイツラの親はオガルと言って、我々と共にずっと実田と戦ってきた仲間だぞ」
「そうか、この2人は俺の首を持って実田に士官しよう企んでいるらしい。
弓矢で俺を狙い、倒した証を持って実田に行けば取立ててもえる。そう話し合っていた」
「将、それは本当か?」
夢が刀を抜いて構えている。
「夢、この2人はわしが預かる」
「門馬の親方。
悪いが私は私の夫を殺そうした奴を許せる程優しく無い。ましてや、弓を放って殺そうとした。
一度の失敗で諦めていたら猟師何か出来ないだろう、何度でもやって来る。
私はそれを許す事は出来ない」
夢が本気だとわかった瞬間、又佐が2人と夢の間に割って入ると静かに夢を見て構える。
「夢、この2人は忠勝のおっちゃんに預ける。俺もその意見に賛成だ」
「ま、まさる?」
夢が俺を睨むように見る。
「良いか、殺してしまったら何も語らない。ここで殺してしまうと何一つ情報が得られない、それに必要があれば俺が直接尋問する、俺の尋問は優しく無いからな」
「将がそこまで言うなら」
そう言うと夢が刀を収める。
「忠勝のおっちゃん、この2人は預ける。だが俺もただで許すつもりはない
、それなりの成果は得られるんだろうな」
「それも含めてわしが預かる」
戦闘状態を解除してみんなを見る。
「うん、なら飯にしよう。正直に腹減ってんだ」
俺の緊張感の無い切り替えにみんなが前のめりにコケてしまう。
「将ってほっとうに緊張感無いよね」
「ハルナ、私もこんなに真剣に怒ったのが何か馬鹿らしくなって来た」
ハルナと夢の会話を伝次郎、又佐、幸太郎の3人が頷きながら呆れている。
「将、感謝する」
忠勝のおっちゃんが頭を下げる。
「忠勝のおっちゃん、俺はその2人を許した覚えは無い。もし解放するなら先に教えろ」
「何をするつもりだ?」
忠勝のおっちゃんがタガルとヤガルの前に立ち、2人を庇う。
「話しを聞くだけだ。
どうやら実田の奴らは俺に懸賞を掛けたみたいだ、それが何の位広がっているのか誰から話しを聞いたのかとかそう言う情報が欲しい」
忠勝のおっちゃんが複雑な顔をする中伝次郎が俺達の間に入る。
「なら、先に将が話しを聞け。但し、殺したり動けない程傷つけたりはするな。
それだけは約束してくれ」
「そんな事で良ければ問題ない、何なら尋問する時は同席したら良い」
「「え?」」
忠勝のおっちゃんと伝次郎が信じられないと言った顔で俺を見る。
まぁ、尋問は俺のスキルを使って行うからな、肉体には何も影響が無い。
ただ、やり過ぎると心が壊れるけど。
俺には精神耐性のスキルが有る、その取得には物凄く嫌な思いをして耐性スキルを得た。
魔人族の国と対戦する中で、敵から如何に確実に正確な情報を引き出すか、これも実は課題の一つだった。
そこで行ったのが俺が得た精神耐性スキルを得る為に行った精神的苦痛を与える事だ。
魔力を使い相手の脳や意識に介在して、あらゆる苦痛を与えると言うもの。これを繰り返し行っていた事で得たスキルが有る。
それが尋問洗脳催眠スキル。
特定の相手に魔力を送り洗脳、催眠状態にしてこちらの言う事を全て聞かせると言うスキル。
質問にも嘘偽り無く全てを話させるスキルだ
何故、勇者として召還された俺がこんなブラックなスキルを得たのか? それはまたの時に話そう、これは本当にブラック過ぎた出来事だ。
基本的にたった5人で一つの国と対戦するなんて無理だった。今言える結論はそれだけだ。




