106.
サネルとの話しが終わった後でカメルン、アン、コハルと話し合う。その間、ハルナと夢はサネルと一緒にいてもらった。
カメルン、アン、コハルにサネルを大蔵村に連れて行くと説明をすると、アンから湯吉を連れて来て欲しいと話があった。
何かあった時に色々と出来るように薬草を持っておきたい、そう言われてしまう。
正直にじいさまと子供は残念だ。だが、だからと言って皆んなが皆んな生き残れるわけでは無い。
体も強く無いと行けない、運が強く無いと行けない、人よりも機転がきかないといけない、足が速く無いと、力も強く無いと、賢く無いと、そしてそう言う生き延びるだけの環境が全て整っていないと行けない。
生き延びる為の知識を教えてくれる大人が近くにいる事、それを幼い頃から覚えられる環境が整っている事、失敗を何度も繰り返しながらも覚えて行ける環境が無いと行けない。
そんな厳しい時代に皆んな生きてるだ。
「アン、コハル、カメルン。
じいさまと子供は残念だ、でもそれを自分の責任だと思うのは間違えている」
「「棟梁」」「将」
「じいさまは年だ。人が避けて通る事の出来ないものだ、誰であれ年に勝てる奴はいない。
それから子供は運が悪かった、それだけだ。
お前達に悲しみを捨てろとは言わない、だがお前達がその責任を負うのは間違えている」
俺の言葉はコハルにとって余程酷い言葉に聞こえたようだ。
特にコハルにとっては、また大切な家族を失うと言う凄く大変な出来事だ。
だからコハルは後悔した。
子供達をもっと守れたんじゃないか?
もっと自分に出来る事があったんじゃないのか?
熱が上がった時に風邪だと思い他の病気を心配しなかった、だから自分が殺したんじゃないか?
そう思い又佐の両親と亡くなった子供と重ねて見てる状態だ。
「コハル、アン。亡くなった子供の遺体をじいさまと同じ所に埋葬してやるぞ」
「「え?」」
「お前達がやらないと行けない事は忘れない事だ。子供の事、じいさまの事、狼に噛まれるとどうなるのかを忘れない事だ。
それをこれからの子供達に伝えて行く事だ、いずれは自分達も親になる。その時に産まれる新しい命に自分達の経験を伝えて行くとこ。
それが生き残った者達の役割だ」
コハルが悔しそうに自分の着物を握り締めて涙を落とす。
「でも、将。
私は大事な人が亡くなるのは我慢出来ない、辛いよ。苦しいよ。
また、私は一人だけ生き残った。
なんでよ、なんで私だけ生き残ったのよ!! それが役割だって言うの? そんな役割ならやらなくて良いよ」
「そうだよな、そんな役割なんて誰もやりたく無いよな。それは俺も同じだ。
だから、俺がコハルの辛い思いを一緒に背負う。
コハルは一人じゃない。
カメルンがいる、アンがいる、ハルナがいる、夢がいる、愛がいる、じいさまがいる、子供達がいる、伝次郎も幸太郎も美雪も鷹も又兵衛も湯吉もいる。
だから、コハルの思いを俺達が皆んなで背負う」
「私は一人じゃ無いの?」
「一人じゃ無い、俺達皆んながコハルの家族だ」
コハルが泣き崩れてしまった。
そんなコハルをアンとカメルンが抱き締めていた。二人共辛いのは変わらないのに、恐らくコハルよりも無理してるのだろう。アンとカメルンのメンタルケアをしないといずれ崩れてしまう気がして仕方ない。
じいさまが俺達の所に来て話を聞いていたが、コハルの事を見てくれる事になった。
「将、今日はわしがコハルの面倒を見る。それよりもアンとカメルンをみてやってくれ、あの2人は頑張り過ぎている」
「じいさま、悪いな」
「気にするな、しかし将は年寄りみたいな奴だな。ちゃんとコハルだけじゃなくカメルンやアンの事まで見てるなんてな。
将、お前さん本当は何歳だ?」
コハルが落ち着くのを待って、亡くなった子供の遺体をじいさまのお墓に連れていき、埋葬する事にした。
カメルンはそんな俺達の護衛を兼ねて付いて来ていた。
「なぁ棟梁、人は亡くなると何処に行くんだろうな? また、親も居なく寂しい思いしてないよな」
「それなら心配いらないじゃないのか。ここにいる子供達は孤独じゃない、頼りになる兄ちゃんがいて、優しい姉ちゃんが2人も居て。
遊んでくれる兄弟が沢山居て、何時も色んな事を教えてくれるじいさまがいてくれる。
そして別のじいさまが、待っててくれる。今頃2人で草遊びをして笑い合ってるかも知れないぞ」
「そうだな、あのじいさまは沢山遊びを教えてくれていたな。
虫の取り方や、草で作る動物とか、木の切り方とかな。
そうだな、暇じゃないな。今頃2人で楽しく笑い合ってるかもな」
カメルンがそう言って泣きながら、子供を入れる穴を掘り続けた。




