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鬼ケ島伝説 鬼がしらと呼ばれた男  作者: 武田 健太郎


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3/7

3.

一方、その頃俺は物凄いピンチに陥っていた。

「おっ? おわ―!!」


ドボン!!


「うわ、冷てぇ。


ゴボゴボ。


ゲッホ。しょっぱい」


送還に失敗した俺が送られた場所は何故か海の上だった。


突如上空に放り出された俺は、手足をパタつかせ上空から落ちる事に必死になって抵抗していた。だが抵抗虚しく頭から海に落ちてしまったのだ。


だが大丈夫だ。そう俺は金槌だ! 泳げん!! って絶対に大丈夫じゃ無いじゃん。


「結界」

咄嗟に海の上スレスレに結界魔法を出し、そこに何とか乗り上がって難を逃れる。


「ぶはぁ~。死ぬかと思ったぞ」

何とか結界の上に乗り一息付いてから辺りを見渡すと少し離れた場所に家の灯りが見える。


時間的にすでに夜かも知れない。それは薄暗く黒く重たい雲が空を埋めていた、そして空一杯に雷様の腹の音が響き渡っていた。


「こ、これって。ま、不味く無いか?」

それは台風のような酷い風と雨、その強風に煽られた海が大きく波打ち、お互いにぶつかり合っていた。


俺が作った結界魔法は海の上スレスレだ、そこに座った俺を容赦なく大波が襲って来る。


何度も大波に拐われそうになり、耐えていたがやがて限界がくる。


ザザザザー!!

巨大な大波に襲われあっさりと海に投げ出されてしまった。

「ぐっ、うわっ。 グボッ!」


バチャバチャと海にのまれまいと抵抗し続けるが、その抵抗虚しくそのまま沈んで行き意識を失う。


俺の小さい頃の記憶を夢の中で見たのだろう。昔、母ちゃんに海に連れてきてもらった事があった。浮輪を付けて足を濡らしてパチャパチャと遊んでいた時の夢を見ていた。


「でばん、ドザ・・だぇ?」

「だっちゃ・・ばん・・」

「こら、お・・が・・・ばろが」


「「「に・・ろ・」」」


物凄く騒がしい環境に目が覚める。すると砂浜に打ち上げられていたようで地面に顔を付け何とか呼吸をしていた、どうやら上手く岸に打ち上げられて一命をとりとめたようだ。


「い、生きていたぁ」

ほっとして砂浜の砂の冷たさに安心感を覚える。


「〒€=#$@№§√」

突然、誰かに声をかけられたが、全く何を言ってるのか分からなかった。でもダリアは日本で俺が召喚された場所に戻すと言っていたはず、だからここは日本のはずだ。

そう思い何を言ってるのか分からないが、地面から頭を上げて声をけて来た人を見る。


「え?」

その声をかけてきた人を見て思わず固まってしまった。


本当に二度見してしまった。


金髪に白い肌、金色の目の女性? え、何でここに白人さんが?


それに・・・少し薄汚い感じの使い古した感じの着物?


あれ、俺ひょっとしてどっかのコスプレ大会に迷い込んだのか?

どう見ても白人さんが着物来て観光しているのと変わらない気がする。

でも、観光ならもっと綺麗な着物着るよな、当然バエ写真撮るために。

けど、どう見てもちょっと汚い着物なんだけど、あからさまに普段使いの着物だよな。


って言うか、そう言う設定のコスプレか? 村人設定とか?


ピコーン!!

突然頭の中に音がなり機械音が流れる。

“スキル言語理解を発動します”

“スキル鑑定を発動します”


スキル言語理解によって女性が話す言葉が理解出来るようになる、何とか会話も出来るようになった。

そしてスキル鑑定によって女性の事が分かった。


名前 門馬 ハルナ 16才


渡来人の一族で両親は既に争い事により死亡。


時代 平安時代初期頃 現在から約1200程前


場所 実田の国の中にある大蔵村、実田の国からは鬼が住む村と呼ばれている。


かつて盛んに行われていた外国貿易の相手国から渡ってきた渡来人の子孫達によって作られた村。


(※)実田の国は現在の関東一帯の国々を支配した国のような組織、所謂連合国家の小さい版。実田の中心は現在の神奈川県鎌倉市付近、鎌倉駅付近にあたる。大蔵村は神奈川県三浦郡葉山町付近に当る場所。


鑑定を見て驚いた、ダリアのやつ全く違う所に俺を帰すつもりだったようだ、俺が召喚された場所と全然違う。


訝しげに門馬 ハルナが俺を見て再度声をかけてきた。


「あんた、どっから来たの?」

「ああ−、悪いけど良く分からない。

昨日、激しい嵐の中で海に投げ出されてしまって、気が付いたらここにいた」


「は? あんた馬鹿なの? あんな嵐の時に船で海を渡ってたのかい? 呆れて物が言えないよ」

「悪いな、母ちゃんが待ってるんだ、ちょっと急いでいた」


「そ、どうでも良いけど生きてるならとっとと村から出て行きな」

門馬 ハルナの態度が急に変わる。殺気がこもり断ったら今にも殺されそうな程の気迫がある。

「そう言われてもな。ここが何処かも分からない、少しの間この村に居させてもらえないか?」

「なっ?」


門馬 ハルナが呆れたような顔で言葉を失くす。

そんな門馬 ハルナを横目に見ながら起き上がり体に付いた砂をほろう、そこで俺の愛刀が無いことに気が付く。


何処に行ったと思い、辺りを見渡すと少し離れた所に子供達がいて俺の愛刀を持って何やらやっているのが見えた。


「鬼がしら、来い」


ビュン!!


鬼がしらが子供達の手を抜けて俺の元に飛んでくる。

俺の愛刀”鬼がしら”は、勇者のパーティーで始めてドラゴンを倒した時に得たドラゴンの牙と角と骨で作った俺専用の刀だ。


そしてこの刀に‘’鬼がしら‘’と名前を付けたのが聖女のミューモだ。俺の名前をもじってふざけて付けた名前たが、何故かこの刀が‘’鬼がしら‘’と言う名前を気に入ってしまい、他の呼び方をすると不貞腐れて抜けないようになってしまったのだ。


そう、この刀、鬼がしらは意思がある。


鬼がしらは俺以外の者が使うのを極端に嫌がる。そして元々ドラゴンだった事もあり刀自体に物凄い魔力があり、空を飛ぶ事も可能な位に元のドラゴンの能力を受け継いでもいる。これを上手く使う事が出来れば攻撃力を2倍にも、3倍にも高める事が出来る優れものでもある。


だからこそ、あの異世界最強魔人に勝てたのだ。


門馬 ハルナが顔面蒼白になり、近くにいた子供達を守るように立っていた。

「お、おまえ、妖術使いか? 

はっ。お前、蝦夷(エゾ)の者だな。


以前、じぃちゃんに聞いたことがある。蝦夷には奇っ怪な妖術を使う一族がいるって。


お、お前その一族だなぁ」


門馬 ハルナが子供達を連れて俺から離れ家に逃げ込むと一気に人影が無くなってしまう、村の中の人と言う人が姿を消してしまったようだ。


(※)事実、史実とは一切関係ありません。


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