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鬼ケ島伝説 鬼がしらと呼ばれた男  作者: 武田 健太郎


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123/133

123.

俺の問いかけに2人が顔を見合わせて下を向く。


「多分そいつら俺達の父ちゃんだと思う」

「「「「「2人の父ちゃん!!」」」」」


カメルンとアンがボソボソと話しを始める。


2人の母親は娼婦の集団を率いて村や街を回って歩き金を稼ぐ生活をしていた。


そして2人の父親はかつて実田に仕えた豪族だったらしい。蝦夷のカンバル達の親戚に当たるが、実田に近い場所を拠点としておりそのまま実田に忠誠を誓っていた。

2人の母親が領地に行き生業を行っている時に父親が見初めて2人が産まれる。


その頃だ、この2人の父親は時東 鎌田薫 只信によって領地没収の処置を受けてしまう。


実田の実権を握り各領地の棟梁達を従えた時東 鎌田薫 只信は、いくつかの小さな領地を治める棟梁達を見せしめを兼ねて取り潰しにして行った。


2人の父親はその見せしめにあい領地を取られた他、抵抗した際に利き腕を切り取られてしまった。


それからだ、領地を抜けて残った家臣達と共に実田に反旗を翻した。

実田の兵士達の子供達を襲って攫い始めたのだ、最初は実田の時東家を守る兵士達を弱らせる目的だったこの行動は、何時しか自分達の生業と化していた。


それから年数経つ頃には自分達の矜持を失い人を攫い行う者達を取りまとめる棟梁となっていた。

子供を攫い欲しい人達に売る、その売上は領地を持っていた時の数倍に跳ね上がったのだ。また、販売先は国内に限らず九州地方の豪族と取引して海外にまで販売先を増やす程だ。


そしてかつての父親とカメルンとアンは敵対する立場になっていた。


人攫いを生業とする父親とその人攫いに対抗して子供達を助け続けて来たカメルンとアン、その親子が今になり衝突し始めたのだ。


最初は2人の父親は実の子供だと思い見逃していたのだ、所が今回の狼の騒ぎが起きてしまった。


元々は親を亡くした子供を攫い売り捌こうと考えていたが、カメルンとアンが子供達を庇い身を隠してしまう。


2人の父親はカメルン達が上手く隠れてしまい一向に子供達を発見する事が出来ない事に腹を立ててしまう。


付近の手下達を使いカメルン達を追い込もうとした時に、狼達によって多くの手下を失うってしまった、その苛つきもあってよりカメルンとアンに固執し始めた。


カメルンとアンの父親の居住地もカメルン達と同じように人が居ない山の中や、まともな生活ができないような湿地帯の中に作られていた。


そこを狼達に襲われたのだ、攫った子供達をまとめて入れていた家も狼にやられてしまいみんな亡くなってしまった。


原因は狼独特の病気のせいだ、この病気のせいで多くの仲間と攫った子供達を失い、取引きをしていた地方の豪族や京の都の一部のお上達との信頼を失ってしまったのだ。


焦った2人の父親が思い出したのがカメルンとアンが面倒を見ていた子供達だ。カメルンとアンは小さな子供達を育てていた、それを思い出したのだ。


最初は期待もせずにいたがかなりの数の子供達と暮らしていることが分かり、生き残った部下数名と偵察に向かう。


そこで偵察に向かった先でじいさまと一緒にいる子供達を発見、チャンスを逃すなと直ぐ様行動に移す。じいさまを殺し一緒にいた子供達を攫ったのだ。


攫った子供達を売り捌ばき、一時の快楽を楽しんだ後でカメルン達がいた集落に向かったが、そこはもぬけの殻になっていた集落だった。自分達の動きを見て即座に逃げ出したカメルンとアンに、怒りで我を忘れる位に激怒した。


飯の食いだねを横取りされた気分になり、それまではカメルンとアンは生かしておいても良いだろうと考えていたがその考えも無くなってしまう程だ。


カメルンとアンを追い詰め残った子供達を奪うべく逃げ出したカメルン達の足跡を必死で探している最中なのだ。


そんな話しを聞いたコハルが立ち上がる。

「ねぇ、棟梁。村に行くのは私とカメルンで行くよ、私達なら足も早いしある程度大人だから人攫い達の目も盗めるだろうしね」


「でも、小さい子達はどうする?」

「心配無いよ、アンもいるし。2人で交互に寝かし付けとかしていたから」


「わかった、危険があるから2人とも注意して向ってくれ。

それと愛に又兵衛と湯吉をこっちによこして欲しいって伝えてもらえるか」

「又兵衛さんと湯吉さんをこっちに?」


「ああ、ここでカメルン達の親達と対戦となる時にあの2人は最低限必要な戦力だ。今残っている子供達を含めて戦い方を教えもらう必要が有るし、備えないと行けない罠とかがかなりある。


カメルン達の親も罠を仕掛けていたが分かりやすい、又兵衛の罠は分かりにくい上に効果としては絶大だ」


「うん、わかった。

カメルン、今日このまま村に行こうと思う。準備出来たら教えて」

「ああ」


カメルンが俺を見る。

「棟梁、ここの守りは大丈夫か? ここは結構広いぞ」


「心配無い。入口は鷹と美雪と3人で作ったものだ、他の子供達もいるし急いでこの村を強くするよ」


その話しを聞いた後、カメルンが弓矢等を持ち準備を進めて昼前に村を出て大蔵村に向う。


あの2人の足なら急げば今日中に付くだろう。


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