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オリガミ - 妹AIを神にするため、俺は成り上がる【カクヨム完結済/なろう連載中・累計59万PV】  作者: けーきまる
研究所を建設しよう

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ショタロサマ!

千羽邸(せんばてい)迎撃作戦の直後。


俺は、千羽(せんば)社長とスマホで通話していた。


「千羽社長、ご自宅に不審集団からの襲撃がありました。制圧しましたので、外に出てご確認ください」


『は、はあ?』


千羽社長は眠そうな様子で、頭が回っていないようだった。無理もない。時間は午前二時だ。熟睡中だったに違いない。


イマイチ状況が飲み込めていない様子の千羽社長だったが、言われたとおりに外を確認しに行ったようだ。


そこで、よいこ軍団とイヌガミタイプ、そして拘束されている男たちを見たのだろう。


急に慌てたような口調に変わった。


『え?な、なんですか!?彼らは!?』


「千羽社長の家を襲撃した方たちです。イヌガミタイプからの伝達があったので、ドールハウスが制圧しました」


『しゅ、襲撃……』


「これが、玄武キャピタルのやり方ってことですね」


『……なんてことだ……』


信じられないといった様子の千羽社長に、俺は淡々と告げる。


「俺が、千羽工業を子会社化したいと、お伝えしてから五日経ちましたよね?あれから、玄武キャピタルとは、どんなやり取りしたんですか?」


『……交渉は、あくまで玄武キャピタルの方が先だったので……ドールハウスさんと同じ条件なら、買収を受けると申し出ました。買収金額と、現体制の維持や従業員たちの保護という条件が同じならと……』


なるほど……千羽社長、人が良すぎなんだな。


銀行に貸し剥がしを指示されたり、スパイ行為までされた相手と、よく交渉しようなんて思ったものだ。


そういえば、叔父さんも言ってたな。技術はあるけど、経営は下手って。


「それが、玄武キャピタルにとっては許せなかったのかも知れませんね。比較され、面子をつぶされたと感じたのかもしれません」


千羽社長には、連中がどんな連中か、しっかり知っておいてもらう必要がある。


「あ、そうそう。これを見て下さい」


オリガミが俺の意図通りに、よいこ軍団に指示してくれたようだ。回収し、ビニール袋に入れておいた銃を、よいこ軍団が千羽社長に見せる。


『な!銃ですか?』


「ええ。こんなものを持って襲撃してくる会社です。約束なんて、絶対に守りませんよ?」


千羽社長は少し考えたあと、小さな声で絞り出すように言った。


『おっしゃる通りですね……』


自分の判断に後悔しているのだろう。落ち込んでいるようだ。


よし、ここが畳み込むチャンスだ。


「こんなときに言うのも、弱みにつけ込むみたいで嫌なのですが……もし、ドールハウスの子会社となっていただければ、ご家族も御社の従業員も、絶対に守らせてもらいますよ?」


「ご覧のように、俺たちにはその力があります」


「どうか、どうか、俺たちのものづくりに協力していただけないでしょうか?」


千羽社長は、少し考え込んだ後、自信なさげに言葉を返す。


『……従業員の雇用については、本当に守ってくれるので?』


「もちろんです。先日も申しましたが、契約書に書いてもいいです」


俺のその言葉で、千羽社長もようやく決心がついたようだった。


『わかりました。御社のお申し出を受けようと思います』


よし、ヒューマノイド製造先ゲットぉ!


