23.
桃太郎Side
その日、桃太郎と親の時東 鎌田薫 只信は現在の京都、都に有る実家。前の太政官 時東 太助 小三郎の屋敷を訪れていた。
農業シーズンが始まり、配下の多くが農作業に勤しむ中、時間があったこの時を使い挨拶に来ていた。
「父上、兄上。お久しぶりにございます」
「うむ」「只信、桃太郎。遠い所良く参った」
その場に時東 鎌田薫 只信の父、時東 太助 小三郎と現太政官である兄、時東 丸柄 経久がいる。
この2人の働きによって鬼の島の討伐が時の天皇により正式に決まったのだ。
その際「先々代の陛下のご意向を無視した鬼共に正義の鉄槌を落としてやれ、温情を忘れる輩等我らの敵である」そうまで言わしめたのがこの2人だ。
そんな京の都に急ぎの知らせが入る。
「ご報告申し上げます」
「何用だ?」
「は、時東 鎌田薫 只信様、時東 桃条 小太郎様の配下で物見と言う者が至急の報告ありと屋敷に来ております」
父親である時東 太助 小三郎と兄の時東 丸柄 経久が只信と桃太郎を見る。
「良い、連れて参れ」
「はっ」
只信がそう返事をすると時東 太助 小三郎家臣の者達に抱えられるように1人の傷だらけの男が来た。
「お館様、若様にご報告申し上げます。鬼の島を監視中だった物見棟梁、及び船頭の2名が鬼頭 将及び、菅生 愛2名によって討死。
生き残った物見の話しでは、鬼頭 将の妖術によると報告がありました」
「「「「な、なに!?」」」」
「その方、未だ話せるか?」
「ハイ、私の傷は急ぎの際に盗賊によって受けたもの、擦り傷程度でございます」
「良かった。詳しく話してくれ」
「ハイ」
その説明が、村を見下ろせる山の崖の上から物見3人が遠見(望遠鏡)を持って監視していた。
最初は仲間内で相撲を取っていた。対戦は鬼頭 将対三羽烏の3人。
其々に対戦するが鬼頭 将に勝てる者無し、その内刀を出し対戦に切り替わる。
対戦は鬼頭 将と三羽烏の1人、伝次郎と言う者。対戦中に物見の棟梁が鬼頭 将と目が合ったと言い出す。
物見2名が鬼頭 将を見ると、刀の名手と言われる夢と言う女が鬼頭 将と伝次郎を止めていた。
その後、鬼頭 将が刀を手元に戻す。これは遠くてはっきりとは分からなかったが刀が勝手に飛んだように見えた。
その後物見の棟梁から、他2名に海の様子を確認するように指示が出る。
物見2名が海を確認、何も変化ない事を報告。
その報告の際、鬼頭 将のいた所から、何か光輝く物が飛び出した。飛び出したと思った時、物見の棟梁の上半身が吹き飛んで跡形も無い状態になった。
腰を抜かした物見2名は海にいる船頭に撤収の指示を出すべく旗を振る、その旗に返事の旗が振られた時に菅生 愛の放った弓矢が異常な距離を飛び船頭の頭を射抜く。
「以上が、崖の上と舟に乗っていた物見の生き残りより合った報告にございます。
また、物見の棟梁及び船頭に置いては私もこの目で確認しました」
時東 鎌田薫 只信と桃太郎が震えながら互いを見合う。
「ご苦労であった、休め」
「は」
時東 太助 小三郎が家臣に声をかける。
「誰ぞ有る、怪我を診てやり飯を食わせて休ませてやれ。怪我を放置しておくと不味い事になるやも知れん。
その方も、傷が治るまでゆっくりとしていけ」
物見が土下座してお礼を伝えると時東 太助 小三郎の家臣によって抱えられながらその場を離れて行く。
先程までにこやかだった時東 太助 小三郎の顔が鬼の形相に変わっていた。
「只信、桃太郎詳しく教えろ」
「は」
「では、私が説明させて頂きます」
「桃太郎、許す。嘘偽り無く全てを話せ!!」
「ハイ」
「我らが監視しております鬼の島にある日、鬼頭 将と言う男が現れました。
直接、鬼頭 将と合ったカマリの親方が確認した所、先だってのあの大嵐の日、船が転覆しただ一人。あの鬼頭 将が鬼の島に流れ付いたようでございます」
「な、なに? あの大嵐の最中に船に乗っておったと。
それで流れ付いた先があの鬼の島でそこで保護された、そう言う事か?」
時東 丸柄 経久が信じられないと言った顔で桃太郎を見る。
「ハイ、確かにございます。
当初はあの鬼達も死体が打ち上がったと思ったようですが、鬼頭 将は生きておりその後は鬼達と行動を共にしております」
時東 丸柄 経久が桃太郎の話しを遮るように声を出すが時東 太助 小三郎がそれを抑える。
「わしも先代の帝様より聞いた事がある。蝦夷共の中には妖術を扱う一族がいる、それもかなりの能力とか。
その鬼頭何某と名乗った男もおそらくその一族の生き残りだろう。
だが、朗報だ。その一族は一人しか生き残っていない可能性がある。
桃太郎、続きを」
「ハイ」
「先ずは、私が初めて鬼頭 将と会った時の話しでございます」
その日は鬼の島を如何に攻めるか、如何に滅亡させるかを検討する為に物見達がいた崖の上に行った。
そこでただ一人寝ている者がいたのだ、その崖に上がるには狭い道を登る必要が有る。
だが誰1人、その道を通った者はいない。嫌、いるはずが無い。我らの配下が3日も前から道を塞いでいたのだ。




