↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オリガミ - 妹AIを神にするため、俺は成り上がる【カクヨム完結済/なろう連載中・累計59万PV】  作者: けーきまる
研究所を建設しよう

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

212/270

黒猫しっぽ魔導師と誕生日

ネムの誕生日パーティーは大いに盛り上がった。


千穂が腕を振るってくれた誕生日ディナーは、相変わらず絶品だった。


「ワタシが釣ったことにしてくれ!」と頭を下げてお願いされたので、ネムには何匹か大きめの魚を譲っている。


千穂にはバレバレな気がするが、そこは暗黙の了解というやつだ。


そんな、ネムが釣り上げた(ことになっている)魚も、千穂の手によって美しく盛り付けられ、食卓に並んでいた。


「千穂ちゃん、おいしいな!最高だ!最高の誕生日だ!」


「ああ、本当だ。流石千穂の料理だな!」


ガツガツと料理を頬張る俺たちを、千穂が慈愛に満ちた眼差しで見守っている。


……うーん。俺、千穂がママでもいいかもしれん。


ママっぽい婚約者。ありだな。いや、むしろそれがいいんじゃなかろうか。


「オリガミ」「シミュレーション世界」「インターフェースゲート」「B世界」「アヤトリ」。それに加えて「天穿(あま・うがち)」に「天蓋(てんがい)」だ。


世界を揺るがしかねない秘密を多く抱え込みすぎて、俺の精神が摩耗していってる気がする。


正直なところ、下手に強がるよりも、この包容力に身を委ねてしまいたい……。


そろそろ、千穂にガッツリ甘えて、メンタル補充しておく必要があるんじゃなかろうか?


正太郎、限界説。あると思います。


※※※


照明が落とされたコテージのリビング。闇の中に、ゆらゆらと小さな炎だけが浮かび上がっている。


テーブルに乗るホールケーキの上で、「22」の数字を模したキャンドルが、暖かなオレンジ色の光を放っていた。


揺れる炎が、ネムの大きな瞳の中に星のように映り込んでいた。


「「ハッピバースデー・ディア・ネム(ちゃん)♪ハッピバースデー・トゥー・ユー♪」」


俺たちの歌声に合わせて、ネムが嬉しそうに手拍子をする。


そして歌が終わると、ネムは少し照れくさそうに笑い、大きく息を吸い込むと、


「ふぅー!」


可愛らしい音を立てて、勢いよく息を吹きかけた。


ふっと、ゆらめく炎が掻き消え、白い煙と共に部屋が温かな暗がりに包まれる。


パチパチパチパチ!


