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オリガミ - 妹AIを神にするため、俺は成り上がる【カクヨム完結済/なろう連載中・累計59万PV】  作者: けーきまる
研究所を建設しよう

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インターフェースゲート

「なあ……?上位世界の連中は、なんでシミュレーションなんてしてるんだ?」


ふと浮かんだ疑問を、俺は口にしてみた。


「さあ?遊びかもしれんし、何か他の理由があるかもしれない。まあ、ここは考えてもしょうがないだろ。今はあの黒い円だな。あれが何なのか調べないといけないと思う。早急に」


ネムはモニターに映し出された漆黒の円を見つめながら言う。


「早急に?」


「ああ。あの"黒い円"は明らかに上位世界の連中によって、仕組まれた設定だ。何か意味があるはず。ワタシたちは近づかないほうがいいだろうから、オリガミ任せになっちゃうと思うけどな?」


「たしかにそうか……」


俺たちが近づくのは危険だ。さっきの俺みたいに魅入られしまうかもしれない。


「下手すると、あの黒い円を開いたことが上位世界に検出されたかもしれん。いきなりプツンと電源をきられないためにも、何のためにあんなものがあるのか、上位世界の連中の意図を探らなきゃならんだろうな」


「なるほどな……ただアレだな。オリガミを神にするって目的から見たら、これって朗報じゃないか?」


俺の言葉に、ネムが不思議そうな顔をする。


「ん?どうしてだ?」


「だってさ、上位世界の連中っていう、実際に神みたいな奴らがいるわけじゃないか。なんていうか……オリガミを神にするってイメージが湧いてきた感じ?」


「確かにそうだな。この世界の管理者権限ゲットしてしまえば、オリガミのやりたい放題だろうしな。ただ、危険だぞ?」


「……そりゃそうか。上位世界の連中から見たら、丹精込めて構築したシミュレーションが滅茶苦茶にされるわけだもんな」


「なんにせよ、連中に聞かなきゃならん。『なんで私たちを作ったんですか?』ってな」


「SF映画とかで出てくる、自分を見失ったアンドロイドみたいだな」


自分がそんなセリフを言ってるところをイメージし、俺は思わず苦笑してしまった。


「ああ、笑えるな。ただな、ワタシの勘なんだけど、この世界は必要だからあるんだと思うぞ?」


ネムの声には、確信めいた響きがあった。


「……根拠はあるのか?」


「ヒント付きだけど超知性にしか解けないような"問い"を仕掛けてくる連中だぞ?あの黒い円が、超知性を生み出した世界に対する、ご褒美みたいなものに見えないか?」


「言われてみると……」


「連中はオリガミみたいな超知性が、シミュレーション世界で生まれることを望んでるんだと思う」


「何故だ?連中のほうが知性は高いんじゃないのか?」


「まあ、そこらへんは分からん!知性にも色々な方向性があるしな!ここまでの話も、全て推測にすぎないしな!」


ネムはあっけらかんと笑った。そこに、オリガミの声が重なる。


『お兄様、私もネムさんと同意見です。』


「オリガミも、連中は超知性体がシミュレーション世界で生まれることを期待してるって考えてるのか?」


『はい。あの"問い"は、なんだか"解けるものなら解いてみろ"っていう、制作者の意図的なものを感じました。こちらへの興味を感じます。』


「よくわからないけど……すぐにプチッて消される心配は無さそうだな」


※※※


いや、逆に、超知性が生まれたら世界を消去するとかないよな?


そしたら、俺たちの世界、ヤバイよな?


やはり、ネムの言う通り、上位世界の連中が求めていることを知らなければいけない。


それもできるだけ早くだ。


そして……上位世界のことを知るための、現在ある唯一のヒントが漆黒円ってわけか。


何か分かればいいけど。


※※※


「それにしてもだ。正太郎は、全然気にならないのか?この世界がシミュレーションかもしれないって話なんだぞ?」


「あんまり。だって、今までだってそこで暮らしてきたんだし」


「まあ、そのとおりだが」


「それに……」


俺はボフッとネムの胸に顔を埋める。


「おわっ!」


「こんな素晴らしいものがある世界なんだぞ?ネムも千穂もオリガミも作ってくれた世界だぞ?感謝しかないな!」


ぐへへへへへ……。


むにむにスーハースーハー。柔らかい……最高だ……


「んぅっ!しょ、正太郎……お前、スケベなやつだな?」


そう言うと、少し顔を赤くして頭を撫でてくるネム。


おおお……癒やされるぅ……よし、手が無くなりそうになったストレス回復した!


