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鬼ケ島伝説 鬼がしらと呼ばれた男  作者: 武田 健太郎


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103/130

103.

バチン!! 馬から降りた兵がユンバルの頬を力任せに平手打ちした、体の軽いユンバルはその平手打ちで体が持ち上がりふらついてしまう。


ユンバルを平手打ちした兵士がユンバルを怒鳴り付けた。でもその声は段々小さくなり、泣き声に変わって行く。

「ユンバル、貴方が死んだら私はどうやって生きて行けば良いの? 貴方が居なくなったら私も死んじゃうだよ、私一人じゃ生きて行けないよ」

「ごめん」


「ごめんじゃない、そんな言葉じゃ許さない」そう言ってユンバルに抱き着いて泣き続けた。


その後、ユンバルを連れて騎馬兵達が戻って行く中、カンバラが1人残って俺の前に立つ。


俺達を見て頭を深々と下げる。

「鬼頭、本当にすまなかった」

「いい、ユンバルを助けたのはただの成り行きだ。それよりも紹介しておく。俺の妻のハルナと夢だ、たまにここにも顔を出す。二人共仲良くしてもらえると助かるよ」


そう言ってハルナと夢をカンバラに合わせる、カンバラがハルナと夢に挨拶すると緊張気味に俺を見る。


「ふ、流石は鬼頭の妻達だな。鬼頭に負けず劣らす物凄く強いな、俺も勝てる気がしないぞ」


「だろ、世界で一番の妻達だ。カンバラ少し頼みが有る」

「なんだ、ユンバルを助けてもらったの事もある。出来る限り協力するぞ」


カンバラが物凄く真剣な顔をする。

「ハルナと夢は渡来人の一族だ、この見た目も合って今いる実田の国では弊害もある。見た目で差別されたりとかあってな俺に何かあったらカンバラ達の国に向かわせたい、その時はハルナと夢達を受け入れてもらえないだろうか?」

「そんな事か。それはかまわないが鬼頭に何かある時って何だ?

もし鬼頭に何かあるなら我々が守るぞ」


「はは、俺は心配無い。だが今実田との闘いの最中だ、何も起きないとは信じているが争いだ。何が起きても不思議は無い、だからその時はお願い出来ないだろうか?」


カンバラが不思議そうに俺を見る。たがそれ以上の事を聞いてくる事は無かった。

「かまわない、鬼頭の妻達なら何があってもこのカンバラの一族が守り通すと誓おう。

それと2人の顔と名前は覚えた、我らの言葉を覚えるのは大変だろうが我らの中にも京の言葉を話せる者もいるから心配はいらない」


そんな話をしてからカンバラが帰って行く、その後はカメルン達が最初に作った集落後に移動して泊まる準備を始める。


以前の集落から、歩いて1日程進んだ辺りに新しい集落が有る。そこに行く為にここで1泊する。


何時ものようにインベントリから、寝床に使う材料を取り出し簡易の竈門を作り薪を取り出す。


その作業の間にハルナと夢が雉と猪を獲って来た。

それをさばいて食べきれない肉をイベントリにしまい、飯の準備をする。

「将、虫除けの薬草出して」

「はいよ」


「将、こっちの薪にも火を付けてちょうだい」

「ああ、着いたよ」


「将、寝床に敷く布団出して」

「将、掛け布団も欲しいな」

「将、…」「将、…。」


完全にインベントリおじさんになってる、2人とも俺を天然の物置だと思ってるだろ。等と1人で不機嫌になりながらも飯の準備を進める。


この時代は旅をする事自体が珍しい、食糧は長持ちせず、道路も整備されてはいない。行商達も腐る物は持ち歩かずに食べ物何かは行った先々の村々で交換するのが普通だ。


だから、食べ物が何時でも新鮮な状態で取り出せるインベントリは物凄く重要なのだ。それを知っているハルナと夢はインベントリの事は誰にも言った事が無い、完全に誰もいない俺達だけの時しか口に出さない。


それは知っているが、便利扱いされるのがたまに苛つくだけなのよ。

ごめんよ愚痴聞いてもらって。


翌朝、簡易テントや竈門等を解しインベントリにしまいカメルン達がいる集落に向かい歩き始める。


「ねぇ、なんで集落を移動させたの?」

「そうそう、私も気になってた」


「ここが盗賊達に見つかったのと狼の群だね、ルルイは馬や人がいると狼達が分かってしまってうろつく事が多くなったからね。

じいさま達により安全な場所を教えてもらって移動したんだよ」


山の中を半日程歩いた辺りで子供達の遊ぶ声がして来た。

だが、俺達が近付いた事に気が付くと一気にシンとして気配自体が無くなってしまう。


少し警戒しつつ進むと弓矢を持った数人に取り囲まれる。

「あっ、鬼頭の頭領だ」


「ああ、お前達か? カメルン達は集落にいるか?」


そう言うと1人の男の子が駆け寄って来る。

「棟梁、大変だ。直ぐに集落に来てもらえるか?

カメルンもじいさま達も何とも出来ない事が起きてしまって、今凄く大変んだ」

ハルナと夢と顔を見合わせる。


「わかった直ぐに行く。3人は悪いがハルナと夢を連れて来てくれるか?」

「あ、奥様達だ。今回は一緒に来たんだね」

「棟梁、任せて」

「大丈夫、俺達で連れて行くよ」


ハルナと夢を歳上の子供達に任せて集落に走り出す。


(う~ん、ちょっと短いかな)

 (´ε` )(●^o^●)

取り敢えず笑顔で誤魔化してみた。



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