俺には分かる!
ネムのオホ発作が落ち着いた。
「……ふぅ」
ネムが、額に浮かんだ汗を手の甲で拭う。
さっきまで「せかいせいふくぅ……」と、トロンとした顔で呟いていた人間とは思えないほど、キリッとした表情に戻っている。
さすがネムだ。切り替えが早い。
「それで?『あまうがち』ってなんだ?教えてくれよ」
そんなネムの言葉に、俺は答える。
「わかった。ずっと説明しようと思ってたんだけど、モノがモノでさ。引かれるんじゃないかと思って、切り出しづらかったんだ」
俺はスクリーンに向き直り、天井に向けて告げる。
『オリガミ、天穿の説明を頼んでいいか?』
『はい、お兄様。かしこまりました。』
スクリーンに天穿の図解が表示された。
マイクロ固体燃料ロケットの先端にゲートバリアを展開した状態の断面図だ。
※※※
オリガミが説明を始める。
『天穿は、マイクロ固体燃料ロケットの進行方向にゲートバリアを展開した運動エネルギー兵器です。』
『最大の特徴は、空気抵抗ゼロで飛行できることです。ロケットの飛行中、進行方向の空気はゲートバリアに接触し、抵抗を受けることなく消滅します。これにより、空気抵抗を完全になくすことができます。』
「空気抵抗が……ゼロ?」
ネムの目が大きくなった。
『はい。空気抵抗が消失するということは、ロケットは減速することなく加速し続けます。摩擦熱も発生しません。第一宇宙速度に到達させることも難しくありません。そして、その運動エネルギーが全て、着弾時の破壊力へと変換されます。』
「……とんでもないな」
『さらにステルス性も兼ね備えております。ゲートバリアは電磁波も吸収しますので、反射波が発生しません。そのため、レーダーには一切映りません。』
ネムが腕を組んで、スクリーンを見つめる。
『極めつけは、ゲートバリアの解除タイミングをコントロールすることで――装甲の内側や、地下施設であっても、ピンポイントで大規模な熱エネルギー放出が可能となります。』
「……は?」
『つまり、目標内部に到達するまではゲートバリアですべての障害物を排除して侵入し、到達した瞬間にバリアを解除します。すると、急激な断熱圧縮により内部から大爆発が発生するのです。』
ネムが、ぽかんと口を開けていた。
しばらくの沈黙の後。
「……天穿……そんなヤバイ兵器を考えてたのか……」
ネムが、いつもより低めの声を発する。
「相手に攻撃をためらわせる、最強の抑止力だな」
ネムの顔はまた少し赤くなっていた。
まて、発作は話が終わった後で頼む。
いつまでたっても、話が終わらなくなるじゃないか。
※※※
オホ発作を抑えるために、ベクトルを少しずらしてやるか。
そんなことを考え、俺は胸を張って、大げさにネムに告げる。
「ちなみにネーミングは俺だ。『天穿』……かっこいいだろ?」
天を穿つ――我ながら、いい名前をつけたと思っている。
「くっ!悔しいけどかっこいい!ワタシにもなんか名前つけさせろよ!」
俺のドヤ顔に、ネムが悔しそうに地団駄を踏む。
よし。発作がキャンセルされた。オホキャンセル成功だ。
「む……確かに最近は、ネムがネーミングしたデバイスがない気がするな」
そういえば、『ハチガミ』や『イヌガミ』も俺の命名だったような。あ、でも『トビガミ』はネムの命名だったな。