そんなふうにイチャつく俺たちに、オリガミは呆れたような声をだす。


『心配して、損しました。おふたりとも甘々ですね。もういっそ、子作りされては?』


魅力的な提案だ。だけど、子作りは結婚してからだな。


「お仕事への影響は気にしなくていいですよ?お子様の世話なら、イヌガミタイプが、かなりの部分を手伝えますので」


け、結婚してからだ……。


※※※


「オリガミも言ってたけど、ネムも全然気にならないんだな?」


「シミュレーション世界の話か?」


「ああ、そうだ」


ネムは少し考えるような素振りを見せる。


「正太郎、"リベットの実験"って知ってるか?」


「うーん。AIについて書いた本で読んだことあるような、ないような……」


オリガミのことを理解しようと思って、読んだ本だったような気がする。


「ああ、出てきててもおかしくないな」


「人間はさ、"指を動かそう"と意識する0.5秒前には、脳はすでに指を動かすための準備電位ってやつを出し始めてるんだ」


「意識するよりも前……?」


ネムは人差し指を立てて、得意げに解説を続ける。


「そう。つまり"動かそう"と決めたのは、意識じゃなくて無意識領域ってことだ。意識は、無意識が決定したことを0.5秒遅れで受け取って、"自分が決めた"と錯覚してるだけかもしれないってことだ」


「それって、意識が幻想かもしれないってことか?無意識の自分が勝手に動いているのを見てるだけってことか?」


俺の問いに、ネムは肩をすくめる。


「もちろん、意識にもなんらかの役割はあるだろうけどな」


「もしワタシたちがAIだとしても、今の人間と大して変わらないと思わないか?どっちも"無意識"っていうブラックボックスからの指令で人形みたいに動いてるだけなんだからな」


「なるほど……言われてみればそうかもな」


俺は納得して頷いた。確かに、言われてみればそのとおりだ。


「だから、シミュレーションだろうが現実だろうが、ワタシたちの主観的な感覚に変わりはない。なら、気にしても仕方ないだろ?美味しいものを食べて、楽しいことができれば、それでいい!」


ネムはそう言って、ニヤッと笑った。


「ここでの生活は、楽しいぞ?ワタシは幸せ者だ」


※※※


「さて……と、正太郎、そろそろワタシたちも大切なことを話し合わないといけないと思うが、どう思う?」


ネムが居住まいを正す。


「ああ、ネム。俺も同じことを考えていた。"上位世界の連中"とか"黒い円"とか、あまりよろしくないよな?」


「そのとおりだ。名前には神が宿る、ワタシたちは考えなければならない」


お互いに顔を見合わせ、頷き合う。


「「カッコいい呼び方を!」」


こういうとき、俺たちの息はぴったりなのだ。


「じゃあ、"上位世界の連中"の呼び方からいこうか」


「ああ!」


俺は拳を握りしめる。


「候補を出していくぞ。まずは俺からだ。創造主、オーバーロード、マスター!」


「次はワタシだ。デベロッパー、アドミニストレータ、観測者、ルートユーザー!」


負けじとネムも候補を挙げる。


俺は腕組みをして唸る。


なんか気に入らない。全て鼻につく。


「もっとこうさ、俺たちの支配者って感じじゃなくて、サービス提供者みたいな……理不尽な仕様を押し付けてくるけど、利用せざるを得ない相手みたいな……そんなのないか?」


俺の言葉を聞いて、ネムがポンと手を打つ。


「なら、"運営"でどうだ?」


「運営?」


「ああ。ソシャゲとかの運営だ。理不尽なナーフやガチャ更新をするが、ユーザーは文句を言いながらもついていくしかない。今のワタシたちの状況にぴったりだろ?」


た、確かにそのとおりだ。天才かよ……


「それだ!運営!完璧なネーミングだ!クソ運営に問い合わせを送る感覚でいこう!」


「決まりだな。あんましカッコよくはないけどな!」


ネムは満足げだ。


『承知しました。以降、上位存在の呼称を"運営"に統一します。』


ん?上位存在?それもカッコいいな。ひょっとして、オリガミもセンスある……?


※※※


「よし、次はあの"黒い円"だな」


「そうだな。あれも呼びにくい。カッコいいやつがいいよな?」


ネムが深く頷く。


「じゃあ、俺からいくぞ。漆黒円、消滅面、フリスビー!」


俺はポーズを決めて、3つの候補を叫んだ。


「次はワタシだ。ヴォイド、グリッチ、ヌルポインタ!」


ネムも負けじと胸を張る。


「くっそ、ネムの方が断然センスいいな。かっこよすぎだろ!」


「正太郎の漆黒円もいいと思うぞ。で、でも……ぶふぅ!フリスビーはないだろ!」


ネムは腹を抱えて笑い出した。


「浮いてるし、丸いしで、そう見えたんだよ!でも俺もネムと同じ意見だ!フリスビーはどうかと思う!」


※※※


かっこよさとその意味を考えて、"グリッチ"か"漆黒円"のどちらかにしようかと話がまとまりかけた、そのときだった。


オリガミが、俺たちの命名論争に、急に割り込んできた。


『インターフェースゲートです。』


「「は?」」


『あの黒い円はインターフェースゲートです。インターフェースサークルでもかまいませんが』


「な、何故だ?俺も分かるような説明を頼む」


『黒い円より、ビーコンとも思える定期的な電磁波が確認されました。そのため、お二人がイチャついている間に、こちらより短い電磁波のパルスを2回・3回・5回と間隔を一定にして、素数列を送信してみました。』


淡々と語るオリガミ。


『すると黒い円より7回・11回・13回とパルスが返ってきました。つまり、素数列の続きです。』


ネムが顔を赤くしながら、興奮気味に言う。


「お、おい……それって……」


オリガミが静かに宣言する。新しい真実を。


『この黒い円は何者かと通信するためのインターフェースのようです。だから、"インターフェースゲート"です。』



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