26.
「くっそー! 負けた。将、何でそんなに強いんだ? 次は負けないからな」
夢が泣きながら俺を睨む。
「楽しかった。またやろう」
「くっそ! 楽しかったなんて馬鹿にして」
夢が本当に悔しそうに泣き始めた、それを見て愛が夢の所に来て慰めている。
「将、お前は女の扱いに慣れていないね。見てるこっちがハラハラとして心配になる位だよ」
そう愛に言われてしまう。たが、仕方ない。だって恋愛した事無いし、彼女いた事無いし、女友達もほぼいないです。伊達に異世界まで行ってまでも貞操を守りきったわけじゃないです。
夢がある程度落ち着きを取り戻した頃に、愛から皆で門馬の棟梁の家に行くと言われて忠勝のおっちゃんの家に来た。
その日、忠勝のおっちゃんは何か用事が有るようで、ハルナが家の中に皆を入れる。
「愛様、何かあったのですか?」
伝次郎が愛に聞く。
「後少しで門馬の親方が戻る。父から何か聞いて来るはずだ、それを待って話し合いを行う」
愛の言った通りに忠勝のおっちゃんが30分としないで家に帰って来た。
「何だ皆揃っていたか」
「門馬の親方、先に来て待ってたよ」
愛がそう声をかけると忠勝のおっちゃんが少し悲しそうに笑いかけていた。
「愛様も菅生の棟梁からお話は聞いてらっしゃったのですね?」
「うん。その上で今回の戦略を立てている」
「はは、お二人にはかないませんな」
忠勝のおっちゃんが俺とハルナの前に来る、すると酷く深刻な顔で俺達を見る。
「じいちゃん、何かあったの?」
ハルナが不安げに声をかける。
忠勝のおっちゃんと愛の目線が合う、すると忠勝のおっちゃんが話を始める。
「今、菅生の棟梁の呼ばれて今後の話を聞いた。来月の中頃から実田の国と京の兵士が揃い三回程この大蔵村を襲うと月読みの知らせがあった」
その話に皆の顔が引き締まる。
「最初だ、花が咲き揃う頃だ。丁度農作業の手を休めれる時に海と崖からの奇襲が有る。
その崖の上を将一人にお願いしたい」
「じいちゃん、まって。将一人は駄目」
ハルナが忠勝のおっちゃんを見て抗議するが、忠勝のおっちゃんはハルナを見ずに俺を見る。
「ハルナ、俺なら心配入らない。
それよりも崖の上からの攻撃だ、崖に面した家が多いこの村だ。そっちの損傷を心配方がいい」
「でも、たった1人だなんて」
ハルナが真剣に心配した顔をしている。
「でも仕方ないだろ、あの崖の上に行くには俺を置いて他にいないだろ。
俺以外の人が行くとなると何日もかけて反対側から登らいと行けない。
彼奴等もそんな事を許してくれるはずが無い」
「そうだけど」
幸太郎が話を止める。
「しかし、反対側から登らないならどうやって行くつもりだ? こんな垂直の崖を登るわけにも行かないだろう」
その言葉に俺以外の人間が皆ハッと気付いたような顔をしていた。
忠勝のおっちゃんが不思議そうに言う。「いや、しかし菅生の棟梁が何も心配いらないって言っていたぞ。将はどうするつもりだ?」
「はは、内緒だ。今言えば何を言われるか分からないしな。自分も連れて行けって言いそうなお転婆な奴が何人かいそうだしな」
忠勝のおっちゃんにそう返事をしつつハルナと夢を見る、2人は不満そうに俺を睨み返してきた。
「それよりもおっちゃん。今回は山の入口からは来ないのか?」
忠勝のおっちゃんがハッとした顔になる。
「いや、来る予定だ。今回はワタリの棟梁が本気でこの村に攻め入るつもりらしい。
この戦い参加するのは基本的にワタリの一族と山賊海賊擬きどもだと菅生の棟梁が言っていた」
「で、そこは誰が守る?」
「愛様とデン、猟師の又兵衛が入る」
「そうか、なら俺からも秘策が有る、後で窯元を紹介してもらえるか?」
「「「「「窯元?」」」」」
「何だ? 俺変な事を言ったか?」
愛が呆れた顔で俺を見る。
「まぁ、前回の事もある。将は何をしでかすか分からない、そこに相手が恐怖を覚えるのも確かだろう。
良いよ、話し合いの後で私が案内してあげるよ」
「そうか、愛。有難う。
愛と伝次郎、又兵衛の3人にその扱い方を説明する。
間違った使い方はしないでくれよ」
「おい、そんなに危険な物なのか?」
伝次郎が俺を見て少し嫌そうな顔をする。
「扱いを間違無ければさして危険は無い。ただ戦いが終わった後の後始末が少しめんどうなだけだ」
「なら、将を中心に進めてくれ。残りの者は、このまま海での対策だ。
当日この家はハルナと夢に任せる、怪我人なんかも出るだろうし子供や年寄りの面倒も見てもらうと思う、当日は菅生の棟梁もここに来られる予定だ。
そしてマタ、ユキはわしと一緒に舟で海での戦いだ。良いな」
「「おお!!」」
忠勝のおっちゃんが愛を見る、それに合わせ愛が黙って頷く。
「では、愛様、将、デンの3人はそちらで話し合いをお願いします」
愛と伝次郎を加えて3人で車座に座る。
「して、将。秘策とらやを教えてもらえるか?」
「なら、窯元に行こう、その時話しをしながら行く。
それと愛、ワタリと呼ばれた奴等が何人か村に入っている、空き家なんかを注意して見ててくれ」
「なら、その役目は俺がやろう。家の者達で家屋の手入やら全てを任されている。でも何でわかった?」
「お前達の言う、妖術と言う奴だ」
「ふっ、かなり便利な物のようだな。将の妖術は」
それは、夢と対戦中から感じていたものだ。どうも俺が授かった勇者の能力は規格外の能力らしく、索敵ですら俺に敵意がある者やモンスターを中心に教えてくれる。
そして範囲はゆうに1km先まで把握する事が出来るのだ。




