18.
ハルナの出現でまた面倒臭い所に戻ってしまった。
「私も小さい頃にじいちゃんに拾われて育ててもらった。
子供の頃の事は何となく覚えている、ユキ、マタ、デンは何時も泣いてる私に優しくしてくれたから。
でも。今は私の、自分の心で動きたい。ユキ、マタ、デンは何時までも頼りになるお兄ちゃん何だよね、ごめんね。
何処まで行っても兄妹としか見れないんだ」
そう言うと頭を下げる。
幸太郎が俺の前に立つ。
「さっきも言ったが、俺はハルナを妹だと思ってる。
その可愛い妹がお前が良いと言ったんだ、それは尊重しないと行けない。
だが、兄としてお前がどれ程ハルナを大事にするか確かめる必要が有る」
イヤイヤ、だから勝手に暴走し過ぎだっての。お前らはそのババ様とか愛達から色々聞いてるだろうけど俺は巻き込まれて軽くうんざりしてるんだよね。
本当に何でこんなに巻き込まれるのかね、そんでもって押しに弱いお人好しの俺は結局受け入れるんだろうね。
異世界のグランバルト王国に転移した時もそうだったな。
メルダリアに泣かれて戦う事を強制されて、本当に強制的に戦わされて、それでも従うしか生きる道が無いって思ってやって来たけど、でも今は状況が違うしな。
でも、俺の事だから自分の事よりコイツラの事を優先させるんだろうな、俺の巻き込まれる体質何とかならんかな。
ぶつぶつと独り言を言ってると、ハルナが俺の前に来て正座した上で真っ直ぐに俺を見る。
「将、私達の村の事に巻き込んでしまっている事は謝ります。
ですが、ここから我々が生き残る為にどうしても将の力が必要です。どうか、私達に力を貸して頂けませんでしょうか?」
ちょ、ちょっと待てよ。そんなに真っ直ぐな目で俺を見ないでくれ。
お、俺そう言うのに弱いだってばよ。
「あーっ」
どうする事も出来ずに頭を掻きむしり、ドスンとその場に座り込む。
ハルナの言ってる事を守るとしたら、俺はハルナと結婚して子供をもうけた上でハルナの元を去る事になる。本当にこいつらはそれで良いのか?
でもハルナの真っ直ぐな目を見ると嫌だと言えなくなってくる。
「わかったから、頭を上げろ」
「じゃ、じゃあ」
ハルナが膝を付いたまま擦り寄って来る。
「俺は本当にお人好しだよな、たくっ。
おまけにハルナみたいに真っ直ぐに見つめられると余計に弱い。
もう勝手にしろ」
「有難うございます。将が帰るまで私が将を支え続ける、何も心配いらない」
ハルナの宣言を聞いて幸太郎が溜息をついた後でぼそっと「それが一番心配だ」そう、呟いた。
幸太郎の反応とは違い、又佐は肩を落として沈んでいた。
「では、先ずは将とハルナの祝言だな。将との対戦は後日にする」
菅生 愛がそう宣言する。
そのまま慌ただしく準備が行われ、門馬の親方の屋敷で簡易的に俺とハルナの結婚の儀式が行われた。
喜んでいるハルナに引っ張られて行く。どうも俺は押しに弱い、本当に弱いみたいだ。ましてやあんなに真剣に真っ直ぐ見られると断れない、そんな俺が恨めしい。
その日の夜。菅生の棟梁が準備してくれた屋敷に戻る時、ハルナは酒を飲んでぐったりとしていた。
それで俺がハルナをおんぶして帰る。帰る道中、菅生 愛と話しをしながら戻る事になった。
「しかし、何でハルナはそんなに俺にこだわるのかね?」
「何だ、そんな事も分からないのか?」
愛が物凄く不思議そうに俺を見る。
だが、なんと言えば良いか分からずに黙ってしまった。
「将、お前さんは人を好きになった事があるか?」
「お、おれ?」
愛の質問にドキッとしてしまう。
初恋はした、遠目に眺めるだけで精一杯だった気がする。
話しかけるのも難しいかったのは覚えている、中学生の頃の俺の甘酸っぱい想い出だ。
「私が思うに、人を好きになるのは時間じゃ無い。心が踊るか踊ないかの違いだと思うぞ。
今、ハルナの心は凄く楽しいそうに踊っている。おそらく将を見て心を奪われたのだろう。
こんなに楽しそうにしているハルナを見るのは久しぶりだ」
「そ、そうか」
愛にそう言われて何故か嬉しくなる。
家に帰る手前の崖の所で愛が俺に向き合う。
「将、突然私達の事に巻き込んで済まなかった。だけど、将とハルナと若い2人にしか頼める者がいない。
我ら一族を代表して謝罪する。
済まなかった」
「え?」
愛に頭を下げられてどうして良いかわかならなくなった。
「それと、少しの間で良い。ハルナを愛して大事にしてあげてちょうだい」
愛がそう言うと、さっさと言ってしまう。
そんな事を言われてもな。ハルナを好きになって行けば行く程、俺がハルナから離れられなくなってしまう気がする。
本当にここの連中は自分勝手だ、俺の事は置き去りだ。俺はどうしたら良いんだろうな・・・・。
でも、ここに母ちゃんがいたら「すべて全うするまで帰ってくるな。お前をそんなやわな子供に育てた覚えは無いよ」そう言ってケツを叩かれそうな気もする。
翌日、少しゆっくりと起きる。まだ、気持ちが落ち着かない状態だ。そんな中、ハルナは二日酔いで苦しそうにしている。
「頭痛い」
二日酔いのハルナが起きてからずっとこんな感じだ。
「ほれ、水」
「うん、有難う」
「しんどかったら寝てるのが一番だ」
「なんか、寝てるのが勿体ない」
そう言ってハルナが何とか起き上がり食器なんかを片付ける。だが、ここから降りるのは危険な気がする。
崖を削って階段を取り付けただけだ、ひと1人が通れる幅しか無い階段だ。踏み外したら大変な事になる。
◇




