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オリガミ - 妹AIを神にするため、俺は成り上がる【カクヨム完結済/なろう連載中・累計59万PV】  作者: けーきまる
研究所を建設しよう

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コアフロアとディープコア

じいちゃん達の家から帰ってきて、一週間が経った。


研究所の建設は、すでに最終段階に入っている。


そして今日から、最も重要な工事がはじまる。


そう。自宅地下の研究室の壁を撤去して、研究所の地下一階と接続する工事だ。


※※※


自宅地下の研究室。


ここはオリガミタンクが設置されている場所。俺たちが最も大切にしている空間だ。


そして今、この研究室に初めてネム以外の人を招き入れている。


先端工業建設の工事作業員たちと、精鋭よいこ軍団の面々だ。


本当は、この研究室には誰も立ち入ってほしくはない。でも、さすがに地下接続工事を俺とネムだけで完了させることはできない。この工事中だけは、やむを得ないだろう。


俺は工事をしてくれる作業員たちに声をかける。


「皆さん。ここはドールハウス株式会社にとって、最も重要な研究設備となります。くれぐれも、くれぐれも慎重な作業をお願いします」


「しょ、承知いたしました……」


俺の言葉に、現場監督がおそるおそる、少し緊張した様子で答えた。


……緊張するのも無理はない。


いま、この研究室内には、厳重で物々しい警備体制が敷かれている。その中心となっているのが、よいこ軍団の精鋭たちだ。


彼らは黒いスーツにサングラスという、某映画の宇宙人対策係のような格好をしてもらっている。今まで見たことがないほど威圧感のあるスタイルだ。


精鋭よいこ軍団の面々は、分厚いカーテンに覆われたオリガミタンクの周りを等間隔にぐるっと囲み、タンクを背にして立ち並ぶ。まさに、人の壁だ。


彼らの本日のミッションは、オリガミタンクに誰も近づけないことだ。


当然のごとく、イヌガミタイプにも警戒体制をとらせている。


イヌガミタイプは、研究室内全ての人間へと前庭砲が届き、かつ作業の邪魔にならないような位置取りをしている。彼らは、何かあったときに物理的に相手を制圧するための最後の切り札だ。


