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鬼ケ島伝説 鬼がしらと呼ばれた男  作者: 武田 健太郎


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118/133

118.

異世界Side


鳳凰がメルダリアの所で聖なる炎を操っている時、レベッカが近くの廃村までキザン ナトリュウを迎えに行っていた。


キザン ナトリュウとその配下達は商会のキャラバンに扮しやって来た。荷物を引く荷馬車は5台になる。そしてそれを警備する冒険者の集団を伴うようにやって来る。


「レベッカ、元気か?」

「叔父さん。それ先月も聞いた」


「うん? そうだったか。ははははは」

「来て、今鳳凰様が来ている」


「鳳凰様が? 何か合ったのか?」

「うん、ミューモとメルダリアもいるけど、メルダリアが鳳凰様のお仕置きを受けている」


「はぁ? なんかやらかした見たいだな。まさかと思うがキトーの事か?」

「そのまさかだよ。鳳凰様があれだけ怒りを露わにしたのは始めて見た」


キザン ナトリュウが仕方ないと言うと持って来た食料や薬品等を降ろしてレベッカと共に根城の中に運び入れる。


それに合わせ元奴隷達がキザン ナトリュウと顔を合わせ話し合いが始まった。その話し合いの結果今回の元奴隷達は獣人族の国にみんな移動する事になる。


キザンが元奴隷達と話し合いが終わり鳳凰の元に来ると鳳凰は燃え盛るメルダリア眺めている、その横にしゃがみ込み呆然とするミューモがいた。


キザンがレベッカの袖を掴み小声で話しかける。

「なぁ、あの黒焦げでゴロゴロしてるのがメルか?」

「うん、キトーの事が諦められない見たい」


「は? あんだけキトーを痛め付けておいてか?」

「うん、私もちょっと引いたもの」


ブルッ!! キザンが身震いしている。

「人族って本当に分からん一族だな、キトーが少し可哀想に思えてくる」


「私もそう思う。キザン、久しいな」

鳳凰が後ろを振り向きキザンを見る。


「ハッ。お久しぶりでございます。

何時もレベッカの事を見守って頂き感謝致します」

「良い、レベッカは私の良き暇つぶしの相手だ」


「勿体ないお言葉でございます」

その後キザン達が5日ほど滞在してから元奴隷達を連れて獣人族の国に戻る事を説明する。


「キザン、ソナタに頼みが有る」

急に鳳凰にそのように言われキザンが真剣な顔になる。


「どのような事でございすか?」

「何、後5日も有ればこの小娘の炎は消える。そうなったら小娘達を一緒に獣人族の村に連れて行ってはくれんか?」


「かしこまりました。それで何処の村に向いましょう?」

「ソナタ達が何時も行く村だ。メガタンに行き赤龍の弟子に預けるのだろう。そこにタクテとダリアも一緒にいる」


「かしこまりました。ならば最初に元奴隷達を移動させます、メルとミューモは私が個人で連れて行こうと思います。


メルが暴れて他の者達に危害が加わるのは避けなければなりません」


「ふむ、やり方はソナタに任せる」

「はっ」


その話し合いの後、キザンは部下達に素早く指示を出し元奴隷達を移動させる。元奴隷達がいなくなるとキザンと鳳凰との対戦が始まった。


別段この2人が仲が悪いと言う理由では無い、キザンは無類の戦闘狂でキザンの求めに応じて鳳凰がキザンと対戦すると言った流れだ。


そしてこれはいつもの事のようで鳳凰もキザンとの対戦を楽しみにしている所も有る。


だが、この2人の対戦は余りに激しい


キザンと鳳凰が対戦してからまる1日経った頃に対戦が終わる、キザンが目を輝かせながら鳳凰を見て平伏する。

「鳳凰様、いつも有難うございます」


「良い、私も良い運動になる。キザンも少し腕が上がったな」

「イエイエ、キトーと比べるとまだまだでございます」


「キトーと比べる必要は無い。そもそもあいつは異常なのだからな」

「はは、それもそうですな」


そんな楽しげな会話をミューモが見守っていた。自分達は4人揃いキザンと対戦しておきながら赤子の手を捻るかのようにはあっさりと負けてしまった事を思い出してしまう。


「ミューモ、小娘は目覚めたか?」

鳳凰の問いにただ悲しそうにミューモが首を横に振る。


「ふむ」

そう一言残し鳳凰が古城の中に消えてしまう。


「ミューモ、メルはまだ聖なる炎に焼かれているのか?」

「えっ? うん」


キザンに突然と声をかけられたミューモが呆然と答える。当のキザンはミューモ達の事を何とも思ってはいないのだろう、気にする素振りも無くミューモに話しかけて来る。


「どんな事で焼かれたのだ?」

「メルの奴、キトーに本気で惚れてしまったの。

でも、私達キトーにかなり酷い事したからそのせいだと思う。

メルに打算がない訳じゃ無い。国を安定させる為にどうしてもキトーが欲しいと言うは確かだから」


「そうか。キトーが何であれだけ強くなれたのか考えた事はあるか?」

「キトーが強くなれた理由か、無いね。たぶん、私とメルは考えた事が無い」


「俺が思うに元々強い訳じゃないのに強くならないと行けない時って、必死過ぎて沢山の大切な事を失うだと思う。


キトーはこっちの世界に来たばかりの頃は良く泣いていたと聞いた。でも、何かあると良く笑ったりもしたらしいな。


所が何時からか笑わなくなってしまった。誰が見ても能面のような感情が表にでない奴になって、その内感情すら無くしてしまった、人形のような状態にまでなってしまった。


沢山の同胞を失い、沢山の人の命を自ら奪ってしまい、心が凍結してしまって笑う事をわすてしまったんだと俺は思っている」



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