だが、最近のデバイスや技術は、俺の思いつきを俺がネーミングするパターンが多い。
ネムのネーミングセンスの出番がない。
光ってたのは『運営』だけか?だが、あのネーミングは素晴らしかった。
「まあ、ネムも、なんかいいアイデアを思いつけばいいんじゃないか?ネムが考えたものなら、ネムがネーミングしても誰も文句言わないぞ?」
なんだか、意図せず、上から目線になってしまった。
「な、なんか考えてみる!正太郎が腰を抜かすような、すごい名前つけてやるからな!」
ネムが拳を握り、やる気に満ちた目をしている。
話が逸れてしまった気がするが、まあいいか。
俺たちはこれでいいのだ。
世界を相手にするからといって、深刻になる必要はない。いつだって、真剣に遊んでいればいいのだ。
※※※
「それで、その『天穿』だけど、もう運用できるのか?」
ネムが、話を本筋へと戻す。
『いいえ。ハチガミに市販のマイクロ固体燃料ロケットをくくりつけて、海上で軽く試し打ちした程度です。』
オリガミが淡々と答える。
『空気抵抗のキャンセルという効果は確認できました。ただ、あまり速度を上げてしまうと、ゲートバリアを解除した際の断熱圧縮により大爆発を起こしてしまいます。こうなると、当局や軍に検知されてしまいますので、あまり派手なテストができないのです。』
「なるほどなあ……ん?まてよ。それ、ハチガミに積む意味あるのか?」
ネムの鋭い指摘に、オリガミが即答する。
『いいえ。むしろ邪魔なお荷物ですね。ハチガミに積載するとなると、マイクロ固体燃料ロケットに重量制限が発生します。積める燃料も火薬も制限され、十分な推進力が確保できません。第一宇宙速度までは、到底届かないでしょう。』
「だよな。そうなると大陸間巡航ミサイルにはできない。敵国本土を攻撃できないんじゃ、抑止力としての効果が激減だ」
ネムの理解が早くて助かる。
『その通りです。だからこその、花火会社です。ゲートバリアとの組み合わせで、第一宇宙速度まで加速可能な、特注のマイクロ固体燃料ロケットを作成してもらう。そのための買収です。』
――第一宇宙速度
秒速約7.9キロメートル。
地球の丸みと落下のカーブが一致し、いつまでも落ちずに回り続ける速度だ。
つまり、天穿を人工衛星のように、地球の超低軌道に乗せてしまおうということだ。空気抵抗を無視できる天穿だからできる芸当である。
こうなってしまえば、理論上、地球上のどこであっても45分以内に攻撃可能だ。超低コストな、大陸間ステルス巡航ミサイル。
さらには、ICBMと違い、水平線の向こうから突如として現れるため、探知・迎撃はほぼ不可能。
その速度に達することで、天穿は、「戦術兵器」から「戦略兵器」へと昇格するのだ。
※※※
「花火会社を買収するのか?」
ネムが頓狂な声を上げる。
「ああ。固体燃料ロケットと花火は、親戚みたいなもんだからな。技術的な親和性が高いんだ」
俺の解説に、ネムが「ふーん」と頷く。
「そういえば、オリガミ。買収先の目星はついたのか?」
『いいえ。現在、鋭意検索中ですが……難航しております。町工場レベルの技術情報や経営状況は、デジタル化されていない部分が多く……』
俺の問いにオリガミが答えるが、珍しく歯切れが悪い。ネットの海だけでは見つからない情報ってことか?