一瞬の静寂の後、俺と千穂の拍手が弾けた。


「「誕生日おめでとう!」」


「ウヘヘヘヘ……ありがとうな!」


暗闇の中で、ネムの照れくさそうな声が響く。


俺は壁際のスイッチに手を伸ばし、照明を入れた。


パッと明るくなった部屋の中には、照れくさそうに頭の後ろを撫でながら、へにゃりと相好を崩すネムの姿があった。


※※※


さあ、プレゼントタイムだ。


「ネムちゃん、これプレゼント」


「お?千穂ちゃん、ありがとう!な、なんだこれ?」


手渡された袋から出てきたのは、艶やかな漆黒の生地で作られた、モコモコとした手触りのルームウェアだった。


だが、ただのパジャマではない。


フードにはピンと立ったネコ耳。お尻の部分には、ふんわりとした長いしっぽまで付いている。


生地はベルベットのように滑らかで光沢があり、照明を反射して高級感を漂わせている。触れれば指が沈み込むほどに柔らかく、温かそうだ。


肉球が描かれたポケットや、喉元の鈴(音は鳴らないスポンジ製)など、細部までこだわり抜かれた、完全なる「黒猫の着ぐるみ」だった。


「ネコちゃんルームウェアだよ。モコモコであったかいと思うよ。ネムちゃん、時々お腹だして寝てるし。風邪引かないようにって思って」


「き、着ぐるみ……?え?手作りなのか?すごいな……千穂ちゃんも器用だな……」


ネムの言う通りだ。


縫製は完璧で、既製品……いや、ハイブランドの新作だと言われても信じてしまうレベルだ。ハイブランドの着ぐるみってなんだって感じではあるが。


千穂の「ママスキル」が遺憾無く発揮されている。


「ちゃんとお尻の部分にファスナーがあって、着たまま、おトイレにも行けるからね。洗濯乾燥もできるように作ったし、気楽に着れるよ!」


実用性も抜群だった。


ネムはパーカーを脱ぎ捨てると、嬉々としてモソモソと黒猫ルームウェアを着込みはじめた。


黒猫の着ぐるみを纏った中学生(成人)。爆誕である。……かわいすぎだろ。


「ふわぁあああああ!ネムちゃん、かわいい!かわいい!」


千穂はスマホを取り出し、あらゆる角度から撮影会を開始している。


ネムも満足げだ。


「おお!すごいな!無茶苦茶温かいじゃないか!これなら、冷たい床に座って作業してても平気そうだ!」


「千穂ちゃん、これ気に入った!本当にありがとう!」


ネムは千穂の方を見て、ニマっと満面の笑みを浮かべた。


黒猫ルームウェアとは、やはり千穂は分かっている。ネムは猫っぽいもんな。


俺もネコミミにネコしっぽを付けてもらおうって思ってたけど、まさか千穂に先を越されるとは……恐るべし、千穂のプロデュース能力。


しかし、おしりの部分にファスナーが在るだと?フム……これは哲学的な問題が発生するな……今度、学術的にじっくりねっとりと、観察と検証をする必要があるだろう。


ふっふっふ、楽しみだ。ぐへへへへ。


※※※


「じゃあ、次は俺だな」


俺は荷物をあさり、準備したプレゼントをネムに渡す。


「ネム、誕生日おめでとう!」


「正太郎も、ありがとうな!ん?これは……」


「ネム専用の竿とリールだ。ネムの名前の刻印も刻んである」


「おいおい、専用道具とか……ワタシまだ初心者だぞ?もっちゃっていいのか?」


「いいに決まってるだろ?普通は、最初から自分で買うものだしな」


「そ、そういえばそうだな。ワタシ、ずっと借りてばかりだったな。なるほど……だから釣れなかったのか……」


いや、多分それは関係ないと思う。だって、爆釣女子の千穂は、全部俺からの借り物をつかっているし。


「あとこれも」


俺はもう一つ包みをネムに渡した。


「おお?まだあるのか?」


興味津々に、ガサゴソと包装を開けるネム。


だが出てきたものをみて、不思議そうな顔をしていた。


「魔法使いの帽子にケープだと?なんじゃこりゃ?」


「だって……ネムは、大魔導師じゃん?」


俺は悪戯っぽくニヤリと笑う。


「え?まあ、そうだけどさ……」


「え!ネムちゃん大魔導師なの!?すごいね!」


千穂が変なところに食いついてくる。


ネム、ちょっと焦りながらアタフタ言い訳をする。


「え?あ?あーっと。そうそう!すごい開発者のことを、海外では、ウィザードっていうんだよ。だから魔導師ってことだな!」


「そうなんだ!ネムちゃんかっこいいね!」