「ありがとうございます!では、とりあえず、この連中をなんとかしますね?」


『警察には?』


「届けないでもらえると助かります。この連中を使って、玄武キャピタルを抑え込みたいんですよね……。そうだ、千羽社長、スパイだった執行役員ってどうなってます?」


『執行役員?一応、まだウチに籍を置いてますけど……』


マジか……まだ在籍させてるのか……大丈夫か、この人。


でも、今は都合がいい。


「では、執行役員のスマホやノートパソコンをお借りできませんか?それを使って、ドールハウスが玄武キャピタルとやりとりしてみます」


『……わかりました。明日、御社に、持って行きます』


「え?うちにですか?千羽社長が来られるんですか?」


『はい。ちょっとこの状況では、家族をこの家においておく訳にはいかないですからね。家族を都心へ退避させようと思いまして。もちろん私はすぐに、こちらへ戻ります』


「なるほど。その方がいいかも知れませんね。子供に銃口をつきつけて脅そうって連中でしたからね……」


『こ、子供に銃口!?本当ですか!』


しまった。あまり心配させてもどうかと思い、伝えようか悩んでたことが、ついポロッっと漏れてしまった。こうなっては、仕方ない。


「ええ……突入前にイヌガミタイプが捕捉しまして、会話を傍受しました」


『そんな!……今から、荷物まとめて出発します。すぐに避難させます!』


「家族の方ですが、当社に居住スペースがあるのですが、そちらに泊まられますか?多分、他のどこよりも安全ですよ?」


あの居住フロアは、トラブル発生時における、関係者避難スペースとしての役割もある。避難民、第一号だ。


『よ、よろしいので?本当に、助かります』


「ええ。新築ですしね。他に人もいませんし、過ごしやすいと思いますよ」


俺はこれからのことについて、千羽社長に告げる。


「では、襲撃者たちは私たちが回収します。ご家族との、こちらへの道中には、イヌガミタイプ二体を護衛としてつけます。人間の護衛の数十人分の働きをしますので。ご安心ください」