そんなオリガミに違和感を覚える俺に、ネムが助け舟を出した。
「……正太郎、そういう人脈的な話なら、適任がいるだろ?」
「適任?……ああ、叔父さんか」
「そうだ。このところ、魔法にかまけて顔出してなかったんだし、丁度いい機会じゃないか?」
「そ、そうだな……そうするか」
思わず言葉が濁る。藤崎グループのビルは……笹木ズの巣窟だからなあ。遭遇率が高すぎる。
「ワタシも一緒に行くぞ。藤崎グループには介護ロボットAIの開発者として、深く関わってるしな!」
ネムが、ふふんと胸を張った。
仕方ない。コネがあるなら使うべきだ。直接出向くのが一番手っ取り早い。
「じゃあ、アポとるわ。叔父さんが忙しくなければ、今日の午後にも顔出そう」
「ムフフフ……介護ロボットAIの女神様だぞワタシは。きっと会社総出でちやほやされるに違いない!お菓子ももらえるかもな!」
ネムが意気揚々と両手を広げる。
……ちやほやされるどころか、叔父さんの隠し子騒動とかになって、変な注目を浴びなければいいが。
俺は一抹の不安を覚えたが、口には出さなかった。
ネムはこれでいいのだ。
※※※
無事、叔父さんのアポイントメントが取れたため、その日の午後、ネムを連れて藤崎グループへと来ていた。
藤崎グループのエントランス。
ここは俺の鬼門だったりする。
そう、あの笹木ズとエンカウントする可能性があるのだ。
「しょ、正太郎?なんでそんなにビクビクしてるんだ?」
「ここ……笹木一族がよく出没するんだよ……俺、うるさいのが苦手でさ」
「そ、そうか。そりゃあ大変だ。見つからないようにしないとな」
見つかったら最後、鼓膜が破壊されるからな。
俺とネムは、できるだけ目立たないようにコソコソと受付へと向かう。
「すみません。ドールハウス株式会社代表の藤崎正太郎と申します。お取次ぎの方、お願いできますか?」
「あ、はい、少々お待ち――」
受付のお姉さんが内線に手を伸ばしたその瞬間。
「正太郎様ァァァ!!お待ち申し上げておりましたァァァ!!」
エントランスに響き渡る、超音波のような甲高い声。
大理石の床に、ヒールの音がカンカンカンカンと近づいてくる。
俺の全身の毛が逆立った。
「え?詩織さん?なんで、ここに?」
振り返ると、スーツ姿の笹木詩織が、猛烈な勢いでドリフトしながら走ってきていた。
「それはですね……私が無事に弁護士になり、四月から藤崎グループに就職したからです!法務部に配属されましたァ!」
なんてこった。藤崎グループに、笹木家がまた一人増えてしまった。
しかも法務部。合法的に社内を徘徊し、コンプラという名の武器を振り回すポジションじゃないか。
「あれ?ネムさんもいらしてたんですね!」
「あ、ああ。ひさしぶり……だな?」
ネムが一歩引いている。笹木詩織の情報量に処理落ちしたようだ。
「ネムさん、どうでした?『正太郎様ハンドVer.1.3』なかなか素晴らしかったでしょう!」
「ま、まあな。悪くはなかったぞ!?」
正太郎様ハンド。俺の手の型を3Dプリンタでつくり、人肌ゲルを流し込んで再現する、笹木詩織お手製の例の呪物だ。
また、バージョンアップしてやがる。Ver.1.3って……今まで何個作ったんだ……俺にも千穂シリーズの前科があるから何も言えないのが辛い。
「で、でもワタシには、もう送らなくていいぞ?千穂ちゃんだけに送ってやれな?」
「む!アレですか?ネムさんは、本物に触ってもらえるから必要ないと!そういうことですか?ズルい!ズルいですよ?」
「ち、違う!そういうことじゃなくてだな!」
ネムが真っ赤になっている。
ヤバい。完全にペースを握られた。このままでは永遠に終わらない。
すると、奥から落ち着いた低い声が聞こえてくる。
「おい、詩織。何やってる?お前の仕事場は法務部だろ?なんでこんなところでサボってる?」
お、叔父さんだ!助けてぇ!
「それはですね!社長!ビビビッ!と来たからです!正太郎様がやってくると!」
「笹木玲奈だな?玲奈が伝えたんだな?」
「そ、そんなことないですよ?正太郎様のお嫁さん、二人いるみたいだから、三人目いけるかも?なんて言われてないですよ!?二人も三人も同じだから行っとけなんて言われてないですよ?正太郎様なら、笹木家本家も応援しますなんて言われてないですよ?」
――とうとうバレた。千穂とネムの二人と結婚しようとしていることが、詩織さんにバレてしまった。
マズイ。マズイぞ……外堀から埋められていく……
そんな俺の様子を見た叔父さんが、疲れた表情で手を上げた。
「会社はお見合い場じゃない。警備。こいつを法務部まで連行してくれ。今日いっぱいはオフィスから出すな」
叔父さんの言葉に、警備員さんが二人駆け寄ってきて、詩織さんの両脇をガシッと掴む。手慣れたもんだ。
「え!そんな殺生な!社長ひどい!私と正太郎様の関係を邪魔するなんて……はっ!まさか恋は障害が多いほど燃え上がるというやつですか?そっち方面でアシストしてくれてるのですね?流石です!ありがとうございます!」
ポジティブすぎるだろ。
「頼む……連れてってくれ……」
叔父さんが額を押さえながら呟いた。
「正太郎様!また、お会いしましょう!今度はお家に伺いますね!」
詩織が警備員に両脇を抱えられ、ドナドナされながら、満面の笑みで手を振っている。
その姿がエレベーターに消えるまで、俺と叔父さんとネムは、無言で立ち尽くしていたのだった。
え?今、家に来るって言った?マジで?
