↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬼ケ島伝説 鬼がしらと呼ばれた男  作者: 武田 健太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
126/133

126.

愛達を連れてきて2~3経った日、村の入口をチェックしていた子供達が騒ぎ出す。

「棟梁、何かが倒れている」


付近で作業をしていた俺の所に駆け付けて来た。いかに年長の子供達と言えど門の開閉は厳しいのが正直な所だ、正直に重いしな。


見張り台の上から声をかける。

「おい、何時まで寝てるつもりだ」


声をかけてもピクリとも動く気配が無い、弓矢を構えてもう一度声をかける。

「何時までそうしている? 俺達に戦いを仕掛けて来たと言う事で良いんだな」


横たわる奴の顔が一瞬ひきつる、それを見て足に向い矢を放つ。


シュッ!! ザッ「ぎゃーー!」

男の足を貫通して矢が止まる。


さらに弓矢を構えると倒れた奴の後から数人の男達が駆け付けてくる、皆んな古い汚れた着物を着て、腰に獣の皮を巻いている。


アンとカメルンから聞いた父親達の服装その物だ。

「俺はカメルンとアンの親だ、どうして俺達を狙う? 親子でまた一緒に暮らそうと思って迎えに来てやったのに」


「くだらい話なら否らい。今すぐに去れ! そしたら命は助けてやる」


中心にいる男が刀を抜き両手を広げる、その右腕は肘の下から無い。カメルンとアンに聞いた通り利き腕を失った男、こいつが2人の父親だそう確信した。


「カメルンとアンを呼べ、そしたら帰ってやる」


相手の要求を無視して2人の父親の隣に立ち、子供達の数を数える男の胸に向い矢を放つ。


シュッ ザシュ!


「え、あっ」

矢が刺さった男が倒れる。


「お前達の要求等知るか。命が惜しかったら二度と俺達に近付くな」

「貴様ぁ!」


父親達の仲間だろう男達が矢が刺さった2人の男達を連れて後に下る中、カメルン達の父親だけが残り俺を睨み付ける。


「貴様だな、カメルンとアンにはここまでの行動力は無い」

その後も何か話しをしていたが気にせずに弓矢を構えて構える。すると男が手を開き上に着た着物をはだけて大声を出す。


「やれる物ならやってみろ!! 人って奴はな裸で来た人間を斬ることも矢を射ることも出来ない…」


シュッ!!


「危ない!」


ザッシャ「グワッ」


カメルン達の父親を庇うように若い男が前に飛び出す、俺の放った矢がその飛び出した男の首をとらえた。


「メガン!! メガンッ!!」

矢の刺さった男を見てカメルン達の父親が狼狽える。


「裸の奴がどうだ等とお前の矜持等糞の役にも立たない、俺は敵対する奴に容赦等無い」

「貴様ぁは何者だ?」


「お前に名乗る名前等無い、死にたく無かったら二度と俺達の前に顔を出すな」


すると数人の仲間が来てメガンと呼ばれた男と父親を引きずるように連れて行った。


村に入ると狼の子供のハクロウを見つけた愛がハクロウとじゃれていた。ハクロウが愛に対し腹を出して服従する姿勢を取っている。


愛の持つ神職としてのエネルギーを本能的に感じ取っているのか、ハクロウは愛に何をされても尻尾を振って嬉しそうにしている。


「将、終わったかい?」

「ああ、ハクロウ。愛に遊んでもらってたのか?」


「ワンワン」

「よしよし、良い子だ」


「将、この子は狼の子供だろう、どうするつもりだ?」

「どうもしない、その内処分するさ」


俺の返答に愛が嫌そうな顔をする。

「仕方ないだろ、俺を除くと誰の言うことも聞かない。未だ小さいからいいがこれから大きくなると面倒な事が増えるだろうさ」


「確かにそうだな、私が面倒を見ても良いが私だけにしか懐かないようでは駄目だしな」


「だろ、コイツラは本能で俺の妖力を理解している、だから恐ろしくて絶対に逆らう事は無い。

愛に対しても神職独特の物を感じているのだろう、伝次郎に対してもここまで服従はしていないぞ」


「ふむ、仕方ないの。で他の奴には懐かないのか?」

「いや、俺達を除くとコハル位だな。何時も飯をくれるコハルの言葉はちゃんと聞くぞ、コハルに逆らうと飯もらえないからな」


「な? アハハハハ。

コハルは面倒見が良いからな、ハクロウもそれが分かっているのだろう」


愛が俺に頭を下げる。

「将、コハルの事ありがとうね。あの子こんなに笑って過ごしていると思うと嬉しい、私達と一緒だと未だ伏せていただろうに」

「ここは、コハルと同じ思いをした子供達が多くいる。自分だけじゃないと思うと気持ちが落ち着いたんじゃないか? 俺は何もしてないぞ」


それから夜になるまでは穏やかな時間だった。

その日の夜、何時ものようにコハルを中心に小さい子供達を寝かし付けた後で俺達だけで愛が泊まる家に集まった。


カメルンや伝次郎も何かを感じているのだろう、緊張感を持ったまま辺りを眺めている。それは嫌な空気感だ。自分達が狙われているような、獣の気配がただよっている。


ハクロウも何時もならすでに寝ているが、俺の後を尻尾を丸めて震えながら付いてくる。


「将、行きな。ハクロウは私と一緒にいるかい?」

アンがハクロウにそう声をかけるがハクロウが俺から離れようとしない。


「ハクロウが怖がるって言う事は他の狼とか来たのかな?」

そう言うとアンがさらに不安な顔をする。


「カメルン、周りはどうだ?」

「大丈夫、又兵衛さんと2人で狼よけの罠を仕掛けている」


「又兵衛、急いでもらって悪かったね」

「いや、これだけの子供達を養うんだ他の動物とか取れたらと思ってな」


オオオーーーン!!


狼の遠吠えが村の周り覆い尽くす。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。