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鬼ケ島伝説 鬼がしらと呼ばれた男  作者: 武田 健太郎


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31.

異世界Side


キトーを再度、グランバルト王国に転移させてそれから元の世界に戻す為に、赤龍の宝玉が必要。それをもらいに赤龍の住処に向かっていたメルダリア、ダリア、ミューモ、タテクの4人は赤龍が住む火山地帯の手前に有る町に来ていた。

来ていたと言うよりもそこで足止めを食っていた、町の人達の話によると、勇者を元の世界に戻した辺から天候が荒れだし誰も近付けなくなっているのだとか。


砂嵐に交じり火山特有の硝子を含む石が舞っており、そのまま進むと暴風と火山石が体に当たり身体中が穴だらけになってしまう程の状態なのだとか。


「しかし、キトーが帰った後でまたこの結界を赤龍様が張ったと言う事はちょっと不味く無いかな」

「ダリア、どう言う事だ?」


「タクテも考えてご覧よ。キトーは赤龍様の結界を、酒に酔った勢いてぶっ壊して赤龍様と一戦交えたんだよ。

でも、良く分からないけど赤龍様がキトーを気に入って結界を取ってくれたでしょう。


つまり、キトーが元の世界に戻った事に怒を覚えているかも知れないって事よ」


「私はそうは思わないかな。以前のような近づく者を殺そうとしていた恐ろしい結界じゃないと思う、何かを守ろうとしてる気がする。だってこの結界に以前のような殺気が込められていないもの」


ダリア、ミューモ、タクテの3人がそんなやり取りをしつつパーティーリーダーのメルダリアが帰って来るのを待っていた。


この日、メルダリアはこの町の町長に呼ばれて町長の屋敷にいる、グランバルト王国の男爵家に当る家だ。


グランバルト王国の王女であるメルダリアと言えど、連絡があったのを断る訳には行かなかったようだ。


町長の屋敷では簡素な歓迎会が開かれていた。男爵と言っても足しいて裕福な家では無く、男爵の家族にメイドが2人、執事が1人。5人の大人でこの町を管理しているのだ。


「メルダリア王女、これが先程お伝えした赤龍様から預かった書状になります」

「これは!?」


メルダリアが驚いたのは間違いが無い、書状として赤龍が渡した物は自らの鱗を取り、それを使った物だ。


「赤龍様より、子供を預かっている。その子を元の村に戻して欲しい。

そのように聞いております」


「男爵、それは男爵が直接言われたのでしょうか?」

メルダリアの顔が真剣になる。


「いえ、我が家のメイド兼料理長のハンナが聞いております」

男爵がそう言ってメイドの1人を見る。


「ハンナと言いましたね。赤龍様とお会いした時の事を教えて下さい」


ハンナが畏まったように頭を下げ話しを始める。

その日、ハンナは食材を求め町を出て木の実を取りに向かった。戦争が収まり町にも活気が出てきている事もあってか、多くの冒険者と呼ばれる者達や騎士達が魔物退治を行っており安心して森で食材探しが出来るらしい。


ハンナからしたら何時もの事で慣れた手付きで食材を集めていた、その時だ。突然上空が真っ赤にそまり赤龍か現れた。


「そなた、そなた確かキトーを泊めていた家の者だな?」

ハンナは恐ろしくなり、へたり込んでしまったが何とか返事をした。


キトーと赤龍は仲が良い、キトーの仲間は赤龍が保護すると聞いた事を思いだしたのだ。


「そなたに伝言を頼みたい。後、2~3ヶ月の内にお転婆でキトーが大好きで仕方ない姫と頭の硬い男、何時までも自分を少女だと思っている年増女、見た目麗しく中身が薄い女が揃ってやって来る。


そしたら私の所に来る事、私が助けた子供達を親元に帰す事を約束させろ。


その約束がなされた時にこの砂嵐がとける」

「赤龍様、もし私が説得出来なかった時はどうなるのでしょうか?」


「どうもならん。この国が滅亡するだけだ」

「ヒィッ」


その後、メイドは気を失いその場に倒れた。所が屋敷の庭先にメイド寝かされた状態で、赤龍の鱗の書状を持たされていたのだ。


「キトーが大好きで・・・。赤龍様、それは絶対に言わないって約束したじゃないですかぁ−!!」

メルダリアが真っ赤な顔で1人大声を上げていた。


それから宿にメルダリアが戻る。待っていたミューモ、ダリアが部屋でメルダリアを受け入れる。


唯一、男性のタクテは別の部屋ですでに寝ていた。


メルダリアが戻った翌日、メルダリアから赤龍についての説明がなされた。

それに黙って頷いたのがタクテだった。

「つまり、今回も赤龍様からのお願いを聞かないと宝玉がもらえない。そう言う事だな」


「ちょっと待って、今回もって前回も何かあったの?」

不思議そうにダリアがタクテに聞く。


「ダリアは知らないのか?

前回キトーが酔っ払って結界をぶち壊しただろ。その時に赤龍様がキトーに‘’私を楽しませてみろ‘’って言ったんだよ」


「えっ。だからあんな戦いを1週間もやったの?」


ミューモがダリアに説明を始める。

「違うのよ、戦いは赤龍様の唯の八つ当たりよ。余りに暇過ぎて飽きて来たからキトーが赤龍様のストレス発散の為にやったの。


その後よ。キトーが赤龍様と一緒に酒を飲んで笑いあってたでしょ、それが赤龍様が物凄く気に入ったの。

本当にお腹を抱えて‘’キトーは面白い‘’ってずっと言っていたんだから。


それは私もここを離れる時に赤龍様から直接聞いたわ、楽しむなら酒が一番だって言って赤龍様に酒を飲ませて今ままでの事を赤裸々に話して教えたらしいわ」


「そ、そうだったの? 私、赤龍様の魔力にやられて寝込んでいたから分からなかった」


「でもさ、キトーを私達が呼んだ事がそんなに面白かったのかな?」

「メルダリア、簡単に言うと我々はキトーを拉致して無理矢理魔人王と戦わせたんだ。

それを俯瞰して見ている赤龍様の事だ、私が分からない事も分かってらっしゃるのだろう」


「そ、そうだね。私達の勝手な都合をキトーに押し付けただけの事だもんね」


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