↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬼ケ島伝説 鬼がしらと呼ばれた男  作者: 武田 健太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
104/132

104.

集落に駆けつけるとコハルが住居の前で何やら作業をしていた。

「コハル、何があった?

何やら大変な事が起きたと聞いてやって来た」


「あ、将」

コハルが俺を見てホッとしたのか泣き始める。


「コハル何があった?」

「うん、実はね」


コハルとじいさま達が小さい子供達を連れて狩りに行った時らしい、罠を仕掛けウサギや雉等の小動物を捕らえる狩りを子供達に教えていた時だ。


数匹の狼に襲われていた女性を助ける。所がその女性が狼に噛まれていたようで熱を上げ始めた、それをじいさまの一人が背負集落につくと、女性を背負ったじいさまの一人と小さい子供の一人が同じように熱を上げてしまう。恐らくだが、助けた女性と同様に逃げる際に狼に噛まれた可能性が有る。


体力の無い子供はすでに亡くなってしまい、じいさまも無理かも知れない。そう言う状態らしい、幸い助けた女性は苦しんでいるが意識を取り戻し回復し始めているらしい。


「コハル、じいさまと女性は何処に」

「うん、案内する」


先にじいさまの所に行く、じいさまは息はしているが目覚める素振りも無くただ呼吸をしている状態だ。


念の為索敵してみるが小動物と変わらないな程に生命反応が無い、そんな俺を見てもう一人のじいさまが声をかけてきた。

「将、わしらは年だ。これも寿命だよ。それよりも助けた女性を何とか助けてもらえるか?」


「わかった、コハル案内してくれるか?」

「うん」


コハルに付いて移動する。その女性の所にアンとカメルンがいて面倒を見ていたようだ、住居に近付くと2人の声が聞こえて来る。

「カメルン、薬草取りに行ってくる」

「薬草? 昨日も取りに行ったじゃないか、もうなくなったのか?」


「うんうん、たぶんこの薬草は効き目が無いんだと思う。じいさまは何も反応無かったし」

「そうか」


2人はこの集落を守る為に凄く必死に頑張っている、だからだろう。物凄く責任感が強い。


じいさまの事や助けた女性の事まで強く責任を感じているのだろう。


「アン、カメルンいるか?」

「「棟梁!?」」


カメルンとアンが住居から飛び出して来る。

「コハルから話は聞いた。まもなくハルナと夢もやって来る。

3人共まともに休んでいないだろ、この人の看病は俺が変わるから少し休んでくれ」


「あのね、教えてもらった薬草じゃ治せ無いみたい。私どうしたらいいだろう」

「棟梁、俺達に何が出来る? 何でも言ってくれ何でもやるから」


アンもカメルンもコハルも真面目でしっかりとした奴らだ。だから、その真面目さがちょっと心配になって来る。

「なら、少し休め」


「「「うん」」」


住居の中に入ると獣の皮を着込んだ女性がいる。ふと、愛に似た気配と言うか、神気のような物を感じてしまった。


インベントリからヒールポーションを取り出すと女性に飲ませる。

「苦い、何なのこの薬」

「良薬は口に苦し。黙って飲め」


ヒールポーションを全て飲ませると女性がまた寝てしまう。

それからじいさまの所に顔を出して見ると、看病していたもう一人のじいさまが顔を横に振る。


どうやら間に合わなかったようだ。

「将、わしらをこの山に連れて来てくれて有難うな。わしらからしたら慣れ親しんだ我が家に戻った気分だ」


「そうか、悪かったな来るのが遅くなってしまった」

「いやいや、わしらはもう年だ。良くぞここまで永らえたものだ、死んでった両親や家族、兄弟達も笑って迎え入れてくれるさ」


「そうか」

「将、わしらの墓場があってな。そこに葬ってもらえるか?」


「ああ、約束するよ」

「助かるよ」


それから数日は皆んな悲しみのどん底にいた。短い時間しか接していなかった子供達ですら、じいさまの所から離れようとはしなかった程に懐いていたようだ。


この集落から少し離れた場所に洞窟が有り、その洞窟がじいさま達の一族が墓場として使っていた場所らしくそこに穴を掘り、じいさまを埋める。


その時はカメルン、アン、コハルを中心に年上の子供達も付いてきて最期の別れをした。


集落に付いたハルナと夢はじいさま達が助けた女性に付いていた。

この女性が悪い訳では無いが、皆んなの気持ち的に女性に敵意が向いてしまう。その護衛を兼ねて女性と一緒にいるのだ。

「そうか、私を助けてくれたあのじいさまが」

「まぁ、将が言うには年だって行ってた。いずれは別れないと行けない、じいさまの知ってる事をここの子供達が引き継いで行く」


「ハルナ、夢、入るぞ」

「「良いよ」」


俺が住居の中に入ると女性が起きて座っていた、そして俺に頭を下げる。

「貴方が鬼頭 将だな。貴方の薬のお陰で命拾いした、私はサネル。ムミューマのカンバラの妻だ。


まぁ、ムミューマと言っても貴方達には分からないと思う」


「俺が鬼頭 将だ。


先日、ユンバルを助けカンバラに引き渡してからここに来た。


ユンバルの話しでは盗賊に拐われたと聞いたが違うのか?」


サネルと名乗った女が驚いた顔で俺を見る。

「ユンバルに会った? 何処で?」


「俺達の村だ。月読みの神職を探したようだ、その月読みの神職に合わせた所ルルイに連れていきカンバラに引き渡せと神託があってな」


サネルと名乗った女に事の顛末を隠さずに全て伝えると、自分が盗賊に捕まったと勘違いしてユンバルが勝手な行動を起こしてしまった事、それによってユンバル自身が本当に盗賊に捕まった事等に物凄く驚いていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。