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オリガミ - 妹AIを神にするため、俺は成り上がる【カクヨム完結済/なろう連載中・累計59万PV】  作者: けーきまる
研究所を建設しよう

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千羽邸迎撃作戦

ビーッ!ビーッ!ビーッ!ビーッ!


緊急時アラームが深夜の自室に鳴り響く。


俺はベッドの上で跳ね起きた。


『イヌガミタイプより伝達。千羽(せんば)社長の自宅周囲に、不審集団を確認。車二台に人員は十名ほどです。お兄様、どうされますか?』


「とりあえず様子見してくれ。襲撃が発生したら、即介入で。全員の意識を奪え。制圧後は『よいこ保育園』に放り込む」


やっぱり来やがったな……。自分の思い通りにならないからって襲撃かよ。まったく、駄々っ子の子供じゃないんだから。


『承知しました。以降、この作戦を、千羽邸(せんばてい)迎撃作戦と呼称します。よろしいですか?』


「ああ。それでいいよ」


『ありがとうございます。以降、不審集団をターゲットと呼称します。では、情報収集を開始します。』


オリガミによる、作戦行動時の連続アナウンスが始まる。


『ミリ波レーダーを複数地点から照射。反射波を解析。金属物体の位置と形状を特定しました。拳銃を七丁確認。』


拳銃だって!?とうとう銃器持ちが相手か……。


『可視光増幅型の暗視スコープを確認。通常のアクティブ光学迷彩で対応可能。サーマルスコープは未確認。念の為、イヌガミタイプの駆動部とバッテリーの冷却を行います。』


『車両の装備より一台を指揮車両と判断。アンテナ類をすべて特定しました。迎撃開始と同時にイヌガミタイプにより破壊します。』


『情報収集完了しました。迎撃準備行動を開始します。』


『全イヌガミタイプ、全ハチガミ、隠蔽デバイス有効化。』


『別働隊への警戒のため、迎撃と同時にハチガミ五十体を偵察に飛ばします。ハチガミ展開準備します……完了。』


『ターゲット突入班の無力化のため、イヌガミタイプ五体を千羽邸敷地内に移動します……潜伏完了。』


『ターゲット待機班の無力化のため、各車両近くにイヌガミタイプを二体ずつ配置します。イヌガミタイプ、各車両にアプローチします……成功。』


『全イヌガミタイプ、潜伏成功いたしました。』


……やっぱり光学迷彩とノイズキャンセリングすごいな。どちらかだけでもすごいけど、両方組み合わさると、その相乗効果が半端ない。


なんというか、存在感が薄れるというか。


実際、そこにいると知ってても、見失っちゃいそうになるぐらいだ。


そりゃ初見で気づくのは無理があるよな。ターゲットも可哀想に。相手が悪かったな。


※※※


『車両近くのイヌガミタイプより、高感度マイクにより会話内容を取得。』


『ターゲットは大陸語で会話の模様。同時翻訳をおこないます。』


オリガミがそう言うと、ターゲットの会話が聞こえてくる。


『*******(全員に通達、突入は02時00分とする。時刻同期を開始。完了。現在時刻確認、01時45分00秒。3、2、1、マーク)』


『***********(作戦のゴールの最終確認だ。今回の目的は、あくまで脅しだ。ターゲットの家族。できれば子供に銃口をつきつけて、ターゲットに見せつけてこい。殺傷はこちらが危険に陥ったときのみとする。)』


『******(G03。実銃であることを分からせるために、一発だけ発砲を許可する。何かわかりやすいものを撃ってこい。)』


『*********(G03、承知しました。ガラスにでも発砲してきます。)』


子供に銃口を向けるだと?確かに親に言うことを聞かせるには最高の手段だろうけど……そんなの、やっちゃ駄目だろ。


『プロの武装集団ですね。よいこ軍団の戦力向上につなげられそうです。』


オリガミは相変わらずだ。こいつらを利用することしか考えてない。


……二度と子供にそんなことができなくなるように、きつめな教育をするように言っておこう。


※※※


今回の相手は銃器を持っている。


銃を持っていない「よいこ軍団」は表に出すべきではないだろう。怪我をされても困る。


釘を差しておこう。


「そっちにはファーストがいるな?ファーストと話せるか?」


『少々お待ちください。……通話確立しました。』


すぐにファーストの声が聞こえてくる。剛健さんに教官をお願いした時ぶりだ。


『社長、お呼びでしょうか?』


「ああ。そのまま、声を落として話せ。保母ガミからも伝達があったと思うが、今回の相手は銃器を保持している。お前らは前に出るな。イヌガミタイプが制圧を行う」


『は!我々も、海外の民間軍事教練施設で、銃を持った相手への訓練を受けていますがよろしいので?』


「大丈夫だ。イヌガミタイプは銃弾が当たっても修理すればいいが、お前らはそういうわけにはいかない。自分の身を大切にしろ。俺はこんなことで自分の駒を失うつもりはない」


