28.
なんか、冗談に聞こえたみたいだ。捕まった男女3人も顔を下に向け笑いをこらえていた。
「ま、見てればわかる。但し、ハルナと夢には言うなよ、あの2人は自分達も行くなんて言いかね無いからな」
「それはかまわん。だが、言うか言わないかは実際に見てから決める」
伝次郎が真剣な顔になる。
身体強化Lv2を発動。
両肩に男女3人をまとめて肩に乗せてしまう。
その後、結界魔法を足場代わりに発動すると、勢いを付けてジャンプしながら崖の上まで結界魔法を出して登っていく。
俺が抱えた3人は余りの出来事に言葉を失い、伝次郎達もポカンと大きく口を開き固まっていた。
崖の上に付いて3人を降ろすと、3人が手足を縛られたままの状態で土下座し始めた。
「お、お助けくだざい」
「もう、ニ度と鬼の島に来ません」
「見た事は何も言いません。お許し下さい」
そう言って震え出す。
仕方なく、崖の反対側に隠れている奴に向かい石を拾って投げる。
バチン!! 「ギャッ!!」
1人が倒れると残った者達が姿を見せる。みんな獣の皮を使った袖の無い上着を着込み、人の臭いを消している。ようは偵察部隊とでも言う奴等なのだと思う。
「こいつらを帰してやるよ。
ワタリの、お前達の大将に伝えておけ。お前が大将だと配下が可愛そうだ配下は使い捨ての駒じゃ無い、そう伝えておけ」
ワタリの1人の男が手に小剣のような武器を持って構える。ここにいるのは戦闘に慣れた者達のようだ、構えも隙がなく他の者達も何時でも動けるように油断無く構えている。
それを見てスキル威嚇を発動する。
何時ものように頭に機械音がなり始める。‘’スキル威嚇 Lv2を発動します‘’
「ガァ」
一番先頭にいた、武器を手にした男が威嚇の圧力に負けて気を失い倒れる。
他の者達は何とか意識を保っているが、苦しそうに両手を地面に付き膝を付いてきて耐えている。
「いいか、この3人を連れて帰れ。余計な事をすると俺がお前達の所に攻めに入るぞ」
「わ、分かった。
と、そう。
つ、た、える」
ワタリの1人がそう答える。
威嚇を解いて、捕まえた3人の綱を解いてやってから、登る時に作った結界に飛び乗り下に降りて来る。その際、不要になった結界を消しながら下に戻る。
俺が下まで付いた頃にワタリ達が下を覗き込む、ワタリ達は腰を抜かしたのかその場に佇んで動けなくなっていた。
それと同時に伝次郎、又佐、幸太郎の3人が俺を化け物でも見たのかと言う顔で覗き込む。
「なぁ、将は俺達と同じ人か?」
「そ、そうだぞ。あんな事、普通の人には出来無いのがふ、普通だぞ」
「駄目だ。俺、腰が抜けた」
「はは。だいぶ驚いた見たいだな、ハルナと夢にいま見た事は絶対に言うなよ」
伝次郎、又佐、幸太郎の3人が首が折れると思われる位に顔を上下させていた。
「どれ、愛に報告しないとな」
「「ああ」」
「ま、待ってくれ。本当に腰を抜かして動け無い」
「又佐、ほんとうに?」
「本当だ、将。お前はすご過ぎるぞ」
「仕方ない、背負ってやる」
身体強化Lv2が発動中だった俺が又佐を背負う。余りに軽く背負った為か幸太郎と伝次郎が更に驚いていた。
「将、お前のその強さは何を食ったらそうなれるだ?」
「俺も不思議だ、大人の男女を背負ってあれだけの高さをジャンプするなんて、考えただけでも恐ろしいぞ」
「はは、何度も何度も心臓が止まるまで追い詰めてから蘇生させられただけだ。大した事は何もしていない」
「「「ちょっと待った!!」」」
何故か伝次郎、又佐、幸太郎の3人が青い顔で俺を見る。
「お前、生きてるよな?」俺におぶさった又佐がそう聞いてくる。
「そうか、妖術ってやっぱり死に戻りの術なんだな」
伝次郎がそう呟く。
「何だ、その死に戻りの術って?」
思わず不思議に思って聞く。
「俺、ガキの頃に聞いた事がある。
蝦夷の妖術使いの一族は子供の頃から何度と無く死ぬ目に合って、そこから蘇生させられて生き残った奴しか使えないとな。
将、お前は本当に凄い奴だな。生きて本物の妖術使いと会えるなんて思ってもいなかった」
ふと、伝次郎からそんな話しを聞いて思い出した事がある。
異世界に召還されてグランバルト王国に初めて行った時、メルダリアとミューモの2人に連れられて幾度と無く有る飲み物を飲まされた事があった。
それはグランバルト王国に古くから伝わる、魔力を引き出す飲み物。
体に合わずに、何度勇者を召還しても死んでしまい半ば諦めかけた時に俺が召還された。そう聞いた事があった。
実際に俺も何度も死にかけた、その都度ミューモによって蘇生させられて魔力を得た。この儀式によって扱える存在魔力の量を計るらしく、俺の魔力量はクランバルト王国史上最高の魔力量と判定されたのだ。
そしてこの判定の儀式で死ななかった勇者は過去200年で俺1人だけだったらしい。
「ふ〜ん。伝次郎はその話しを誰から聞いたんだ?」
「俺の親父だ。親父もガキの頃にババ様からそう聞いた事があったそうだ。
正直眉唾ものだと思っていたが、将を見て考えが変わったよ」