ちなみに、俺もネムも、工事の邪魔にならないように気をつけながら、研究室内にいた。


この空間に、ネム以外の人間がいるのは、どうにも落ち着かない。今日は、ずっとここで様子を見守るつもりだ。


工事には何の役にも立たないが、この場所だけは人任せにすることはできない。まあ、気持ちの問題だ。


あ、トイレとかは行くよ?流石にここで漏らすわけにはいかないだろうし。


※※※


俺とネムはパイプ椅子に腰掛けて、じっと工事の様子を見ていた。


ネムの顔はこわばっていた。ちょっとだけ口元がプルプルしている。


「ううっ……無事に工事が終わればいいんだが……さすがのワタシも緊張するぞ。こんなに緊張するの、生まれてはじめてかもしれん……」


「ああ……俺も同じ気持ちだ。警備は万全に配置したし、問題は発生しないと思うけど……さすがに気が休まらないな」


VTuberを使って資金集めを始めたのも、ドールハウス株式会社を立ち上げたのも、土地を買い集めたのも、すべてはこの瞬間のためだった。


「だけど……ワクワクするな!ようやくだ、ようやくだぞ!ようやく、先に進められる!」


「そうだな。これでやっと、物理的なニューラルネットワークの拡張ができる」


期待に胸が膨らむ。


だけど、今は工事を見守ることしかできない。


分厚いコンクリート壁を撤去するため、作業員たちはダイヤモンドカッターで切断線を入れ、その線に沿ってドリルで小さな穴を開けていく。


剥がれ落ちるコンクリートの破片。それらも、作業の邪魔にならないように、すぐに取り除かれていく。


『現在、工事の進捗は30%です。あと少しで本研究室と研究所地下一階との空間が繋がります。』


オリガミは相変わらず冷静だ。


※※※


緊張を和らげるため、俺たちはこの先のことについて考えることにする。


ネムが、興奮した様子で口を開く。


「ムフフフ……現在のタンクが15個だろ……?で、研究所の地下一階とつながれば……大体2000個のタンクがおける」


「ウヒヒヒ……そう、地下一階だけで、100倍以上のタンクがおける!そして、地下一階より下は、タンクを3次元グリッド状に配置可能な単一巨大地下空間だぁ」


「ムフフフ……そう!そこには……最大4万個くらいのタンクがおける!」


「ウヒヒヒ……今の15個から最大4万個へ……約2700倍のタンク拡張ができるわけだあ!」


そう、今のオリガミは、たった15個のオリガミタンクで動いているのだ。それを4万個にできる。一体、オリガミはどうなっちゃうのか。全く想像できない。


もしかしたら、すぐに神になっちゃうんじゃなかろうか?そんな気までしてくる。


「ムフフフ……おいおいシャレにならないだろ……ワタシたちスゴすぎじゃね?」


「ウヒヒヒ……そうだなあ!俺達最強だな!」


俺とネムはニヤつきが止まらない顔で、お互いの顔を見合わせた。


「俺たち!」


「ワタシたち!」


「「さすがだよな!」」


そして、ガシッっと腕と腕をクロスし合った。


工事作業員たちが気持ち悪いものを見るような視線で、こちらをチラ見してくる。


だが俺たちは無敵だ。この段階になると、人にどう思われようが気にならない。存分に気持ち悪い俺たちを見るといい!


そんなとき、オリガミの冷静な声がイヤホン内に響く。


『お兄様、ネムさん、工事作業員たちの気が散るようなことはなさらないで下さい。工事が失敗してしまいますよ?』


……はい。すみませんでした。


※※※


作業の邪魔にならないよう、ニヤニヤしながら静かに妄想に浸ってる間にも、工事は着々と進んでいった。


『お兄様、まもなく研究室と研究所地下一階の接続が完了します。』


小さな衝撃音が響いた。壁の最後の一部が取り除かれたようだ。これまで分かれていた二つの空間が一つの巨大な空間としてつながった瞬間だった。


目の前には広々とした白い空間が広がっている。白くないのは、俺達がいる研究室部分だけだ。研究室といっても、壁がないし、もう部屋の形をなしてないけど。


感動したようなネムの声が聞こえてくる。


「おおお……広いな……」


「自宅がある区画全部買い取ったからな……だいたい5000平方メートルくらいの広さだ」


「縦横比は、100m✕50mくらいだったよな?そりゃ広いよなあ。正太郎、まじで頑張ったな?」


「だろ?黒田エステートの件がなければ、土地の買収も楽だったんだけどな。まあ、今となっては懐かしい話だ」


オリガミの声が聞こえる。


『研究室と研究所地下一階の接続を確認いたしました。これより、現在までの研究室を「旧研究室」と呼称します。研究所地下一階のエリア名は、どのように命名されますか?』


「どうする?ネム?ここの名前だってさ」


「うーん。ワタシはカッコいいのがいいと思うけどな」


カッコいいの……なんだろう?でも、厨二病的なのは嫌だよな。放火男みたいに馬鹿にされたくないし。


「じゃあ……『コアフロア』って名前はどうだ?入出力処理はここでやるわけだしさ」


「おお!いいな!じゃあ、地下巨大空間は『ディープコア』なんてどうだ?」


ネムのネーミングセンスに衝撃を受ける。おいおい、カッコ良すぎだろ……。


「滅茶苦茶カッコいいじゃないか!やっぱネムはセンスあるな!」


「ムフフフ……だろ?まあ、『コアフロア』って名前から思いついたわけだから、正太郎のセンスも最高だけどな!」


俺達は浮かれに浮かれていた。


『承知しました。これより、研究所地下一階は「コアフロア」。コアフロアの下にある単一巨大空間を「ディープコア」と命名します。分かりやすくて、素晴らしい名前ですね!』


オリガミの声も、少しだけ弾んでいるように聞こえた。


※※※


オリガミの声がイヤホンから響く。


『現在、工事進捗率は95%です。これより床面の統一工事に入ります。床面の高低差、ほぼありませんね。これなら境界部分の研磨だけで対応できそうです。』


オリガミの言った通り、旧研究室と新エリアの境界にあった僅かな段差や凹凸が、丁寧に研磨されて平らにされていった。


その最後の作業も順調に進んでいったのだった。


※※※


旧研究室があった部分だとわかるのは、今や床の色だけだ。


作業員たちも手を止めて、なんらかのチェック作業に入っているようだ。


隣にいるネムも落ち着かない様子だ。キョロキョロと周囲を見回している。


「できた……のか?」


自然と言葉が漏れ出してしまう。


少しの沈黙の後、イヤホンからオリガミの澄んだ声が聞こえてきた。


『研究室と研究所地下一階との接続工事、完了いたしました。「コアフロア」完成いたしました。』


その言葉を聞いて、肩の力が一気に抜ける。ネムもその場にぺたりと座り込んでいた。


『お兄様、ネムさん……やりとげましたね。お疲れ様でした。』


――こうして、俺たちの夢が、また一つ前進したのだった。

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