※※※
改めて、俺の方に体を向け、叔父さんが口を開く。
「正太郎、直接会うのは久しぶりだな。騒がしくてすまんな」
「ご無沙汰してます。……だ、大丈夫ですよね?このあと、玲奈さんや卓郎さんが出てきたりしませんよね?」
「ふたりとも出張中だ。安心しろ。正太郎、今日で良かったな」
叔父さんの言う通りだ。本当に良かった。
笹木一族フルメンバーとエンカウントしていたら、俺のメンタルは摩耗しきっていただろう。
「ネムさんも、お久しぶりです。詩織が無礼を働いてしまい、申し訳ありません」
「い、いえ……気になさらないでください」
ネムがまだ若干引いている。笹木詩織の破壊力は、心臓に毛が生えているネムをも圧倒したらしい。
「じゃあ、正太郎。社長室に行こうか。柚希も産休に入っているから、ゆっくり話せるぞ」
平和だ……!
※※※
社長室は広い。
革張りのソファに腰を下ろすと、香ばしい革の匂いが鼻をくすぐった。
秘書室の人であろう女性社員さんがコーヒーを出してくれた。
玲奈さんや詩織さんと違って、落ち着いた感じの人だ。少なくとも、笹木一族ではないことだけは、間違いないだろう。
その女性社員さんが部屋を出ていくと、叔父さんが口を開く。
「さて。わざわざアポまで取って来たということは、何かあるんだろう?」
叔父さんが、コーヒーカップを手に取った。
「えと、まずは介護ロボットの件です。ネムが気になっているみたいで」
「おう。いやー!介護ロボット、バカ売れだぞ!海外からの引き合いも凄くて、生産が全く追いついてない!」
叔父さんが、目を輝かせて身を乗り出した。
「そ、そうなんですね?そんなにですか?」
「ああ!まだ医療機器承認もないのにな!まあ、ほとんど利益ゼロで出してるから、導入しやすいってのもあるんだろうが」
叔父さんがソファの背もたれに体を預けた。
「あ、ちなみに、海外販売する機体からは、がっつり利益を上乗せしてるからな?」
「はい。それは聞いています」
「この調子だと、ドールハウスとの利益を折半しても、この事業だけで来年度は二千億の利益は出るだろうな」
「……ははは、恐ろしいですね。うちにも二千億入ってくるってことですよね?」
「ああ、そのとおりだ。今のうちにお金の使い道考えとけよ?税金がすごいことになりそうだから」
叔父さんが豪快に笑う。
二千億。桁が大きすぎて実感が湧かない。たぶん、いったい人生何周遊んで暮らせるんだ……。
「ふ、藤崎社長、介護ロボットの働きはどんな感じですか?現場で役立ってますか?」
大人モードのネムが、少し緊張した面持ちで聞いた。自分が開発したAIの評判が気になるのだろう。
「かなり評判がいいみたいですよ?何回も現場にヒアリングに行ってるんですが、介護施設の職員の方からも大好評です。トラブルも全くないですし。これもネムさんが開発した、完璧なAIのおかげですよ!」
「う、うへへへ……そ、そうですか?か、完璧……へへへ」
ネムの頬が緩みっぱなしだ。自分の技術が困っている人の役に立っているのは、やはり嬉しいのだろう。
なんてったって、介護業界の女神様だもんな。
「ネムさん、正太郎から大切にされてますか?もし、こき使われて転職を考えてるようなら、藤崎グループに来ませんか?CTOの地位を約束しますよ?」
「だ、大丈夫です!しょ、正太郎には、す、すごく大切にしてもらってますから!CTOもいりません!」
ネムが慌てて両手を振った。顔が真っ赤だ。
むむ!ネムの引き抜きは、流石に叔父さんの発言と言えども看過できないぞ?CTOってなんだ。そんな横文字には負けんぞ。
