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鬼ケ島伝説 鬼がしらと呼ばれた男  作者: 武田 健太郎


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129/133

129.

狼達の逃げ道を塞いだ事である程度自由に動けるようになった、念の為にボス狼から離れてカメルン達の父親を見にそばに行くと狼に噛まれ口から泡を吹いて気を失って倒れている、狼達は倒したと思い気にもせずに俺と伝次郎とハクロウに集中していた。


元々狼が持つ病によって噛まれた者はほとんど亡くなってしまう。この病気は正直に治す薬が無い。


多分だけどこの病気は狂犬病だと思う。子供の頃に家で犬を飼いたいと母ちゃんに泣き付いた事があった、その時に母ちゃんに色々と教えてもらい飼えない事は納得した。


大体、親子2人で暮らす狭いマンションで犬や猫を飼うスペースが無いしペットは駄目なマンションだったしな。


その時に犬に発症する狂犬病と言う病気の話も聞いた。現在の日本では飼い犬には予防接種が義務付けられていてほぼ発症することは無い。


だが今俺がいるのが約1200〜1300年も前の時代だ。そんな予防の為の法律なんて存在しないし予防接種するような薬も対応出来る医者もいない、狂犬病はこのウイルスを持つ個体に噛まれると必ず発症して必ず死に至る恐ろしい病気だ。カメルン達の父親も後わずかだろう。


そう思い完全に油断していた。


「ハクロウ!!」

不意に伝次郎の叫ぶ声が聞こえて振り返るとハクロウがカメルン達の父親の首元に噛みついていた、カメルン達の父親が小刀を持ち膝を付いて俺に飛びかかろうとしてたようだ。


「グァー!!」「キャンキャン!!」


カメルン達の父親が小刀でハクロウの体を刺し、そのカメルン達の父親の動きを止めるかのように狼の大ボスがカメルン達の父親の首に噛みついた。


ハクロウが力尽きて地面に落ちると狼の大ボスがカメルン達の父親にとどめを刺してした。


狼の大ボスの目には明らかな怒りがあった、それは同胞を失う事に対する怒りだと俺は感じた。その瞳に異世界でのライバル、魔人族の王が重なる。


この狼の大ボスも自分達の仲間を助けたい一心だった、それだけだと思う。

人間が自分達の縄張りを脅かし、尚且つ獲物を独り占めするしてしまうのが人間だ、だからこそ人間と対立しただけの話だ。狼の大ボスが率いるこの群の狼達も俺達人間も生きないといけない、だからこそ俺達人間との戦いをするしか無かった、お互いに避けては通れない争いだっただけだと思う。


狼の大ボスが噛み付いたカメルン達の父親をはなすと俺と対峙する、その姿は怒りに我を忘れたかのような顔をしている。


狼の大ボスは明らかに俺に対し怒りを持った。自分達の同胞であるハクロウが亡くなった事を、その原因を作った俺に対する激しい怒りを覚えた。


自分も同じ立場なら同じようなミスをしたかも知れない、そんな考えは狼の大ボスには無い。


何故ならそんなミスは仲間を失う最低の行為だからだ、そしてそんな最低なミスした俺に怒りを覚えたのだ。

「俺は確かにハクロウを道具として扱った、だがそれが気に入らないならお前自ら来い」

「ウゥゥ~!!」


狼の大ボスが唸ると他の狼達が少し離れるように俺達の回りを取り囲む、それは俺を逃すつもりが無い。そう言っているように見えた。


静かに俺と狼の大ボスとの対戦が始まった、大ボスは狙われ難くする為にある程度体を低くたもち攻撃される範囲を狭くしている。


やはりこの大ボスは何度も人と対戦して来た経験が有る。今現在、最も自分にとって有利となる戦い方に持ち込もうとしている。


何匹か生き残った中ボスの群が俺を混乱させるかのように伝次郎に向う、だが又兵衛が仕掛けた罠にハマり身動きか取れないようになる。伝次郎がそこに上手く合わせ斧を振るい狼達を倒す。


俺を取り囲むように大ボスがいて、真後ろに中ボスみたいな狼がいて左右を2匹づつの狼が囲む。

真後ろの中ボスのような狼が俺を混乱させるかのように動き大ボスを助ける、この動きに合わせるかのように左右にいる狼達が攻め入るタイミングを見ている。


この状況を打開する為に左右にいる狼達を捕らえてしまう。

「マジックチェーン」


狼達の足元から多数の魔法チェーンが飛び出し狼を捕らえ地面に固定してしまう。大ボスと中ボスも狙ったがこの2匹は咄嗟に避けて捕らえる事が出来なかったが、かなり動揺したようで中ボスは捕まった仲間の身体に巻き付くマジックチェーンに齧り付いていた。


その隙を付いて中ボスを先に倒す。

「シュッ!!」


慌てていたのだろう、俺の攻撃に気が付かず首をはねられる。


「オォーン!」

大ボスの遠吠えに生き残った狼達が集まるが、罠にハマったり伝次郎に倒されたりして残りが4匹しかいなくなっていた。


さらに大ボスを追い詰める。

「マジックチェーン」


ザッ 「キャン」


大ボスと他の狼もマジックチェーンで捉える事が出来た。ただ、大ボスだけは左後の足だけが何とか捕まった感じだ。


「伝次郎、捕まえた狼の首を跳ねてくれ」

「ああ、所でこれは将がやったのか?」


「そうだよ。俺はあの大ボスの狼の首を跳ねる」

伝次郎が大ボスを見ると大ボスは未だ諦めていないようで伝次郎に対し威嚇していてた。


「気を付けろよ」

「ああ」


伝次郎がマジックチェーンで捕えた狼を倒すとマジックチェーンが一つ一つ外れて消えて行く。

その不思議な光景を狼の大ボスが眺めている、その姿を見て刀鬼がしらを上段に構える。


シュパ!!


狼の大ボスの首を跳ねて全てが終わる。



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