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鬼ケ島伝説 鬼がしらと呼ばれた男  作者: 武田 健太郎


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10/10

10.

俺がタンジ、ネネ、天井に忍び込んだ者達を倒した後で菅生の棟梁とハルナ達が近付いて来た。


「将、あんたなにしてんのよぉ!!」

ハルナも酔いが覚めたのか、3人を捕らえた事に驚きと怒を露わに俺に詰め寄ってくる。


それから色々と説明をして落ち着きを取り戻す。


「で、将の言いたい事は分かったけど、証拠はあるの?」

ハルナが未だ信用出来ないと言った顔で俺を見てくる。


ネネが持って来た酒を手にとって説明する。

「この酒は毒だ」「「毒!?」」


「ああ」

返事をして庭に出る、すると屋敷にいた全員が俺に続く。


庭に鯉がいる池がありその池に酒を流すと、間もなく鯉が腹を上にして浮かび始める。


それを見た者達が後退りし始める。

「と、棟梁!?」

「う、うん」


ハルナと菅生の棟梁が青い顔をして震え始めた。

「菅生さん、荷押し車を貸してもらえるか?」


「へ? 良いけど、何に使うんだい」

「将、そんな事よりあの三人をどうするかが先でしょうよ」


「だから、あの三人を元の場所に返して来る、まあ、その後どうなるかはそいつらが決める事だ。


あと、筆貸してもらえるか?」


荷押し車にタンジ、ネネともう1人の男を裸にして座らせてくくり付ける。するとネネを裸した事をハルナが怒り出す。

「ちょっと、いくら何でも女の子を裸にするのは納得行かない」


「そうか、なら憶えておけ。

敵に捕まった女の末路だ、何処の国も大差ない」

「けどっ」


納得が行かないハルナを抑えて荷押し車を引いて歩き始める。

「ちょ、ちょっと待って」


そう言ってハルナが付いてくる。

村を出て少し歩くとハルナが話しかけて来た。

「将、何処に向かってるの?」

「実田の国の役所」


「役所? だ、駄目でしょっ。ほ、本当に向かってるの? あんた殺されるよ」

「他に何処行くんだよ。こいつらを送り出して来たやつは他にいないだろう」


ハルナがポカンとして立ち止まってしまう。

ハルナをその場に残して、荷押し車を引きながら近くの街に入り実田の役所の前に来る。裸の男女を荷押し車に乗せて引いて来る俺の姿はかなり奇妙に見えた見たいだ。


多くの人達が好奇の目で俺を見て、騒ぎが広がってしまう。

人が集まるのを見て捕まえた3人に準備していた名札を首からかける。すると集まった人達が更に騒ぎ始める、首にかけられた名札を見て笑いだしたり書かれた名前を呼んでみたりする。


その騒ぎの中、兵士と思える役人がは走ってくる。

「静まれ、何事だー」


余りに騒が大きくなったのか、身なりの良い男が1人混じっていた。

その男が俺を見付けて驚いて声を上げる。


「あ、お前この間の?」

「お、桃太郎と一緒にいた奴だな」


「何の騒ぎだ?」

「対したことじゃない。躾のなって無い犬を返しに来ただけだ」


そう言って荷押し車を前に出す。

裸の男女が名札を付けて荷台に乗っているその奇妙な姿に、駆けつけた役人達も驚たみたいだ。


タンジと名乗った男の懐から取った指令書を出し、身なりの良い男に渡す。

「桃太郎に言っておけ、犬の躾はちゃんとしないと行けないとな」

「は?」


指令書を見た男の顔色が一気に悪くなる。それもそのはずだ、その文字は桃太郎本人が書いた物に間違いが無いものだった。

「鬼頭だったな、これを何処で手に入れた?」

タンジと言われた男を指さす。

「この男の懐に入っていた。それとこれはお土産だ、飲むなよ。中身は毒だ」


「ど、毒?」


「猿山、何事だ」

「ああ、犬飼」


「そうか、あんた猿山と言うのか?」

「そうだ、こっちは犬飼。我々は雉子藤を含め桃太郎様の最側近だ」


犬飼が俺の前に来ると刀に手をかけ警戒する。

「貴様、確か鬼頭 将と言ったな。

何のようだ?」


「用は終わった、後は帰るだけだ」

「なら、直に帰る事だ。

間もなく我らの兵士達が揃う、痛い思いをしたく無ければ直に消える事だ」


「ああ、そうするよ。桃太郎によろしくな」

そう犬飼に声をかけて人混みの中を縫うように抜けて、その場を抜けて街を出る。


俺が出た後、犬飼が猿山から渡された書類を見て固まってしまう。


    ◇◇◇◇◇◇◇

     桃太郎Side


「して、貴様ら3人。素性を明かし恥をさらして良く戻れたものだな」

「いえ、我ら誰一人として名前等の素性は話してはおりません」


「では、何故名前の書かれた名札等を首からぶら下げている?」

「あの、鬼頭 将と言う者の妖術でございます。我らあの男にやられ動けずにいる時に我らの情報を取られました。


ましてデンタは、天井に隠れ急襲したた所を的確に狙われおります」


「ほう」

その声に、その場にいる全員が膝を付いて頭を下げる。


「若、今回は申し訳ございません」

「仕方無い。やられた上に名前までさらされて返されたのだ、我らもそれを踏まえ対処しないと行けない。


それでどうやって鬼頭 将と会う事になった」

「ハイ、菅生 法明と漁師頭の門馬 忠勝の娘、ハルナに関しては我らをただの行商として見ております。


菅生に最近変わった事が無いか確認した所、面白い奴に合わせると言ってあの鬼頭 将を呼び出しました」


その後桃太郎が詳しい成り行きを聞く。

「そうか、奇っ怪な事は未だ有るな。何故ネネが出した酒を直に毒と判断出来たか、それから最初から天井に隠くれているのがわからないと対処出来ない動き。奴は本物の妖術使いかもしれないな」


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