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鬼ケ島伝説 鬼がしらと呼ばれた男  作者: 武田 健太郎


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17/54

17.

戦いが終わり、捕らえた兵士達を実田の街に戻して帰えって来た。


村の入口で夢が俺を待っていた。

「将、お帰り」

「お? おう。どうした、こんな所で刀まで持って?」


「うん、また奴等が攻めてくるのかちょっと不安でね」

「心配無いと思うぞ、これから畑仕事が忙しくなるんだろ。

農家が畑仕事出来なくなったら暴動を起こすと思うよ、飢え死にするって。


兵士達もほとんどは兼業農家だ、これから少しの間は大丈夫だと思う」


「そう、将がそう言うならそうなのかも知れないな」


夢と2人で村に入ると村の入口で幸太郎、又佐、伝次郎の3人が俺を待っていた。


「将、お前に話しがある」

「なんだ?」


「門馬の棟梁の家に行く」

そう言われて夢が帰ろうとした時、伝次郎が夢を止める。


「夢、お前も来い。大事な事だ」

夢と2人顔を合わせ不思議に思いながら3人の後を歩く。


忠勝のおっちゃんの家に付くと何故か菅生 愛も門馬のおっちゃんの家にいて、俺達の到着を待っていた。


「将、悪いな」

忠勝のおっちゃんが何故か謝ってきた。

「別にかまわないが何のようだ?」


幸太郎が俺の前にくる。

「ババ様と愛様が決めた事だ。

だから俺はハルナと将の結婚に反対するつもりは無い。


だが、ハルナは俺達の可愛い妹だ。その可愛い妹を、やっぱり何処の馬の骨とも分からないお前に託すのは納得行かない」


伝次郎が立って俺を睨む。

「俺はハルナが好きだ、だが仲間としてだ。ハルナは大切な仲間だ、だからお前がハルナを任せるに足りる奴か俺達がお前を見定める」


又佐はただ下を向いて何も言わずにいる。そんな又佐を門馬のおっちゃんが少し心配そうに見ている。


菅生 愛がみんなの意見をまとめる。

「つまりだ、ハルナをみんな子供の頃から知っていて、みんな可愛いと思っている。


だから、将の事をもっと知りたい。

簡単に言うとそう言う事だ、まあ。私個人も将と対戦してみたい気持ちはある。


それで私だけが将と対戦すると夢が怒るだろう、それで夢も呼んでもらった。因みに将のおかげで実田は当分攻めては来ない、どうだろう?」


どうと言われましてもねぇ。

俺とハルナに色んな事を押し付けすぎじゃねぇ? 一族を継ぐとか、全てがハルナと子供にかかってるとかさ。

ぶっちゃけ重すぎねぇ。


「はぁ。


まぁ、この村の事は何とかするよ。

ハルナからも村を助けてくれって頼まれたからな。

だが、俺とハルナの間で子供をもうけると言うのは申し訳無いが俺は納得が行かない」


「きっ、きさまぁ~」

又佐が飛び出そうとしたのを幸太郎と伝次郎が抑える。


「将、お前はハルナが可愛いくないのか? ハルナは俺の憧れだぁ、ハルナが大好きだぁ−」


取り押さえていた幸太郎と伝次郎の間を抜けて又佐が飛び出す。俺の胸ぐらを掴むと力任せに俺の体を持ち上げた。

「お前に俺の、俺達の何がわかる。嵐に乗ってやって来て全部、全部掻っ攫って行きやがってぇ。


せめてハルナを幸せにするとか言えんのかあぁ−!!」


「マタ、取り敢えず手を離してあげな。将だってこっちの都合でこき使われるんだ、私らに言いたい事の一つや二つ位あるんだろう」


横に立った夢を見て又佐の顔が青ざめる、それは夢が何時でも刀を抜ける体勢で声をかけていたからだ。


又佐に持ち上げられた俺も、流石に夢の迫力にはちょっとチビってしまった。


「取り敢えず、ここは私が預かろうかな。門馬の親方、よろしい?」

「ハイ、愛様が預かると言われるならわしらに断る理由はありません」


「うん」

にこやかに笑う菅生 愛が幸太郎、伝次郎、又佐の3人をそれぞれ見る。


「さて、ユキ、デン、マタ。

お前達は、ただぽっと出て来た将にハルナを取られて焼きもちやいてるんだろ。


本当に男の癖に肝っ玉が小さいね。

それでお前達はハルナに自分の気持ちは伝えていなかったのかい?」


幸太郎、伝次郎、又佐の3人がそれぞれ下を向く。

「なら、もう駄目だ。

今のこの村で嫁ぎ先が決まっていないのは私と夢とハルナの3人だけだ。因みに伝次郎の妹の美雪は未だ結婚していい歳じゃないからな、数えてはいないぞ。


それで、私はもう子供をもうける歳じゃ無いのは皆知ってるね。夢は悪いが戦力だ、お前達がいなく無って後は誰がハルナ達を守る。

それとハルナもババ様が予言した予言の子だ、つまりハルナしか将に釣り合う女はいないんだよ」


愛の文句は言わせないと言わんばかりの迫力に、門馬のおっちゃんをはじめ皆縮こまっていた。

「だが、私が一方的に決めてしまったらあんた達の中にわだかまりが残るだろう。将、このお馬鹿共と一度対戦してもらえるか?」


「はっ、はぁ?」

「「「そうだ!!」」」


幸太郎、伝次郎、又佐の3人がバッと顔を上げ愛を見る、その目は良くぞ言ってくれた、そう言っている。


なんか良く分からない内にドンドンと変な方向に進んで行く。でも、断った所でまた同じ事を言い出すだろうし、どうしたもんか。


「ちょっと待った」

俺が頭の中を整理するつもりで一旦止める。


スッ パン!! 突然隣の部屋のふすまが開いてハルナが出て来る。


「私は良いよ」


ハルナは別の部屋で隠れて成り行きを見ていたのだろう、突然でて来た。


「「「「えっ!?」」」」

俺と幸太郎、伝次郎、又佐の4人がびっくりし過ぎて動けなくなる。



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