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鬼ケ島伝説 鬼がしらと呼ばれた男  作者: 武田 健太郎


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117/133

117.

異世界Side


タクテ達が盛り上がる中で、別れて行動する2人は対象的に絶望の淵にたされてていた。鳳凰の聖なる炎に焼かれるメルダリアをレベッカとミューモがなすすべも無く見守る。


「さて、レベッカ。お前の叔父は来たか?」

焼かれて苦しむメルダリアを無視して鳳凰がレベッカに話しかける。


声をかけられたレベッカは少し驚きながら答える。

「ハイ、明日には到着します」


「うむ、私も会おうアパレルの小僧もタクテ達と間もなく会うだろうしな」

「かしこまりました」


アパレルと聞いて驚いたのはミューモだ。ミューモが知る上でアパレルと言う名前を持つのは獣人族国王アパレル ナトリュウしかいない。


「恐れ入ります、鳳凰様」

「なんだ?」


「ハイ、アパレル国王がレベッカの活動を保護していた。そう言う事でよろしいでしょうか?」

「さあな、私はそんな事は知らない。ただ、レベッカの叔父はこの私に喧嘩を売った男だ。キトーと同じく私のお気に入りの一人だ」


「えっ? そ、それは」

ミューモが震えながらレベッカを見るとレベッカがニコッと笑っている。


それはかつて魔人王に使えた獣人獅子族。現国王アパレル ナトリュウの弟にして、宰相であるレベッカの父親の兄に当たる人物。


戦士としての実力だけならかつての魔人王を凌ぐ実力者と言われた男。

キザン ナトリュウだ。


この男も白狐族の大爺と同じく、国の運営等には全く興味を示さない男なのだ。だが実力は現獣人族の国、その国王アパレル ナトリュウをも凌ぐと噂される程の強さを持つ強者。


かつて魔人族の王とキトーが対戦した後で、キトーと戦い引き分けたと言われる男だ。


そして、魔人族の王と対戦していたキトーと別れて、メルダリア、ミューモ、タクテ、ダリアの4人はキザン ナトリュウと戦いに望みキザン ナトリュウに惨敗したのだ。


だがキトーは魔人王と戦った後でキザン ナトリュウと対戦して勝ったのだ。

キザン ナトリュウは魔人王との対戦後に自分と戦い五分の戦いをしたキトーに負けを認め、魔人族の国から出るまで誰もキトーを攻めさせない事を誓ったのだ。


そのキザン ナトリュウの判断が無ければキトーとメルダリアを始めとして誰一人魔人族の国から生きて帰る事が無かっただろう。みんなそう考えている。


奇しくも、グランバルト王が望んだ最後の希望をキザン ナトリュウが打ち砕いたとも言えるのだ。


そんなキザン ナトリュウが来る。それこそミューモにとっては恐怖意外の何ものでも無いのだ。


たが、メルダリアが炎に焼かれ苦しむ中で、自分だけここから離れる事も出来ずにその日を迎えてしまう。


翌日になり、多くの元奴隷達をレベッカが見て回る。ここグランバルト国では生活をさせる訳にも行かない事もあり、獣人族と魔人族の国に其々移動させ生活させるのだ。


当然その元奴隷の中には、エルフ族、人族も含まれる。魔人族の国は復興を行う為に人を多く欲しがっている事も合って元奴隷の受け入れに積極的だ。


また、獣人族の国は元々多民族国家で獣人族だけでなく、人族、エルフ族、魔人族、精霊族と多様な者達が一緒に暮らす国で今最も豊かな国なのだ。そこに元奴隷達を送り、自立した生活を行えるように援助をするのだ。


その移動の護衛を兼ねた兵士達を連れてやって来たのがキザン ナトリュウだ。


ミューモは1日経っても鳳凰の聖なる炎が消える事無く燃え続けるメルダリアを見舞っていた。


鳳凰の聖なる炎はメルダリアの肉体を焼いているのでなく、メルダリアの負の感情と負の感情に染まった魔力を焼いているのだ。メルダリアは頭を抑え苦しみ助けを求めるが誰一人としてそれを助ける事が出来ずにいる。


そんなミューモの横に鳳凰が立つ。

「ふむ、まだまだ消える気配も無いか? 意外に頑固な女だな」


そう言う鳳凰に何も言い返す事が出来ないミューモが横を向く。

「キトーはもっと辛かったはずだ。全身に入り込んだあらゆる毒をこの炎で焼いたのだ、皮ふ、骨、筋肉、内臓、神経、血液、脳に至るあらゆる物をな。


どうした小娘。キトーより楽な事をさせておるのにもう音を上げたか?」


「私は負けない。赤龍だろうと鳳凰だろうと、私が負ける理由は無い」

焼かれる苦しみの中でメルダリアが鳳凰を睨み返しそう宣言する。


「よいよい。ならキトーと同じ位に炎を強くしてやろう。そこまで根性があるとは思わなかったぞ」

楽しそうに鳳凰がそう言うとメルダリアの頭を掴む、それに合わせメルダリアを焼く炎の威力が数十倍に跳ね上がる。


「ぎゃーー!!」

メルダリアが目から涙を流し苦しみ出す。


「ミューモ、人族は何日飯を食わずに生きられるものだ?」

「は、ハイ。健康な人なら一週間と言う所だと思われます」


「そうか、小娘。一週間とかからずに炎が消えると良いな。だが心配要らない、もし餓死したら我が庭園の一部にしてやろう。

メルダリアの丘と命名してやっても良いぞ」


「お、お許し下さい」

メルダリアの弱々しい声が聞こえて来る。


「お前達はキトーに何をした? よもや忘れた訳ではあるまいな。

キトーがやめてほしいと訴えた時に何をした? さらなる毒を与えたのでは無いか? ならば私もさらなる炎をお前に与えてやろう」


鳳凰がそう言うとさらに聖なる炎が強まり、その影響でメルダリアが気を失ってしまう。


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