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鬼ケ島伝説 鬼がしらと呼ばれた男  作者: 武田 健太郎


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14/54

14.

月読みのババ様が襲撃の日取りを予言していたが、まさか本当に予言した日に来るとは思ってもいなかった。


このババ様とは物凄く優秀な人だったようだ。


そして新たに愛が予言した通り、陸から来た兵士達の数は大した事が無く、数にして30人前後だった。


村に入る入口に逆茂木を置き、崖の両側の上に弓矢を持つ人間を10人配置、下に夢を置いて敵兵士を迎え撃つ。


俺と忠勝のおっちゃん達は海の上で桃太郎率いる50隻近い船を相手に睨み合う。

桃太郎が乗る船は一際デカく一番後ろに陣取る。指揮する為の船だ、その船に桃太郎が乗っているのを見る事が出来る。


すると小さい舟に乗り換えた桃太郎が来る。

「私は大将を務める時東 桃条 小太郎である。


鬼ども、今日が貴様らの最後の日となる。今、投降すれば命は助けてやらんでもない。私からは以上だ」


桃太郎の口上を聞いた忠勝のおっちゃんが俺の乗る舟を進める。


俺が出ていくと桃太郎が俺を見て渋い顔をする。


「俺は鬼頭 将、

俺が鬼どもの頭であり大将でもある。俺は仲間を大事にするが敵対する奴にとっては鬼よりも恐ろしい男だ。

家族がいる者、子供が産まれた者もいるだろう。今日この時、桃太郎と共にいる事を死んでから後悔しろ」


其々の口上が終ると其々に後ろに下る、すると桃太郎の陣営から鏑矢が飛んで来る。


それを合図に戦いが始まる。

だが、我々の舟は漁に使う小さい舟が10隻。それだけを見ると、まぁ勝てる見込みは無いに近い状態だ。


そんな俺達を見て半笑いしながら兵士達が近付いてくる。

「門馬のおっちゃん、手はず通りに頼む」

「任せておけ」


そう言うと俺の乗る舟が先頭に来る、それを見た敵の兵士達が笑い始めた。

「おい、敵の大将自ら戦いを辞めるつもりだぞ」「ガッハハハ。流石は鬼どもの大将だ」


ゴン!! ドボン!! ドガン!! 

「穴だ、穴が開いたぞ」「防げ」「だめだ、飛び込め」


ドン! ガン! ドン! 

突如、漬物石よりもデカい石が矢の如く鋭く飛んで来る、そんな怪現象を見た桃太郎達が慌て始める。


それはこの出来事の数日前から準備していた石だ。

村の山側に有る場所から大量に漬物石サイズの石を運び出し漁師達の舟のに沈まない程度の量を乗せて置いたのだ。


忠勝のおっちゃん達も最初は何をするのかと疑問に思っていたが、身体強化をかけその巨大な石を小石のように軽々と投げる俺を見て、みんな驚愕しつつも俺がやりたい事を理解した。


何時ものように俺の頭の中に機械音が流れる。

‘’スキル身体強化Lv1を発動します‘’


俺と忠勝のおっちゃんが乗る舟の真横に沢山の石を積んた舟を取付ける、この舟は大蔵村の中で一番大きな舟だ。そして鏑矢が飛んで来たのを皮切に、身体強化をかけた俺が漬物石をまるで野球の玉のように敵兵士達の乗る舟に向いぶん投げる。


デカい石が直接当たり海に落ちる者、舟に当たり海に沈んで行く舟に巻き込まれる者、それらを横目に積んでいる漬物石を次々に投げ続ける。


最初は余裕をかましていた桃太郎も半分近い仲間の舟が沈んだ事で焦りだす。

「この船を動かせ、船ごと体当りしろ!」

桃太郎の号令で桃太郎と猿山が乗る船と犬飼と雉子藤が乗る大きな船2隻が俺に接近して来る。


忠勝のおっちゃんが漁船を上手く動かし、敵から逃れるように動き、それに合わせて漬物石を他の兵士達が乗る舟めがけ投げ付け敵兵士の数を減らす。


「フゥ」一息付いて、この日準備した石の中で一番でかい石を持つ。


「桃太郎、石はこれで最後だ。これからは楽しい対戦の時間だぞ」

挑発するように桃太郎に声をかけるが俺を睨み付けるだけで返事は無かった。


風魔法を漬物石にかけ、空気抵抗をなくし船に狙いを定めると、風魔法で漬物石を真っ直ぐに飛ぶように強化する。その後身体強化をLv2にアップした。


そして接近して来る桃太郎達の船に対し、一際でかい漬物石を投げて船体の真横に大きな穴を開ける。


ドドガン!!!!


デカい漬物石を投げられ、ぶつかった衝撃で左右に揺れる船から複数の兵士達が海に投げ出される。


「船、横っぱらに穴が開いたぞ」

味方の兵士達の声に乗っていた桃太郎達が慌てふためいて逃げ出す。


そこに犬飼と雉子藤が乗る大きな船が近づき桃太郎と猿山達を助けると船を止める。


それを見て俺が手を上げる。

「敵を討ち取れ−!!」

「「「「おおー!」」」」


「退避、退避。皆のもの、若をお守りしろ」


漁師達の舟が頑張って進むも、敵の大きな船には近づく事も出来ずに、残って殿を務める兵士達の船と戦闘となり戦いを終える。


我々に死者は無いが、攻めてきた桃太郎達の兵士等は沢山の死傷者を出す。


その際、忠勝のおっちゃん達によって助けられた者もいたが、海に落ちてしまい助ける事が出来なかった者達も多くいた。


そうやって始めての桃太郎との対戦が終る。


海での戦いが終る頃、陸では夢が敵の大将の首をはねて一騎討ちを制する。


大将の首を取られた時東達の兵士達は逃げるように帰って行く、それにより最初の戦は大蔵村の勝利となった。


その後、俺と幸太郎、又佐、伝次郎の4人で捕らえた桃太郎達の兵士を実田の街に送り届ける。


街の兵士達は当初俺達が攻めてきたと勘違いしたが、兵士を帰すと皆喜んでいた。


だが、この俺の行動が時東 鎌田薫 只信をさらなる怒を買った事をその時は知る由もなかった。


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