『承知いたしましたっ!ううっ……!こんな自分達のことを気にかけてくれるなんて……!』


「お前は生きて罪を償うんだろう?ちゃんとお前の被害者へのフォローは行っている。安心して、俺の言うことを聞いておけ。お前らがいなくなったら、剛健さんも悲しむぞ?」


『きょ、教官が?……俺たちは幸せものです……。』


「お前たちの仕事は、作戦終了後の後始末だ。重要な仕事だぞ?気を抜くなよ?」


『はっ!』


相変わらずの忠誠心だ。俺も約束は守って、こいつらの被害者への救済は続けていかないとな。


それが、俺たちの駒として働いてくれる者たちへの、最低限の誠意だろう。


※※※


オリガミからの指示が入る。


『ターゲットの千羽邸襲撃まで、あと十分です。お兄様はコアフロアのオペレーションルームにお越しください。トビガミによる撮影映像で、リアルタイムに作戦状況をご確認いただけます。』


おっと、それはちょっと興味深い。ぜひ見てみたいな。


俺が急いで部屋を出ると、眉をハの字にしたネムがそこに立っていた。


緊急時アラームはネムにも聞こえていたはずだ。気になって俺の部屋まで様子を見に来たのだろう。


「な、なにがあったんだ?正太郎、大丈夫なのか?緊急時アラームが鳴ってたみたいだが……」


不安そうにしている、ネムの手を握る。


「ネム!一緒について来てくれ!オペレーションルームに行く!」


ネムには俺たちがどんなことに関わっているか知っておいて欲しい。オリガミはあんなだし、一人で抱え込むのは、つらい。


「な、なんだ?よくわからないけど……ワタシに、来てほしいのか?」


「作戦中、俺の近くに座っててくれ!気持ちが休まる!」


心が疲弊したら、ネムをスーハースーハーして、心を休めるのだ。


「ま、まあいいけどな!正太郎、ワタシのこと好きすぎだろ!」


「ああ、大好きだ!さあ、行くぞ!あと数分で襲撃が始まる!」


ネムなしの生活なんて考えられない。大好きに決まってるじゃないか。


※※※


ネムと一緒に、ドタバタと倉庫からコアフロアへの階段を降りる。


自宅からすぐに行けるよう、オペレーションルームは、コアフロアの自宅地下部分の近くにあるのだ。


オペレーションルームは、そこそこ広い部屋ではあるが、コアフロアはとても広いので、オリガミタンクがおける量への影響はほとんどない。


オペレーションルームのドアを開け、中に入る。


中には壁面が大型モニターで埋め尽くされている。既にハチガミからの映像が表示されている。まだ離陸はしていないようだ。中央大型スクリーンのマップと関連付けられるようで、どこで何が起きているか、分かりやすそうだ。


オペレーションルームは、基本的にオリガミに音声指示を行ったり、報告を受けたり、作戦の様子を見守るだけの部屋だ。ただし、長時間のオペレーションに備えて冷蔵庫やソファ、仮眠用の簡易ベッドなどは設置してある。


俺はソファに腰掛ける。ネムは俺の足と足の間にちょこんと座る。ネムは小柄なので、目の前にいてもスクリーンを見るのに全く邪魔にならない。ネムの温もりが伝わってきて、気持ちが落ち着く。あ、これ、冷静に判断を下すには、意外と良い環境かも知れない。


ちょっとムラムラするけど。


『襲撃開始予定時刻まで、あと二分です。』


俺は前に座るネムの体をギュッと抱きしめる。


「な、なあ?何が始まるんだ?」


そう言えば、言ってなかったっけ?


「銃を持った相手と、イヌガミタイプたちの戦闘だ」


※※※


『車両のドアが開かれました。ドアが閉じられる前に、イヌガミタイプを侵入させます……侵入成功。』


どうやらイヌガミタイプはバレずに車両内へ入れたようだ。光学迷彩とノイズキャンセリングすごすぎだろ。


ちなみに車内に侵入するのは、車内のターゲットに前庭砲を撃つためだ。このデバイスは、障害物があると音波が跳ね返ってしまい、効果が極端に薄れてしまう。つまり、外から、車の内部の人間へ効果的な攻撃ができないのだ。