『……藤崎社長、何から何までありがとうございます』


「いえいえ。執行役員のスマホとノートパソコンだけは、忘れないようにお願いしますね。お待ちしております」


そう言って、千羽社長との通話を終えたのだった。


ふう……ようやく終わった。


伸びをして、背中の筋肉をほぐす。


思わずあくびが出た。そういえば、寝ていたところをアラーム音で叩き起こされたんだった。


ふと見ると、ネムは、俺の隣で猫みたいに丸まってスースーと静かに眠っていた。……可愛すぎだろ。


※※※


千羽家の一行は、その日の早朝、ドールハウス株式会社の研究所に到着した。


千羽社長の家族は、奥さんと、男女のお子さん一人ずつだ。


既に、研究所四階の居住フロアに案内を終えている。新築マンションのような落ち着いた雰囲気に、奥さんも子供たちも嬉しそうだった。


千羽社長は、そんな家族の様子を見て、ようやく肩の力が抜けたようだった。イヌガミタイプが護衛しているとはいえ、ここまで来る間はずっと緊張していたに違いない。


子供たちはすでにイヌガミタイプに懐いているようだ。見た目はちょっとキモいけれども、動きは本当に可愛らしいからなあ。


「こちら、頼まれていたスマホとノートパソコンです」


「受け取りました。玄武キャピタルから連絡があったら、相手の言い分を聞いちゃって結構です。ただし、契約や金銭のやり取りは行わないようにお願いします」


千羽社長は、申し訳なさそうに頭を下げて、俺に言った。


「ご迷惑だろうと思いますが、少しの間だけ、家族をよろしくお願いします」


「承知いたしました。イヌガミタイプを、護衛としておつけします。連れて行ってください」


「本当にお世話になりっぱなしで……。それでは、私は会社に戻ります。仕事が残っていますので」


そうして千羽社長は会社へ戻っていった。


こんな状況でも責任感を持って仕事に戻るとは。素晴らしい。よい仕事をしてくれそうだ。


※※※


ここから先は、オリガミから聞いた話だ。


千羽邸を襲撃した工作員たちは、「よいこ保育園」に連れて行かれ、前庭砲と側坐核砲の両方を使った雑な更生が行われたようだ。


オペラント条件付けのみを使用した、快楽と苦痛を行ったり来たりさせる、マウスでの実験のような更生だったらしい。


ちなみに、オリガミは「特急更生やってみた」とYuuTubeの動画タイトルみたいなことを言っていた。


オリガミにとっては、どんなことも実験なのだろう。


オリガミが言うには、「特急更生」でも、通常更生と同じように従順に「動作」しているらしい。動作とかいうなよ。


ただ、罪悪感はあまりない。だって、子供に銃口を突きつけようとする連中だし。オリガミもその辺りは分かっているのだろう。


その後、洗脳済工作員には、玄武キャピタルに「千羽社長の脅しが成功した」という嘘の連絡をさせた。


連絡が遅れたことを訝しがっていたようだが、保母ガミの指示通りに話させ、うまく誤魔化したらしい。


※※※


オリガミから聞いた話の続きだ


工作員問題の処理を終わらせた後は、玄武キャピタルと直接のやりとりをしたとのことだ。


オリガミは、執行役員の声を使った音声スプーフィングで、玄武キャピタル側の人間に連絡をいれたようだ。もちろん、執行役員のスマホやノートPCを使ってだ。


そこで、玄武キャピタル側に「千羽工業の売買がうまくいきそう。CEOに来てもらえば契約は完了できる」的なことを伝えたとのことだった。


工作員による脅しが、千羽社長に効いたと思ったのだろう。


玄武キャピタル側は、オリガミによる執行役員の声マネに、何の疑問も抱かなかったようだ。


その後すぐに、玄武キャピタルCEOは、この国へと飛行機にて渡航して来ることになった。なかなかフットワークが軽い。


空港には、更生が完了したばかりの工作員を迎えに行かせるらしい。車両は「移動おもちゃ箱」だ。


そう、玄武キャピタルCEOは、空港を出てすぐに「移動おもちゃ箱」にダイレクトインされるわけだ。


少々可哀想な気もするが、先に手を出してきたのは向こうだ。問題ないだろう。


※※※


『お兄様、まもなく玄武キャピタルCEOが「移動おもちゃ箱」に乗り込みます。』


オリガミに、オペレーションルームに呼び出された俺は、そのCEOの映像をリアルタイムで見ていた。


玄武キャピタルCEOは、第一印象からして神経質そうな男だった。


年齢は三十五歳ほどだろうか。


切れ長の目を知的なフレームのメガネが縁取り、その黒髪はバッチリとオールバックで固められている。スリムな身体を、上質そうな細身のスーツが包んでいた。


銀色の高級そうなスーツケースを引きながら歩くその姿は、いかにもやり手のビジネスマンという感じだ。


玄武キャピタルCEOは洗脳済み工作員に迎えられ、何か会話をしているようだった。


俺には大陸語はわからないので、何を言っているのかは分からなかった。


オリガミに聞けば教えてくれると思うが、オリガミが翻訳しないということは大した会話ではないのだろう。


自分が長い間使ってきた工作員の男が、洗脳済だなんて思うはずがない。


少しの会話の後、CEOはなんの疑いもせずに車に乗り込んだのだった。


そう。「移動おもちゃ箱」である高級車へだ。


玄武キャピタルCEOさん。ようこそ「移動おもちゃ箱」へ。


そして、いってらっしゃーい。


よいドライブを。


※※※


玄武キャピタルCEOさんが乗る「移動おもちゃ箱」を送り出した、数時間後のこと。


楽しい楽しい保母ガミとのドライブを終えた、CEOの乗る車が、研究所の駐車場で停車する。


少しして、車から玄武キャピタルCEOが、ゆっくりと車から降りてきた。少しふらついているようだ。


スーツがぐっしょり濡れているのは気になるが、今は気にしないことにする。


そんなCEOは、よいこ軍団にしっかり囲まれた状態で、立っている俺を見るなり大声で叫んだ。


たどたどしく。話せないはずのこの国の言葉で。


「ショタロサマ!アナタノタメ、ハタラキマス!」


――よし。これでよし。先に手を出してきたのはコイツ。子供に銃口を向けさせようとしたのもコイツ!


側坐核砲由来であろう快感に震えているCEOを横目で見ながら、俺は自分に言い聞かせ続けたのだった。



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