24.
桃太郎Side
桃太郎の話しを聞いていた時東 太助 小三郎が一旦止める。
「疑うつもりは無いが、配下から漏れてはいないな?」
「ハイ、その日は私と親しい者達3人で休暇を兼ね山登りを行うと配下の者達に伝えております。
万が一を考え、疑いを持たれないようにしておりました。そしてその山の場所についてはに父上の側近にのみ伝えられております」
「それであれば身内から漏れたと言うのは考え難いな。
桃太郎、続きを」
「ハイ」
桃太郎が更に話しを進める。
祖父である時東 太助 小三郎も叔父に当る時東 丸柄 経久も桃太郎が刀術の達人である事は元より、犬飼 小五郎 綱為、雉子藤 四郎 籠一、猿山 胸吉 六郎の実力も良く知っている。
そして犬飼 小五郎 綱為、雉子藤 四郎 籠一、猿山 胸吉 六郎がどれ程強いか、戦場での働きに付いても良く理解している。
その桃太郎達が鬼頭 将を最初に見た時、その強さを見抜き恐怖した事に驚きを覚えた。
「桃太郎、そなたですらその鬼頭と言う者には勝てぬ。そう言うのか?」
「ハイ、恐らくあの男に傷を負わせる事は可能だと思います。ですが勝つ事はありえません」
「そうか? して、そなたが見た崖の上から飛び降りたにもかかわらず、その鬼頭と言う者は鬼どもと楽しげに話しをしたおったと、そう言う事だな」
「ハイ、さようにございます」
「して、桃太郎。そなたの敗戦の話も聞こうか?」
時東 太助 小三郎の目つきが厳しくなる。
「かしこまりました。
此度、鬼どもの戦力を分断をすべく海の兵士達を連れ対戦を行いました。
その日は司令船を2隻、舟を50余りを引き連れて向かいました。狙いは鬼共の戦力、門馬の親方及び三羽烏と呼ばれる者達の討伐でございました」
桃太郎が話した内容はにわかに信じられないものが多かったようで、時東 太助 小三郎も時東 丸柄 経久も渋い顔をしている。
「桃太郎の話しはわかった、にわかには信じられない事だ。
桃太郎、その投げられた石と同じ大きさの物は、この庭などにも有るか?」
「確かめます」
桃太郎が屋敷の庭に降り立ち池の辺を見る、その池に一際大きな石が置かれていた。
「おじい様、叔父上。この石でございます」
そう言って指差した大きな石を時東 太助 小三郎と時東 丸柄 経久が見て驚きを覚える。
「誰か、桃太郎の足元に有る石を動かして見ろ」
「は、はい。私がやってみましょう」
1人の体の大きな家臣が立ち上がる。身長は180cmを超え、筋骨隆々な男が桃太郎の横に来る。
「若様、この石でよろしいか?」
「ああ」
大きな体でしゃがみ込み、体に石を密着させながら石を持ち上げる。だが、少し動く程度で石はびくともしない。
「むぐぐ」
「ぐが−!!」
「何糞!」
何度も気合を入れるが石が持ち上がる事は無かった。
「よい、そのへんでやめよ」
時東 丸柄 経久が家臣に声をかける。
「しかし、恐ろしい話だな。これ程の重さの石を数百は用意した上で小石のように投げて舟を落とす。
単純な事だがこれ程の効果的な事はない。
父上、猟師の中には石を投げ鳥を捕らえる者達がいたと聞いた事があます、粗奴らに何か対策や応用が可能か聞いてみてはいかがでしょうか?」
時東 太助 小三郎が息子の時東 丸柄 経久を見る。
「つまりです、確かに敵からこのような事をされると脅威です。だからこそ我らも使い方が有ると思います」
「ふむ、確かに卑怯である。たが、鬼共は人に非ず。その人に非ず者を成敗するには人としての礼儀は不要、それで丁度良いかもしれない。
経久、只信、桃太郎。
そなたら3人でそのように備えろ。
そして農作業が落ち着いたら我ら兵士五千を出そう。
この私も人と対戦する礼儀を持っておったが相手は鬼だ。人の礼儀等不要。徹底的に潰してやる」
「「「はっ!!」」」
◇◇◇◇◇◇◇◇
一方その頃、俺は夢と対戦を行う為に海岸沿いの広い場所に来ていた。
幸太郎、又佐、伝次郎との対戦を終えて数日経ち体の疲れが取れた頃、夢に呼びされた。
その対戦を忠勝のおっちゃん、菅生 法明と愛親子。幸太郎、又佐、伝次郎達が暇潰しに見に来ていた。
実は忠勝のおっちゃんと幸太郎、又佐、伝次郎の3人は漁師が本業で畑仕事は家で少ししかしていないのだ。
それと夢は孤児で忠勝のおっちゃんが面倒を見ている子供らしい、今は独立して1人で暮らしているが畑等は必要最小限で、残りは忠勝のおっちゃんの畑を手伝って共同で野菜やら米やらを作っているのだとか。
だからハルナと夢は姉妹のように育ったらしく、ハルナも夢に言われると断れないようで今回は渋々と言った顔で俺に付いてきた。
「ねぇ、夢。本当にやるの?」
「うん、将との対戦は楽しみにしてんだ」
そう言って笑う夢を見てハルナが止めるのを諦めてしまう、ハルナもそうだが夢も言い出したら聞かない性格だ。
「将、準備は良いだろうか?」
「良いけど、俺は夢に勝てると思わないぞ。俺には、伝次郎と俺の対戦を止める程の実力は無い」
「何を言っている、私が動いた時に直に私を見て自分から動きを止めた癖に。まぁ、伝次郎は気が付いていなかったけど」
その話を聞いた伝次郎が驚いた顔をしていた。
「夢、将。それは本当か?」
「本当よ」「本当だ」
俺と夢の声が合わさる。
「そんなぁ」
伝次郎の悲痛の叫びが聞こえた気がする。その言葉に伝次郎は起き上がれない程ショックを受けたようで、数日寝込んだらしい。
「将、悪いけど鬼がしらを使ってちょうだい。私は手加減されるのが一番嫌い、貴方の実力は鬼がしらあってのものでしょ」




