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鬼ケ島伝説 鬼がしらと呼ばれた男  作者: 武田 健太郎


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40/55

40.

戦いが終わり、夜になるとみんな各々の家に戻って行く。そんな中、俺達3人は忠勝のおっちゃんの家で俺と夢とハルナの4人で飯を食っていた。


忠勝のおっちゃんが怖い顔で俺を見て言う。

「将、恐らく実田の奴らは来月にでもまたやって来るだろう。

今は農作業に勤しまないと行けない時期だ、そんな時にこれだけ堂々と来てるんだ、まだまだやって来ると見て間違い無いだろう」


「だろうな、俺もそう思う。この村の人達も今時期攻めて来られたらたまったもんじゃないだろうな」


忠勝のおっちゃんが渋い顔をして頷く。

「奴らの狙いはわしらの食糧だと、わしは睨んでいる」


「え? じいちゃん。実田の奴ら私達の食糧を奪いに来るの?」

ハルナが驚いた顔で忠勝のおっちゃんを見る。


「違う違う。食糧を奪うんじゃない。大切な食糧を作らせ無いように、何かをして来ると言っているんだ。


如何にわしらが強くても食べるものが無ければ飢え死にするしか無い」

「そっかぁ。それは最悪だね」


すると何かに気が付いたのか夢が俺を見る。

「将、将の妖術で何か食べるものを作ったり準備出来たりって、そう言う事は可能なのか?」


「悪いがそんなに便利な物じゃない。食糧とのなるとやっぱり無理だな」

「そ、そうか」


「補助的な作業なら多少は出来ると思うけどな」

「「「補助的な作業?」」」


「ああ、つまり水を撒いたり土を柔らかくしたりとかな、簡単でそんなに時間のかからない事なら出来るかも知れない」

それに、異世界から地球に戻って来てからと言うもの魔力の回復が物凄く遅い。いくら俺の魔力が半端なく多くてもいずれ尽きるのがオチだ、果たしてメルダリア達が俺を元の世界に戻してくれるまでの間、魔力が残るのか? そこも不安だ。


今、俺の魔力を使い魔法が使えているから桃太郎達を牽制出来ている、たがもし魔力切れの状態で戦うとなると俺の方が分が悪い。


「将、そんなに深刻になるな」

「あ、ああ。悪い、ちょっと考え事してただけだ」


夢に物凄く心配されてしまった。

夜は俺達の家に戻る事にした、今日は酒を飲んでいないのでみんなで歩いて帰る。

ふと空をみると一面に星空が広がっている、東京で暮らしていた俺は見ることの出来ない光景だ。

実は異世界のグランバルト王国でも、こうやって星空を見て驚いた事を覚えている。


「星空、綺麗だな」

「そうか? 何時もと変わらんぞ」

「ハルナ、将は私らと一緒にいるから余計にそう思うだけだ」


ハルナがニヤニヤと笑い俺の腕に絡み付く。

「そんなに私達の事が好きなのか? 将は仕方ない奴だな」

「そうだぞハルナ。見てみろ、将の顔が赤いぞ」


何故かハルナと夢に凄くからかわれながら家に戻って来た。


「なぁ、将。お前のいた国の事を教えてもらえるか?」

「あ、それ私も知りたい。ハルナからお母様の事は聞いたよ、お料理が下手だって」


「何だ、そんな話しをしてたのか」

「へへ、夢にも将の事をちゃんと知ってもらいたいじゃない。私達はもっと将の事を知りたい、産まれてくる子供達にも将の事をたっぷり話して教えて上げるんだから」


「そうそう、別に私が子供をもうけてはいけない訳じゃないしな」


ハルナだけじゃなく夢も子供が欲しいらしい。俺、本当にこの2人を残して元の世界に戻れるのだろうか?


かなりハルナと夢の二人が俺の中で大事になってるのは確かだ。そして2人を失う事を恐れてもいる、今更ながらにこの数奇な運命に恐怖を覚えてもいる。


翌日、ハルナと夢が忠勝のおっちゃんの家に行き畑仕事に精を出す中、俺1人で崖とは反対側の山に来ていた。


当初畑仕事を手伝うと言ったのだが、ハルナから手際が悪いから要らないと言って追い出されてしまった。


山は雑木林のように種類の違う木々が生え、少し進むと竹林が広がっている等不思議な感じな所だ。


更に山を進むと人ひとりが通れる位の獣道を発見、興味が湧いてその獣道を進む。たが、そこは枝や石等無く手入されている事に気が付く。


これが忠勝のおっちゃんが言っていた逃げ道か? そう思いながら進むと山を越えて反対側まで来る。これは知らない人が来る事はまず無理だろうな、そう思う程の場所だ。


まるで今の登山道みたいだ。所々に別れ道何かあった、恐らくだけど別の出口につなかっているんだろうな。


来た道を帰ろうとした時、俺を見ている視線を感じる。

スキル索敵を発動する。


山を越えて進んだ先にある高台のような場所から俺を見ていたようだ。だがかなりの距離だ、良く見えるものだ。


そう思っていると矢が飛んでくる。獣と勘違いされたと思い結界魔法をかけて後に下がり、その場を離れる事にして後に下がりつつ気配を消して隠れる。


少し経つと2人の男が走って山を駆け上がって来る。

「おい、仕留めたか?」

「いや、駄目だ。けど矢が当たったと思ったんだけどな」


「どんな奴だった?」

「黒髪の男だ。恐らくここの所騒ぎになってる月読みの祝福を受けた男だろうと思う」


「え? そいつを狙ったのか?」

「ああ、絶対に良い金になると思ったんだけどな。今、実田のお館様とかがかなりやられて苛ついてるらしい。だから、俺達が捕らえて連れてけば俺達も農民から抜け出せるだろ」


「成る程な。なら、血が出てないか良く探そうぜ」

「当たり前だ、こんな大物逃す手はない」

隠れて見ていると2人の男が弓矢を持ち、何時でも放てるように構えながらウロウロとして俺を探し続ける。



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