30.
「ちょっと良いか? 毎度の事で悪いがその話はハルナと夢は知っていて、2人が了承しているのか?」
俺が取り敢えず考える時間が欲しく、時間稼ぎの為に質問をする。
「え? でも、夢が怒って将に責任取れって言ってたでしょ」
愛が夢と対戦した時の屁の話しを持ち出す。
「それとこれとは違うじゃないのか?」
「違わない。夢に恥をかかせたんだ、夢を責任持って娶ってやれ。それが男ってもんだろう?」
嫌々違うでしょ、屁の話で夢を娶る何て無理に決まってる。不満そうな顔で愛を見ると、愛が舌をチョロッと出す。
「まあ、冗談はさて置いて、夢に関しての真剣な話だ。実田の連中や京の連中に夢を取られる訳には行かない。
時東 鎌田薫 只信の名前で指令書が発布される前に、将との祝言をあげて色んな所に発信してしまう。
ましてデン、マタ、ユキは実田の国の者だ。と言うか大蔵村自体が実田の国の一つ、だから領主命令となれば我々大蔵村の人達は逆らえない。
もし、逆らえばこの大蔵村を取り潰す理由を与えてしまう。最後の最後までハルナを始め美雪や鷹を守ってくれるのは夢を置いていない。
将は実田の国とは全く関係の無い人物、奴等に夢とハルナを人質に取られることも無い。
それが嫌なら将が元の世界に戻らず一生を添い遂げるしか他に方法は無い」
本当に痛い所を付く。でも、もし俺がこの世界に残る決断をしたらどうなるんだ?
「将、お前が元の世界に戻るのはババ様の時から決まっている、私らも何度も残る可能性を考え無かった訳じゃない。
これは如何なる事をしても覆す事が出来ない運命だ、ならその間ハルナと夢と2人をはべらかせて楽しめ」
愛の話を聞いて少し疑問を持った。
「愛、聞いても良いか? 俺がここにとどまると言う選択をしてもそれは叶わないと言う事か?」
「そうだ。将が元々暮らしていた場所から何処か遠い国に突然連れて行かれただろ、それと同じ事が起こる。それは如何に将と言えど逆らう事が出来ないもの、将もそれは理解しているだろ。
それに、元々の場所に帰ってお母様を守るんだろ。その事は忘れるな」
そう言われるとな、異世界に転移させられた時は無理矢理誘拐されたのと変わらない事だしな。あの時は有無を言わせない拘束力があったのは確かだ、愛にそう言われて何故か納得してしまった。
まして、ここ大蔵村は俺が帰る時にグランバルト王国のあの伯爵子女が余計な事をした事でここに放り出された、愛達はそんな俺と取り引きがしたいそう言ってきてるだけの事だ。
住む所、食う飯を提供して、帰る時まで共に行動する代わりに自分達を守って欲しい、そう言ってるに過ぎない。
実際にグランバルト王国よりも大蔵村の方が俺個人としては助けてやりたいし、色々と協力して行きたい。
「私はいいぞ!」
俺がどう結論を出そうか考えているとハルナがいきなりそう言い出す。
「ハルナ?」
俺がキョトンとしてハルナを見る。
「夢は姉妹のように育った。それに将は無理をする、無理をする将を私は1人で待って入れる程強くは無い。
正直に1人で将が戻るのを待つのが怖い。それよりなら、夢が一緒にいてくれると私は心強い」
ハルナが俺を見て真っ直ぐそう言う。
「私も将は嫌いじゃない。ハルナや将が許可してくれるなら3人で暮らして行きたい」
夢が自分の気持ちをはっきりとそう伝えて来た。
しかし、異世界に来てからと言うもの、何故俺の回りの女性達はみんな意識が強く主張がはっきりとしてるのかね? はっきりと言って優柔不断な俺としてはこのまま受け入れてしまいそうだ。
しかし、俺はそれで良いのだろうか?今までは誰かに言われた事を何も考えもせずにそれが正しいと勝手に思っていただけ、なのかも知れない。ハルナと夢は俺と比べると凄く大人に見える。
「分かった。そうやって真っ直ぐな目で俺を見ないでくれ、それと無茶をしているように見えたなら謝るよ。ハルナ、ごめんな」
「うん、許す。それと本当に無茶してないの?」
「して無いよ。無茶をする程大変な奴にも合ってないしな」
「ちょっと、2人だけの世界に入らないでちょうだい」
夢が俺とハルナの間に割って入る。
「ハルナ、将。今日からよろしくお願いします」
「ああ」「夢、よろしくね」
パンパン!!
「そうと決まればやる事は一つだよ。月読みの神職の交代とハルナ、夢と将の結婚の儀式を執り行う。
期日は明日、明日には高砂村と湯面村からも棟梁達が来るからね。みんな滞り無く全てを終わらせるよ」
翌日、お昼前に菅生の棟梁の屋敷に付き合いのある高砂村と湯面村の其々の棟梁(村長)が来る。
俺とハルナ、夢の3人は菅生の親方の屋敷に呼ばれ其々の親方と顔合わせを行った。
「ほう、するとこの若者が妖術を使うと言う蝦夷の者か?」
「しかし、若いね。肌艶も良いし女を2人もはべらかして、大層なご身分だね」
「まぁまぁ、若い者をそうからかわなくても。
ささ、政狩の棟梁、三条の女将(棟梁)。お二人も一緒に愛の晴れ姿をご覧ください」
「菅生の棟梁。貴方はわしが子供の頃から良く知っているが、相変わらずその若い姿のままですな」
「私も、月読みの神職になれれば良かったのにね。そしたら何時までも若くいれたかも知れないね」
政狩の棟梁と三条の女将の化しあいが続く中、愛の支度が整う。
すると祭壇のような場所に案内され俺とハルナと夢の3人が真ん中に座らされる。
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