「叔父さん……そういう冗談はルール違反ですよ?」
「す、すまん!こういうのは駄目だよな?わかる!優秀な人間見るとついな……!悪かった!」
叔父さんが両手を上げて降参のポーズを取る。
「先程の話……しっかりと柚希さんに共有させてもらいますから」
「ええっ!それだけは勘弁してくれ!あいつ怒ると本当に怖いんだよ!」
叔父さんの顔が引きつった。
柚希さんは、確かに怖い。だが、それは叔父さん以外の相手に対してだろう。
……叔父さんも、柚希さんが怖いのだろうか?っていうか、柚希さんが、叔父さんに怒ることなんてあるのかな?イマイチ想像できない。
柚希さんか……。
「そういえば、柚希さん、お元気ですか?」
「ああ、元気だな。元気すぎるぐらいだ。今では、家事のほとんどをイヌガミタイプがやってくれるから、やることがなくて暇で死にそうだって言ってたな。もう、いつ産まれてもおかしくないはずなんだが……って正太郎は知ってるか。イヌガミタイプを制御してるAIから聞いてるんだろ?」
「いえ……全然聞いてませんね。聞けば教えてくれるかもしれませんが、プライバシーは大切にしたいので」
「そうか。お前、そういうところはしっかりしてるもんな」
叔父さんが、少し感心したように頷いた。
「それで?本当のところ、今日は何の用なんだ?何か別の用があって来たんだろ?」
介護ロボットの話が本題ではないことは、叔父さんにバレバレだったようだ。
なんでだ。俺には分かる、ってやつか?
※※※
「花火会社?なんでそんな会社を?」
叔父さんが、怪訝な顔をした。
「ちょっと、いい感じのドローン制御AIができたので、花火やウチのVTuberを組み合わせて、新しいエンタメの形を作っていこうかなと」
カバーストーリーだ。天穿の話は、叔父さんにはできない。できるわけがない。
「新しいエンタメ?なんだそりゃ?」
「えっと……そのあたりはこれから詰めていきます。伝統と科学の融合みたいな感じで」
我ながら、ふわっとした説明だ。
「……まあいいだろう。それで?買収できそうな花火会社だって?」
叔父さんは、あまり深く追求してこなかった。助かる。
「ええ。どこかいい花火会社がないかなと」
「流石に俺が知ってる花火会社なんてないぞ?うちはイベント関係の事業には手を出してないからな」
「やっぱり、そうですよね……。花火会社ってどうやって探せばいいんですかねえ」
俺は頭を掻いた。
すると、叔父さんがコーヒーカップをソーサーに戻して、こちらを見た。
「東堂議員には?話を聞いたのか?」
「いえ……?なぜです?」
「いや、お前知らないのか?すごいサポートAIがいるのに?」
叔父さんが、少し呆れた顔をした。
「ど、どういうことですか?」
「東堂議員の地盤だけど……花火で有名な土地だぞ?毎年有名な花火大会やってるだろ」
――え?
「な、なんだってーー!?」
俺は思わず叫んでしまう。
東堂議員。俺たちの政界へのパイプ役であり、特待パートナー制度の立法を推進してくれている東堂正人議員。
その地元が、花火で有名な土地?
そんなの、オリガミが知らないわけがない。
アイツは世界中の情報を掌握している超AIだ。東堂議員の選挙区の産業なんて、とっくの昔に把握しているはずだ。
なのに「花火会社を探しているが難航している」だと?
嘘だ。
難航なんてするわけがない。最初から、わかっていたはずだ。
でも、なんでそんなに回りくどいことを?
わかる……俺には分かるぞ……。
オリガミは絶対に何かを企んでる!
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