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鬼ケ島伝説 鬼がしらと呼ばれた男  作者: 武田 健太郎


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33/54

33.

俺達の結婚の儀式が終わり落ち着きを取り戻して来たある日、忠勝のおっちゃんの家に集められる。


その日は朝から愛によって俺を含め何時もの面々が集められていた。俺達を含め伝次郎、又佐、幸太郎、又兵衛達が日が登る前から忠勝のおっちゃんの家にいる。


そして、ハルナと夢は俺達よりも早く忠勝のおっちゃんの家に来て、みんなの飯の準備なんかをしてくれている。


この日は菅生の棟梁も愛達に連れられて来ていた。ただ、調子が良くないらしく部屋の奥で布団に横になっている。


愛がみんなをまとめる。

「さ、みんな食べながら聞いてちょうだい。昨日の夜みんなに伝えたように今日の日の出に合わせて奴等が来る、みんな其々の配置に付いてもらうよ。


デンと又兵衛は私と一緒に来てもらう」


又兵衛が飯をかっ込んで撒菱を一つ取って愛に渡す。

「ハイ、愛様。これは将から言われて作った撒菱です、他はすでに入口前の崖に準備しております」


「ありがとう」

愛が撒菱を不思議そうに見る。

「門馬の親方、海とこの村の全てお任せいたします」


「かしこまりました。村に付いてはハルナと夢が担当します」


「分かりました。


ハルナ、夢。悪いけどお父様も見てあげてね。寝ている時も月読みのお告げが来るらしいの、何かあったら全てを伝えてちょうだい」


「「ハイ!!」」


その後、3箇所に其々に別れ行く。


俺は1人で崖の上に来る。まだカマリ達が集まる気配が無い、カマリが来る前にある仕掛けをする。


土魔法を使い崖の前に堀を作り、崖の手前に杭を立て上がりにくい用に作る。そこに先遣隊と思しき男が一人やって来た。


暗い中で松明を持ち、崖の上に誰もいない事を確認しながら上がってくる。すると杭が何本も立ち、侵入を阻む用に設置されている事に気が付いて動きが止まる。


ピー!! ピー!! ピー!!

緊急の笛だろう、突然男が下に走り出した、すると程なく沢山の人が集まって来るのが分かった。


それに合わせ獣臭いにおいが上がってくる、以前会った獣の皮を着込んだ奴が来たのだろう。それもかなりの数だ。


堀の下に揃い杭を見て何やら警戒を始める。それを見て持って来た袋の口を開ける、以前から畑等で埋まっていた石を取っては集めていたものだ。


身体強化を発動し、石を投げる。


シュッ ドン!!


杭の隙間から石が飛び出しカマリ達の後に当たり、地面がえぐれる。


「どうする? このまま尻尾を巻いて逃げるなら俺は追わない」

少し挑発するように声をかける。


すると40代位の男が立ち上がる。

「私はこのカマリの棟梁だ。

鬼頭 将殿とお見受けする、私と一騎討ちをお願いしたい、どうだろうか?」


「かまわない、と言うかお前達全員をここから帰すつもりは無い。

それと、遠巻きに見ている奴等にもそう言っておけ、今日がお前達の最期だ」


「ふ、鬼頭殿がそう言うと嘘に聞こえないのが怖いな」


鬼がしらを抜いて杭の前まで来る。カマリ達は動かずに一定の距離を保ったままで俺を見ていた。


杭から堀をジャンプして越えていく。その動きが物凄く不思議だったようでカマリ達が声をあげて驚いていた。


堀は深さ2m位、幅にして3.5m位ある。その堀を軽く飛び越えた姿に驚いたようだ。まぁ、身体強化してなかったら飛び越えるなんて不可能だけどね。


「物凄いは妖術、気を引き締めて行こう。私は真北 辰之助(マキタ タツノスケ)、以前は桃太郎様の剣術指南役をしていた」


「俺は鬼頭 将だ」


「鬼頭殿は名前をどのように書かれる?」不意に真北 辰之助からそんな質問を受ける。


「鬼のかしら(頭)に将軍のしょう(将)だ」

「成る程、鬼の(かしら)に大将の将ですか?。

鬼頭殿にピッタリな名前ですな」


「そうか」


身体強化を解除して真北と対峙する。真北が何かに気が付いたようだが構わずに攻める。


頭上からの振り下ろしに真北が反応し、咄嗟に右に体をねじり刀をやり過ごす。鬼がしらを戻し再度構えると真北が少し下がり刀を構える。


「真北といったか、そんなに肩に力を入れると動きが鈍るぞ」


真北が自分の肩を見て、いかり肩になっているのに気付いたのか、肩を上下に動かす。


真北が坂を登るように踏ん張り、突きの連打を放つ。


真北の突きを横に受け流し、鬼がしらを切り返し横に斬りかかるが真北の着ていた来ていた獣の皮が切れただけに見えた。が、体は切れていないが下に着込んだ着物も斬れていたようだ。


「つっ」

真北が自分の着物を見て恐怖したように俺を見る。


「おい、敵を必要以上に大きくするなよ。飲まれるぞ」

「は、はい!」


真北が素直に返事をすると、大きく息を吸い深く腹に収める。


すると真北の雰囲気が変わる。

体全体にあった緊張感が消え、オーラのような物が体全体を覆い集中力を高めるていく。


「ちぇあっ!」

真北の上段からの切落しをかわすと直ぐ様下段からの振り上げが来る。俺のアドバイスでより集中力が上がったようだ。


それを見ていたカマリ達が真北を応援し始める。

「お頭、やれー!!」「良いぞ、今までで一番強いでっせー」「行け−、今のお頭は最強だぁ」


配下の応援があってか、真北の動きが更に精度を増す。


真北の攻撃を柔らかくいなし、力を奪うように真北の刀をいなす、けして相手の力に対抗せず柔らかく力を吸収するようにいなす。


これは異世界で同じ勇者パーティーにいたタクテに教わった技だ。相手の刀を弾くパリーとは違い、相手の攻撃を吸収するように弱める技術。実際にこれをされると最初こそは良いがやられた側は非常に疲れが出てくる。


タクテにこの技を教わった時は丸2日、腕が上がらなくなった事もあった程だ。


真北が俺を見て動きを止めた。

「鬼頭殿は何処でこの“柳”を覚えられた? それもここまで完璧な“柳”は私も初めてだ」

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