「だ、だろ?」


まんざらでもなさそうに、ネムは胸を張る。


「それにな!なんと、その服には事象記述操作が施されてるんだ」


俺が告げると、ネムは目を見開いた。


「な、なんだってぇーー!」


「ふっふっふ。その魔導服は、この世界で初めて生まれた魔導具だ。どうだ、すごいだろ?」


「マジか!マジか!マジか!」


「マジだ。アヤトリが画面越しにやってくれたんだ。すごいだろ?」


「こ、これはすごいぞ……。効果は何なんだ?」


ネムはケープをひらひらさせながら、興奮気味に詰め寄ってくる。まるで新しい玩具をもらった子供だ。


「効果はな……殺気を消すことだ」


「殺気?なんで?……まさか!」


「ああ、気付いたか……。そうだ。ネムは釣りするときに殺気が出すぎなんだよ。それで魚が逃げていってしまう(多分)。だから、それを着れば……」


俺は自信満々に断言する。嘘ではない。アヤトリ曰く、狩人とかのコートにかける事象記述操作らしい。


「魚が釣れる!(多分)」


「て、天才かよ!正太郎、お前は天才か!」


※※※


ネムは大喜びだった。


千穂の黒猫ルームウェアを着たまま、魔導師ハットをかぶり、魔導師ケープを装着した。


黒猫しっぽ魔導師の誕生だ。


「ウヒョー!明日はこれを着て釣りをするぞ!正太郎見てろよ!」


そして、竿を振る真似をするネム。バッサバッサとケープがひらめく音がする。あ、竿、振りにくそう。


当の本人は、そんなことも気にもせずに、嬉々として妄想の竿を振り続けている。


何投目かで、大きな魚が針にかかったようだ。ネムの脳内シミュレーションの中で。


「フィーッシュ!」


などと言って、架空の魚とのファイトを始めていた。


ケープをバサバサ、ネコしっぽをフリフリさせながら、キャッキャと騒いでいる。


……や、ヤバい。な、なんて愛らしい存在なんだ。


何ていうか……絶対に守ってやりたい存在って感じ?もしかして、これが父親の気持ちだったりするのか?


……千穂の気持ち、ちょっと分かってしまったかもしれん。


※※※


そんな俺達を見て、ポケーっとしていた千穂に声を掛ける。


「千穂、驚いたか?」


「う、うん。ちょっとね。魔導師って、どういうこと?聞いてもいい?あ、秘密だったら、言わなくていいよ!」


千穂は遠慮がちに、上目遣いで尋ねてくる。


「本当は秘密なんだけど……まあ、魔法の研究してるってバレても、信じるやついないだろ?だから教えてもいいかなって」


「そ、そうなんだね。え?しょうちゃん、魔法の研究してるの?」


「ああ、最近はね。変だろ?」


俺が肩を竦めると、千穂はブンブンと首を横に振った。


「ううん。さっき言ってた、事象記述操作ってのが魔法?」


「そうだよ。ちょっと前に、うちのサポートAIが見つけた現象でさ。まあ、魔法としか言えないんだよね。第一、魔法ってかっこいいだろ?研究にハマっちゃってさ」


「そうだね!魔法かぁ……空とか飛べたらすごいな!」


「千穂も昔、魔女っ子なんとか!ってポーズ決めてたもんな」


「そ、そんなことあったっけ?恥ずかしいな……でも、魔法かあ……空とか飛べたら楽しいだろうなあ」


千穂は頬を赤らめながらも、窓の外の夜空を見上げて、夢見るような表情になる。


「いつか、できるようになるかも。そのときは、千穂に一番に教えるからな。ネムは俺より前に覚えてそうだし」


「うん!ありがとう!楽しみにしてるね!」


「まあ、一応秘密にしといてくれ。バレても信じるやつはいないと思うから、そこまで気にしないでもいいけどね」


「わ、わかったよ!絶対に秘密にするから!」


千穂はフンスと意気込んだ顔で大きく頷いた。


「じゃあ、これからちょっと大規模な魔法のプレゼンテーションがあるんだ。千穂も一緒に行かないか?」


「え?着いてっていいの?」


「もちろんだ。むしろ見てて欲しい。俺たちが遊んでばかりじゃないってところをさ」


※※※


さあ、千穂とネムに見てもらおう。


最終拠点防衛兵器『天蓋(てんがい)』を。



───────────────────


もし気に入っていただけたら、【ブックマーク】と【下の評価 ★★★★★】をお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。