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鬼ケ島伝説 鬼がしらと呼ばれた男  作者: 武田 健太郎


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12/61

12.

実田の国の街から戻った俺を村の入口でハルナが待っていてくれた、そして俺を発見すると泣きながら怒り始める。

「将、本当に心配したんだぞ」

「わ、悪い。そんな泣くほど心配かけたとは思わなかった」


「本当だぞ、知り合った奴が亡くなるのは本当に辛いし悲しいんだぞ」

そう言うと俺にしがみついて泣き出す。

はっきりと言って女性経験の無い俺には何をどうして良いか分からない。だてに操を守り続けた訳じゃない(単にモテた事が無い、だけだがそれは内緒)。


そこに忠勝のおっちゃんと菅生の棟梁が来る、すると直に忠勝のおっちゃんが手で顔を塞ぐ。


それに合わせ幸太郎、又佐、伝次郎の3人が何故か敗北感を露わに塞ぎ込んでしまった。


菅生の棟梁が俺の所にくる。

「さあ。将、ハルナ。


一度私の屋敷においで、そこで皆で今後の事を話し合おう」


ハルナが俺の洋服の袖を掴み離れようとしない。そんな状態で菅生の棟梁の屋敷に入る、案内されたのはただの壁に見える所を押して入る隠し部屋だ。


それは表側から見ただけでは分からない場所、崖の中に穴を開け洞窟のようになった場所で、その中に防具、刀、槍、弓矢等の武器と防具。更には食糧や薬等に使う薬草等が貯蓄されていた。


「将、驚いたかい?」

菅生の棟梁が優しい顔で俺に聞いてくる。


「ああ、驚きを超えて言葉が出ない」

「私と門馬の親方と揃って約20年程前から武器と防具を集め続けていてね、特に武器に関しては約500人分を揃えてある。

どうだろう、実田の国と戦えると思うかい?」


戦えるか? 不思議な質問だ。


「この村で戦える奴は何の位いる?」

俺の問いに忠勝のおっちゃんが答えてくれる。


「先ずはわしを筆頭に、漁師だ。

25人、全員が刀、槍、弓矢を使える。次いで菅生の棟梁の配下は30人、槍と弓矢の名手が揃っている。


後はハルナを始めとした女衆だ。弓矢を扱う者が約50人程」


「え? と言う事はこの村の大人達はほぼ戦えるのか?」

「まぁ、そうなる。

だが、わしら漁師も菅生の棟梁の配下も年寄りが少なからずいる。実際に戦える大人は5~60人程度だと考えてもらえれば良い」


「分かった。それでこの村を捨てる時に逃げる道は有るのか?」

「心配するな、そこも確保して有る」


余りに準備の良い状態に不思議がっていると菅生の棟梁が話しを始める。


先代の月読みの神職であったババ様の御告げにより、実田の国が攻めて来る事は知っていた。

その為、武器、防具、食糧は潤沢に備えて有る上に、村人総出で狩りの大会や漁の祭り等と銘打って戦闘訓練をここ20年行っているらしい。


そして特に優れた者が現れた。


先ずは菅生の棟梁の配下。

猟を生業にしている又兵衛(マタベエ)、弓矢と槍、罠の名人、猪や熊等取って生計を立ている。

農家の湯吉(ユキチ)、薬草や食べられる野草に詳しく薬の知識も持つ。体が弱く戦いには向かない。

棟梁の娘、菅生(スゴウ) (マナ)、棟梁と同じく月読みの神職。弓矢の名人で、この村一番と言われる程の名人。

100m先の鳥を射落とす腕の持ち主。


門馬 忠勝の配下

幸太郎、又佐、伝次郎を筆頭に伝次郎の妹の美雪(ミユキ)、幸太郎の弟の(タカ)。この2人は身体能力が高く次の時代を任せる能力が有ると言われる。

そして幸太郎、又佐、伝次郎の幼馴染で、刀の名人。実田の国からもお誘いがあった程の強者の女性、(ユメ)


以前、桃太郎との勝負に勝ち桃太郎の父、時東 鎌田薫 只信から部隊を持つ大将としてお誘いを受けた程の実力者。


そしてこの又兵衛、湯吉、菅生 愛、美雪、鷹、夢の6人とも顔を合わせた。


菅生 愛に関しては見た目がハルナや俺達と変わらない見た目に驚いてしまった。

それでいて実は40を過ぎた歳なのだとか、月読みの神職は良く分からない人達のようだ。


そして菅生 愛より恐ろしい事を言われる。

「鬼頭 将。お前さんハルナとの間に子供をもうけなさい」

「はぁ!?」


驚いて固まってしまった俺を見て菅生 愛が更に言う。

「はぁ、では無い。

それが我ら一族の生き残る道だ、それしか方法が無い。


そして幸太郎、又佐、伝次郎。お前達3人は棟梁、門馬の親方と共に最終的にこの村に残る。悪いけどお前達3人はこの村に骨を埋めてもらうよ。


将とハルナを守り助けるのは又兵衛、湯吉、美雪、鷹、夢。あんた達4人だ。


私も途中までは将とハルナに付いて行く、私と将が最後の砦なってお前達を逃す。ハルナ、最後に何処に向えば良いか等は後で伝える、良いね」


「待ってください。愛様と将が最後の砦と言う事は、私は将と何処かで別れるのでしょうか?」

ハルナが驚いた顔で愛を見る。


「そうだ。だからお前は将の愛子をもうけ無ければならない。

その子が、我ら一族を未来永劫につなげてくれる大切な子供だ」


物凄く急ピッチで物事が進むのは転移させられた者の運命なのだろうか? 


良く分からない内に様々な話し合いが終わってしまった。その日の夜から、俺とハルナは菅生の棟梁の別宅で2人で暮らす事になった。


それも愛が言い出した事だ。そして愛が言うには本日から2周間後に海と陸から実田の国が攻めて来る、そう言っていた。


それに伴い海を門馬のおっちゃんが、陸の守りを俺が行う事になったのだ。

まぁ、泳げもしない俺が海に行くよりはましだと思うけどね。



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