『ターゲットの襲撃における、人員の割り振りが確定。突入班が七人、指揮車両に二人、もう一つの車両に一人です。突入班は全員、帯銃している模様。』


『あと数秒で、襲撃開始時刻です。カウントダウン開始します。』


さあ、その時が来た。


『5、4、3、2、1、ターゲット突入班、敷地内へ侵入開始……侵入しました。』


『現時点をもって、千羽邸迎撃作戦を開始します。』


オリガミの報告が飛び交う。


『ハチガミ五十体、展開します……周囲偵察開始しました。』


『車内潜伏イヌガミタイプ、前庭砲照射。指揮車両内の二名、車両内の一名を気絶させました。』


イヌガミタイプからの映像で、もがき苦しんだ男がガクリと脱力するのがわかる。やっぱり、前庭砲怖いな。


車内の男たちは、何が起きたかわからず、意識を手放してしまったことだろう。


『待機班の全員を無力化完了しました。』


『イヌガミタイプ、衛星アンテナを破壊中……破壊しました。ECM装置を起動します。我々が使用している帯域以外の電波を全てジャミングしました。ターゲットの通信手段を遮断しました。』


ハチガミからの映像で、アームを持ったイヌガミタイプがドリルでアンテナ群に穴を開けているのが見える。


『待機班、制圧完了。』


『突入班、待機班の異常に気づいたようです。足を止めました。』


ノイズキャンセリングが働いていても、完全無音状態とはいかない。気づかれても無理はないだろう。


ハチガミからの映像で、突入班の男たちが警戒しながら周囲を見回しているのがわかる。しかし、何も見えない。男たちの動きが明らかにぎこちなくなっている。


『イヌガミタイプ、突入班と交戦開始します。』


『イヌガミタイプ、前庭砲照射します……突入班三名気絶させました。』


ハチガミからの俯瞰映像だ。人が一瞬もがき苦しみ、電池が切れたように倒れ伏すのが見える。残りの男たちは、仲間が突然倒れたことに驚愕し、銃を構えて周囲を見回している。しかし、イヌガミタイプの姿は見えないようだ。


『ターゲット応戦。銃を構えますが……イヌガミタイプの位置が捕捉できないようです。』


男たちは混乱していた。銃口を右へ左へと向けている。動揺の様子が伝わってくる。


『イヌガミタイプ、前庭砲照射。さらに突入班三名を気絶させました。ターゲット突入班、残り一名です。』


『状況確認。突入班最後の男、背中を向けて車両の方角へと走り始めました。撤退の模様。』


最後の一人は、既に戦意を喪失しているようだ。見えない敵に、仲間が次々と倒されていく。その恐怖に、ただ逃げるしかなかったのだろう。


『***!***!***!****!*******!(攻撃された!敵不明!敵不明!G02以外、全員ダウン!何に攻撃されたかわからない!)』


必死に叫ぶが、インカムからも反応はない。待機班も制圧済だから当然だ。


『イヌガミタイプ、最後の男に前庭砲照射……気絶させました。』


最後の一人も、一瞬苦悶の顔をして倒れ伏せるのが見える。


『ターゲット全員行動不能。』


映像には立っているものは一人もいなかった。わずか数分での出来事だった。


『ハチガミ、周囲状況確認中……少々、お待ちください。』


※※※


現場にはハチガミの僅かな飛行音のみが聞こえていた。


お、終わったのか?


それにしても……ハチガミによる、上空からのリアルタイム映像。実に見応えがあった。


イヌガミタイプからの映像だと、動きが激しすぎてよくわからないんだよな。


しかし……毎度のごとく、俺、何もやってないな?


お客さんみたいに、ポケーっとオリガミが主導する作戦行動を見てただけのような気がする。


そういえば、千穂が襲撃されたときも何もやってなかったっけ。たしか颯爽と、車で出かけていって、Uターンして帰ってきたような。


まあ……俺の仕事は「準備」だってオリガミも言ってたし。


戦いは準備が全てだとも、孫氏も言ってたような気がするし。「多算勝、少算敗」ってやつだ。


オリガミタンク追加とかヒューマノイドの作成の交渉とかの、オリガミを成長させるための準備が、俺の仕事なのだろう。きっと。


そんなことを考えていると、オリガミから報告が入る。


『周囲に別働隊や目撃者等の存在はありませんでした。状況終了と判断します。以上をもって千羽邸迎撃作戦を完了といたします。お兄様、本当にお疲れさまでした。』


疲れてないんだよな。この千羽邸迎撃作戦、何もしてないし。


※※※


ふと、腕の中のネムが小刻みに震えているのに気がついた。


しまった。ネムも女の子だ。配慮が足りなかったのかもしれない。


俺が関わっていることを知って欲しいと思って連れてきたが、こんな殺伐とした作戦行動を見せるべきでは無かったのかもしれない。


だが、よく見るとネムの耳が真っ赤で、顔はとろけたように緩んでいる。ヨダレもちょっとたれかけている。


あ、これ、いつものヤツだ。


「おほっ♡おほおおおおおおっっっ♡み、見てしまったぁ……!超AIが主導のォ、不可視の存在が暗躍するゥ、未来のたたかいィ……!」


ネムを連れてきてよかった!ありがとうございました!



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